あらすじ
1913年、硝子職人の岩田は、身に覚えのない強盗殺人の罪で突然逮捕された。待っていたのは21年以上に亘る獄中生活。出所後も殺人犯の汚名がつきまとうが、岩田は最後まで希望を捨てなかった――。警察の拷問、不当な裁判。国家によって人生を破壊された男が、たった一人で反旗を翻す。日本司法史上、前代未聞の再審無罪を勝ち取った不屈の魂、その闘いのすべて。
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Posted by ブクログ
2025/12/09 3
昭和岩窟王の岩田松之助をモデルにした話。この事件を全く知らず土地勘のある場所だったため驚いた。会えばみんながファンになってしまう岩田、反対に誰からも嘘つきと思われる沼澤。無実を証明するとは何か、戦前のずさんな調べにも刑務所内の暴行もあきれ返る。岩田が生涯やってない、と訴え続けた事はいろいろなカタチで種がまかれた。生きている間に無罪判決を得られてどんなに嬉しかっただろう。
でもガラス工場で窯と付き合う人生もあったはず、気の毒な人生としか思えなかった。
岩田が出所した昭和10年は小林多喜二の拷問死と同時期だったらしくその頃の警察には驚きしかない。
坂角のゆかりが出てくるのが微笑ましい。久しぶりに食べたくなった。
Posted by ブクログ
歴史小説と紹介されていたので苦手な分野だと読み始めに身構えたが、話の立ち上がりがさくっと進み、再審に入るまでが長いものの登場人物が章ごとに増えて分かりやすく、あっという間に読み終えた。
主人公岩田の境遇と人柄をずっと見てきているので、無罪判決を得たときは涙があふれた。
後から史実を元にした作品だと知った。
Posted by ブクログ
冤罪で人生を奪われた男が真実と対峙し続ける。大正時代、硝子職人の岩田は身に覚えのない強盗殺人事件の犯人として突然逮捕される。警察の強引な取り調べと不正な裁判によって有罪とされ、無期懲役となり、長期にわたる獄中生活を強いられる。やがて出所を果たすものの社会には「殺人犯」という烙印が残り続け、彼の人生は奪われたままだった。それでも岩田は無実の証明をあきらめず、自らの力で真実を追い続ける。その行動力は凄まじく、やがて名誉回復のため、国家権力の歪みにも立ち向かっていく。彼を陥れた者たちへの強い感情が燃え続けた。④
Posted by ブクログ
冤罪という重々しいテーマ。
私は2000年に生まれて、冤罪事件と聞くと
袴田さんを思い出します。
けれど、本作を読み終えて冤罪事件について調べてみるといくつか出てきて驚きました。
本来あってはならないことが、1つではなく、2つ3つとでてくる。これはあくまで氷山の一角であり、本当は冤罪という濡れ衣を着せられた人がもっといたのかもしれないと容易に想像がつきます。
嘘をついて相手に罪を着せる。その結果、相手が死刑と宣告されても何も思わないのだろうか。思わないはずはないのだろう、しかしそれでも自分を優先する姿勢に驚きました。図々しい、浅ましい。そんな言葉では言い表せないほど非道な行いだと思います。
けれど本作では、そんな相手を岩田は許すという。「岩田は眩い光を放つ太陽だ。誰もが目を奪われ、心からの敬意を抱く。」そんな人物だったからこそ、永い永い時間を耐え、無罪を勝ち取ることができたのだろうと思う。強い人だ。
それと同時に、罪を着せられていなかったら岩田はどんな人生を過ごしたのだろうか。ガラス職人として一生を過ごしたかもしれない。尺八を吹きながら穏やかな生活を送れたかもしれない。人生を取り戻すことは不可能だ。やはり冤罪なんてものは起こってはいけないと強く思いました。