あらすじ
平凡な日常が裂ける――。突然、愛する妻・絢子が失踪した。残されたのは1通の置き手紙のみ。理由が分からない。失業中の迫水は、途切れそうな手がかりをたどり、妻の行方を追う。彼の前に立ちふさがる、暴力団組員。妻はどうして、姿を消したのか? いや、そもそも妻は何者だったのか? 絡み合う糸が、闇の迷宮をかたちづくる。『烙印』をもとに書き下ろされた、本格ミステリーの傑作。
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Posted by ブクログ
主人公の迫水は、10年務めた不動産会社をリストラされ、そのうえ愛する妻に逃げられるという始末。
身に覚えがありすぎて、何が原因で逃げられたのかもわからない。
とことんダメな男であるが、妻を愛する気持ちだけは本物で、妻を見つけ出すためなら暴力団に脅されようとも、警察を出し抜こうとも、後悔はしない。
しかし、決して悲壮感漂わないのが、迫水の迫水たる所以。
本人は真面目なのだろうけれど、どこかとぼけたおかしみが、笑いを誘う。
そして、小さな小さな手がかりを情報交換することによって、少しずつ妻に近付いていくのだとしたら、これは現在のわらしべ長者のようだな。
そんなのんびりした気持ちで愉快に読んでいたら、突然の大転換。
好きだからこそ知られたくない秘密。
それがこんな悲劇を引き起こすことになるとは。
これ、ドッキリじゃないかな?迫水がみんなに引っかけられたんじゃないかな?と、祈るように読んだけど、現実だった。
このあと、迫水はどうなっちゃうんだろう?
Posted by ブクログ
"あなたとはやっていけなくなりました。ごめんなさい。私を捜さないでください"
突然、置き手紙を残して姿を消した絢子。
決定的な理由が思い当たらず、呆然とする迫水。
どうしても、諦める事が出来ず、絢子を捜し始めるのだが、その行く手には、何故か暴力団の存在が…。
絢子は一体何者なのか? そして、迫水は絢子と再会出来るのか?
"『慟哭』の次は、これを読め!"
書店(…というか、出版社?)に乗せられているような気がしますが、素直に買ってしまいました。
『不夜城』はたまた『新宿鮫』か!?
…てな感じですが、私は別に嫌いじゃ有りませんよ?
『慟哭』よりはインパクトに欠けますが、これはこれで良し。
『烙印』の全面改稿らしいですが、『烙印』の方は、残念ながら読んでません。
最後は、予想外の展開でした。
あれほど逢いたいと思って捜した絢子より、後藤の命の方が重かったというのが、意外といえば意外。
少なくとも、絢子の自殺を止める位の事はすると思ったんだけどなぁ…。
んー、まぁ、最後の選択がどうあれ、自分もどうせ…(以下省略)。
Posted by ブクログ
思いっきりネタバレになるが、妻の失踪が暴力団トップの輸血のためという結末は見事だった。
ただ、結末がもう分かってしまってるので、もう読むことはできないだろうと思い、星は3つ。
Posted by ブクログ
会話文が多いのでさくさく読めます。半分くらいまでは面白かったんですけど、ヤクザとか出てきた時点で興ざめ。一般人がそこまで踏み込めるかな、普通。
Posted by ブクログ
後東いい奴過ぎる&可哀想過ぎるだろ!
「烙印」の改訂版小説です。貫井作品では初期の作品が元となっているだけあって、ちょっと不慣れ感があるかな?
緊張と緩和のバランスがいまいち取れていないような・・・倉庫での麻薬受け渡し辺りから緊迫感がようやく出てきたかな。
迫水の未熟さは好感持てました。自分の行動が他人に迷惑をかけている。それは間違いない事実なんだけど
「こうしていれば・ああしていれば」と甘えを捨て切ることができないのは、人間として仕方のない部分でもありますよね。
迫水・絢子・後東。この人たちの行動については同意しかねるぞ。小説的なご都合主義を感じてしまうよ。
絢子が「どうせ途中で諦めるから」と消えた理由を告げなかったのも、とは言え中途半端に首を突っ込むのだって危ないはずですし。
迫水が兄を最後まで頼り切らなかったのも「苦手だから」では通じないでしょ。絢子を台湾人と思い込んで
「もし強制送還になったら・・・」と考えるのも分からなくはないけど、じゃあ不法入国かどうかを確認する寸法に
切り替えていけばいいんじゃない?と思ってしまいます。
後東に関しても友情の為に命を懸ける、という言うは易し行うは難しを深い葛藤もなく行ってるように見えたような。
全体を通して娯楽作として悪くはないんだけど、人物たちがプロットに沿って生きている印象が残った作品でした。
ダチョウは危険が迫ると土に首を突っ込んで危険が去るのをただ待つ。これ本当かな?面白い薀蓄だね。
Posted by ブクログ
絢子の突然の失踪。迫水は絢子を追うが、周りに不審なヤクザが現れ始める。徐々に真相に迫っていく所ではハラハラした。荒井の妹を装った麗子が持ってきた手紙によって、本当は台湾人だったのか?錯覚を起こされた。
絢子が真実を語らなかった事によって話が複雑化し、本当は怖かったのに親切に助けてくれた後東が死んでしまったこと、絢子が拳銃を持って消えた後の迫水の回想はグっとくるものがあった。