あらすじ
ちょっとした山歩きのはずだったのに、大切な人が帰ってこない。迷子、怪我、天候変化。いつだって「たったそれだけのこと」で遭難は起きる。せめて最後のお別れがしたいと願う家族のため、著者は行方不明者を捜しに山に登る。遭難者目線で行方を推理するため家族から本人の性格や職業、趣味、思考の癖を詳細に聞き取る。入念なプロファイリングで消えた足跡を追う、驚きに満ちた六つの実話。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
本書に出てくるLISSのような遭難者を捜索する活動には頭が下がる思いがした。
「家族から遭難者本人の性格や出かけた際の持ち物を聞き取り、登山の仕方や遭難者の人柄といった様々な背景をプロファイリングして、足取りをたどる」ということまで捜索するというのには驚いた。
そして、「捜索する上で大切なのは「遭難者の視点から山を見る」ことだ」ということもなるほどと思った。ベテランの登山家からするとそんなコースには行かないだろうというところでも、遭難者の性格まで考えてその日通ったかもしれないルートを一つ一つ潰していく作業は地道である。
本書に取り上げられた遭難者はそれほど高い山に登ったわけではなく、ちょっとした道迷いなどにより遭難している。そして、皆、単独での登山である。登山は比較的手軽な趣味となってきているが、色々と考えさせられる。
捜索をする人々の決して諦めない努力により日数がかかっても、無事にという表現は相応しくないが、遺体が発見される者もいれば、残念ながら発見に至らない者もいる。いずれにしても残された家族の心情を想像するに胸が苦しくなる。
また、屍蝋化した状態で発見される遭難者もいたとのことで、驚くとともに発見までにかかった年月の長さにまた心揺さぶられた。
Posted by ブクログ
著者の実体験をとおして、山岳遭難捜索のリアルな現場を描くノンフィクション。全部で6つのケースが紹介されている。
捜索の第1段階として、ご家族から遭難者の人柄や思考の癖を聞き取って手がかりとするのだと知って、なるほどと思った。
どのような服装だったか。どんな装備で登ったのか。どのルートを進んだのか。推測し洞察して、捜索範囲を狭めていく。
著者は看護師としての経験から、遭難者のご家族のケアを大事にされている。生死不明の焦燥と絶望に寄り添う優しさが沁みる。
印象に残ったのは、登山に慣れている人であってもちょっとしたきっかけで容易に遭難に至ってしまう、という怖さである。
私は工事の現場管理をしているが、日頃の慣れから失敗や怪我に繋がった例をたくさん見てきた。他人事ではないと思った。
捜索において、著者は遭難者の視点も大事にされている。捜索者は山のプロだが、遭難者がプロであるとは限らない。プロなら「こんな道を辿るはずがない」とプロの視点で考えてしまうようなルートを誤って選んでしまっている可能性が大いにある。遭難者の視点に立つことで発見に至った例が多い。
登山はしたことがないが、今後しないとは限らない。本書で提示される登山に臨む際の注意点はしっかりと覚えておきたい。