あらすじ
私たちはとんでもないところまできてしまったのではないか……。文政二年、薩摩藩士らを乗せた船は暴風雨に襲われ、漂着したのは朝鮮国だった。使者とのやりとりは漢文での筆談のみ。官僚との交渉は遅々として進まない。それでも「言葉は通じない。だが真心は通じる」のも真実だった。望郷の念がかなうのはいつの日なのか?
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Posted by ブクログ
言葉も文化も違う相手も、誠実をもって対すれば自ずと心通じるものがある。太守との別れは我が身のように辛かった。この壮大な漂流記を現代に蘇らせてくれたことに感謝。安田がする詩の訳が面白い。軽妙な文章で書かれているけれど、船人たちの苦労は並大抵ではなかったと思う。 国の土地を踏めなかった川上を悼む。
Posted by ブクログ
漂流して朝鮮半島に漂着した薩摩藩士と船人たちの帰国までを描く長編。
実際にある漢文の記録を口訳したもののようです。
当時の朝鮮の法律では、漂着した外国人を上陸させてはいけないらしく、ひたすら船上で過ごさなければならないのが過酷そうでした。
3人の役人のうち2人の体調がずっと優れず、1人筆談で朝鮮人とやりとりしなければならない安田氏の心労たるや⋯。
主薄のように薄汚い心の韓人もいたものの、太守をはじめ書のやり取りを通じて心が通うようになるさまには、心温まりました。
それにしても、安田氏がうんざりしているのに詩の達人と間違われて、詩を読んでもらいたい人が押し寄せるのには笑いました。
薩摩藩士としての武士の心を忘れず、礼儀を欠かないよう、また国の代表として下に見られることのないよう、本心を律したり、毅然とした態度を崩さないようにしたりする安田氏の振る舞いが清々しかったです。
日本の文化に興味津々な太守以下韓官人の振る舞いも、なんだかほほえましかったです。
『ギケイキ』や口訳古事記のようにめちゃくちゃな意訳ではなく(そちらはそれで面白いのですが)、割と真面目な口訳ながらときどき「あっ、あっみたいな顔」などの町田節があるのがよかったです。