【感想・ネタバレ】スポーツ・クリティークのレビュー

あらすじ

スポーツ文化という広大な沃野をどのように耕し、次代へと受け渡していくべきか――。
元アスリートとして培ってきた実践知と、現スポーツ研究者として研鑽している学問知。競技者としての「内の目」と、研究者としてスポーツ界を客観視する「外の目」を兼ね備えた著者が、その複眼的な視座を駆使し、現代スポーツに対していかなる批評が可能かを模索し実践する。

「スポーツ批評」という切り口で、「批評」という表現手段の復権を叫ぶ書!
競技者から学者になった「越境者」だからこその誠実な言葉。
町田先生、すごいことになってます!
――サンキュータツオ(漫才師/東北芸術工科大学文芸学科准教授)

【目次】
序章 スポーツ・クリティーク――その役割と意義
Ⅰ スポーツと社会を媒介する
第1章 スポーツと社会
第2章 アリーナの今と未来
第3章 オリンピック批評
コラム スポーツにおける感動の意味
Ⅱ スポーツが育む心身
第4章 スポーツと教育
第5章 アスリートの健康
コラム 北京オリンピックのドーピング問題
Ⅲ スポーツを通じて哲学する
第6章 スポーツの本質を求めて
第7章 生きる身体との対話
第8章 本との対話
コラム アスリートとして経験し、研究者として叩き上げる
Ⅳ スポーツとアートを結ぶ
第9章 スポーツとアート
第10章 アーティスティックスポーツと著作権
コラム フィギュアスケート界における音楽著作権管理システム改革の兆し
おわりに――ペンを持ってスポーツを生きる
初出一覧

本書は、『毎日新聞』連載〈今を生きる、今を書く〉において、二〇二〇年十月から二〇二四年十一月にかけて掲載された文章を中心として、四つのテーマで部立てし再編・加筆修正を行ったものです。

【「序章」より】
業界の中にいるからこそわかることは確かにある。いわば「内の目」でないと見えないことがあるということだ。ところが、一つの業界に長く居続けると、それ以外の世界からすれば考えられないような常識や慣習を普通だと思い込んでしまう恐れがある。そのようなバイアスが内の目にかかってしまっている場合、たとえ問題がそこにあったとしても気づくことができない。まさに「井の中の蛙」状態である。実際一九九三年から二〇一四年まで、私は競技者として二〇年以上もスポーツ界の中心にいながら、そこにあるはずのいろいろな問題に気づくことができなかった。しかし競技引退後に、研究者として学術的な知見を身につけていくと、この内の目にかかったバイアスが徐々に薄れ、それまで見えなかった問題が見えるようになっていったのである。それはすなわち、業界を冷静かつ客観的に見ることのできる「外の目」が培われたということなのだろう。こうして内の目と外の目を兼ね備えた複眼的な視座からスポーツ界という社会を見直してみることで、初めて顕在化する問題があるのだということを、研究者に転身した私は身を以て知るに至ったのである。

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Posted by ブクログ

​ボキャブラリーがとっても豊富…!
現役時代は勉強は疎かにしていたというが、本当なのか?
現役時代のインタビューの時から、ワードチョイスが面白いなと思っていたので、素養はあったのかも??

ミラノ・コルティナオリンピックの解説、とても面白かったので著作を手に取ってみました。
元選手がここまで競技・スポーツ界の仕組みに疑問を抱き研究し、対応策を考えていることに脱帽。
資格はないけれど人脈だけある謎なつながりではなく、アカデミアに所属して論文を書いているところが好感度大大大大大。
論理的に意見が展開されていくので読んでいて心地よかったです。

アーカイブ化はとても良いと思う。
でも、振り付けの著作権化はどう作用するのか、気になる。
というのも、選曲は同じ映画・ミュージカル・クラシック作品のものでも、編曲が異なり完全一致しない印象で、滑る選手のパーソナリティや強みが出てその選手ならではのプログラムになる気がしているので、別の人が滑っても魅力が担保されるかどうか。
振り付けしてもらう金銭的余裕や実力がない層が、パターン化された振り付けを利用する、などガチの競技会ではない層での利用ならなんとなくわかるかも、と思う。

あと、プログラムの曲について、作曲者を明記することは私も大賛成。
昨年末のグランプリファイナル、初めて現地観戦した。
せっかくなのでジュニアから観戦。全然最近の選手は追えていないので、プログラムの使用楽曲から見たい人を決めていった。
ジェレミーサンプター主演の2003年の『ピーターパン』の映画の曲を使用するというのを見て、この映画と曲が大好き(DVDもサントラも購入した)だったので楽しみにしていた。
でも2003年映画の曲だけでなく、王道のディズニー版の曲も編曲で後半くっついてきて驚いた。
それならクレジットとして明記すべきでは!?と。
あと、ロードオブザリングの曲も楽しみにしていたら、映画にない編曲が入って、個人的には良さが消えてるというか、リスペクトを感じなかった。
元の曲そのままでつなぎ方だけ変えているならまだ良いですが、曲調をポップなど元の雰囲気から変えているのであればそれもクレジットで記載してほしいと思いました。

それとこれは余談ですが、
木下MAOアカデミーの小さな選手が映画シカゴの楽曲を使用していたのはちょっと引いてしまいました。有名なシニア選手も使用しているため、その曲の雰囲気からのイメージだけなのかコーチや周りの大人が勧めたのかわからないですが…。私個人としては作品から拝借する立場であれば原作を履修すべきだと思っております。
でも年端も行かない子どもに「シカゴ」の映画を見せるのは反対です。刺激が強すぎるため。
映画を見せないとしても、ただあの曲のノリだけ使用するのは映画の曲の理解が足りないと思うし、そもそも小さな子どもが「シカゴ」の曲で踊るのはどうなの?とモヤモヤしています。
リトルマーメイドの子がいたので、小さい頃はそういう子ども向けのものにして、大人向けの物は大きくなってからね、と周りの大人がセーブすべきではないかと思っています。

まっちー(現役からそう呼んでいたので)がこの中で触れているように、
内からの視点と外からの視点両方を持っている強み、そして論理的思考は奇跡のようなもので、彼みたいな人が今こうしてフィギュアスケート、スポーツ界の改善(?)に尽力しているのは素晴らしいことだなとしみじみ。
彼の思いが結実することを願います。

098、裕福な子どもの方が環境が整えられて、スポーツの上達がはやいという話、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で読んだ水泳の話を思い出した。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

「氷上の哲学者」はリンクを降りても健在だった。。

現在は大学准教授とのこと。
講義聴いてみたい。

当事者が書くのを読むってとても贅沢。

頭がいい人の文章を読むのは気持ちがいい。

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2026年03月17日

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