あらすじ
千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。
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Posted by ブクログ
『日本婦道記』/山本周五郎/★★★★★/武家で生きる女性の生き方を描いた短編集。強く、清らかに、つましく生きる女性の姿に心動かされる。「不断草」「糸車」「二十三年」で泣きそうになりました^^
Posted by ブクログ
友達の薦めで手に取ってみた。
短編集。
先日、
『静として揺るがず、正しく清くしとやかに
凛として美しく、明るく強くすこやかに
これがまことの、女子力だって明治生まれの曾祖母が言ってた』
という書き込みをネットで見かけたのだが
”女子力”という言葉がむやみやたらにおかしな意味合いで
もてはやされている昨今、こうした本当の意味での女子力を
日本の女性として考える必要があるのではと思う。
嫁と姑の関係となると、ちょっと個人的には
心穏やかに読めない部分もあったし
これはやり過ぎなのではと思うエピソードもなきにしもあらずだったが
武士やその家を守る妻としての役目、母としての役目
なにが正しく模範とされるのか
ということが、心現れるエピソードで描かれる。
夫にもわからないほど質素に生き、皆に慕われる妻や
義理の父と弟を思い、実の親を捨てて戻ってくる娘のエピソードが
個人的には好きだった。
Posted by ブクログ
昭和の作家さんですが、既に歴史の教科書に出てくる方の印象の強い山本周五郎氏、の作品。
平たく言うと、江戸時代の武家の孟母特選集、といった作品。
・・・
昨今の多様性の時代には、これはもう学術的視点なくしては読めないというのが第一の感想。自分の気持ちを殺して、国の為、家の為、上司の為、夫の為、この為に尽くす女性の話の数々。
解説によると昭和17年から21年に渡って書かれたとのことですので、まさに国家総動員の時代の作品。ひとつひとつはいわゆる美談の類と言えなくもないのですが、時代背景などを読みこめばやっぱり煽動的に使われた気がします。
家の夫が上司の為に命を賭すとなればもうパワハラと遺族に訴えられるし、妻が気持ちを偽って夫に尽くしたらこれまた周囲が焚きつけてモラハラと言われるでしょう。
先般の巨人軍監督の件もあったとおり、家庭や地域は、私的な個人的ないざこざを自浄できる容量・要領を持たない・失いつつあることが分かります。
逆に本作の女性たちは、家庭や地域という小さな集団のなかで自分を貫く自由を獲得していたともいえましょう。
・・・
ということで、教科書・受験国語以外では初の山本周五郎作品でした。
どなたかのブログで見かけて興味を持ち読んでみましたが、山本氏の次の作品は…、まあ機会があれば、ですかねえ。
なお、山本氏は唯一の直木賞受賞辞退者とのこと。諸々の理由があっての辞退だとは思いますが、そういう思い切ったことができるのは凄いなと感じました。