あらすじ
死ぬことだけ考えて生きている、うつの男。死に場所と決めた廃屋で見つけたのは朽ちる寸前の手紙の束。男は放置された7通を郵便局員に代り配達することにした。すべて届けたら自殺してラクになる、そう決意して……。神経症の時代に贈る愛と希望の物語。
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Posted by ブクログ
うつ病になった人がどう感じどう生きているか詳しく語られていますが、解らない人には自己中心的としか見られないんだろうな。全体的に言葉の選び方が巧く、心に響きます。しかし奥さんのあの行動はちょっと……。主人公が死にたくなった気持ちも解ります。救われたような、救われないような、読む人によってかなり印象が変わる作品だと思います。
Posted by ブクログ
鬱病を患った主人公が自殺をするために侵入した、廃墟となった映画館で、7年前に配達されるはずだった郵便物の束を見つけ、自殺へのカウントダウンとしてそのうちの7通を配達する物語。
7年前の手紙を受け取った人たちとの対話から、主人公が得るものとは。
鬱を題材にした作品は数多ありますが、この作品のディテールには驚くばかり、自分がいかに鬱を誤認していたかを思い知らされました。
作者さん自身が鬱病だったそうです。
小説ではありますが、周囲の人々が読むべき一冊です。
ラスト1通からの心情変化と振り落とされそうなほどのスピード感、最終章で明らかとなる状況と主人公の心境。
今まで出会ったことのない、とてつもない質量を持った作品でした。
こんな小説にはなかなか出会えない。
普段は読んで1日寝かせてからレビューを書いていますが、この作品に関してはもう二度と味わえない初読の読後感を残したく、一気に書きました。
Posted by ブクログ
鬱病を患った主人公が自殺しようとしたとき、ふと見つけた配達されなかった7年前の手紙の束。自殺する踏ん切りをつけるため、主人公は手紙の配達をすることに。まったく感情に起伏のなかった主人公が、手紙の配達を通して徐々に変わっていく姿がとても心に沁みる。
Posted by ブクログ
正しいかどうかは知る由もないのですが
鬱の方の心理を内側から描く設定に
とても知的好奇心を刺激されました。
中途半端な希望的観測など許さない徹底した
心象の描写には、本当に心揺さぶられました。
主人公が迎えた結末には絶望と驚きとかすかな希望。
作品世界に吸い込まれて、そうして吐き出された途端、
締め付けられるような思いとあたたかい思いの両方を
胸の中に感じて、それこそが現実なのだと
思い至りました。
今は…本当の幸福な結末を心から祈るばかりです。
Posted by ブクログ
■心を失くした男が届ける、心をつなぐ七通の手紙。
感情を喪失したうつ病の澤野は、ある日、死に場所として入った廃墟で、偶然手紙の束を見つける、それは昔郵便局員に破棄されたものだった。「この7通の手紙は、さろうならへのカウント・ダウンだ」すべてを配達し終えたら肚をくくろう」彼は死とその痛みを先延ばしするため、7年前の手紙の配達を始める。そしてそこに込められた悲喜劇に遭遇し、久しぶりに心の揺らぎを感じるが……。神経症の時代に贈る、愛と希望の物語。
Posted by ブクログ
「32才、ウツ。オレ、死にます」のコピーでWOWOWでドラマ化が決まっている原作。なるほど、主人公は自殺志願で、手紙を配達していくうちにいろんな人に触れて、感動していい感じになる話だろうな、と裏表紙のあらすじを確認して読み始めた。驚いた。この作品は最後まで読んでこそ価値のある物語だ。こういうふうに心をえぐられるとは想像していなかった。わたしの負けです。
Posted by ブクログ
最後が急にSFチックになって、え?!ってなったまま終わってしまった…
変にいい話で終わらないあたりは好きだし、主人公のひねくれた考え方もいい。
作者も鬱経験者らしく、そのあたりの描写もリアルで良かった。
Posted by ブクログ
鬱のときの無気力さや、心が動かなくなる感じがリアルに表現されている。経験者ならではの描写。
でも、そういう傾向のない人にはくどく感じられるのかもしれない。私は、最初の方の主人公の状態がやけに身近に感じられた。
1通ずつ手紙を配達していくのだが、いつも予想外の展開で関わりを持ってしまう。そうすることで少しずつ心が動き始めるので、もしかしてこれは7通配り終わって回復してしまうというような展開になるのかと思いきや、まさかの幻想、そして自殺の実行、さらには植物状態という怒涛の展開にびっくりした。結局自殺は一度実行されてしまうのか。
死が救いに思える精神状態、朝が来ると「まだ生きている」と思ってしまう心理は私にとってはとても馴染み深いものなので、できればラストは違う形がよかったなあとも思う。でもまあ、こんなものかもしれない。どれだけフィクションだとは言っても、そうそう脳天気なハッピーエンドを持ってくるわけにもいかない。
澤野が書きはじめた手紙が、たぶん一筋の希望なのだと思う。
Posted by ブクログ
死地を求め,廃墟にたどり着いた澤野.彼が偶然見つけたものは,破棄された手紙の束だった.届けられることが無かった7年前の手紙たち.配達してから死のう.配達を重ねる度,手紙に込められた想いに,感情を喪失した澤野の心が揺れる・・・.あぁいいなと純粋に思わせてくれる一冊.愛と希望の物語.日々の生活に疲れたとき,また読み直そうっと(*^^*)
Posted by ブクログ
思いは届けるためにあり、そうして、人は届けるために思う。それがいつまでも、途切れることなく、くりかえされる。
7通の手紙を届けてから死ぬって決めて、配ってるうちに鬱の自分の心の変化に気づく。植物状態になってはじめて、生きていないと伝えられないことを知る。心から生きたいと思う。誤解だらけの世の中、人間関係。終わってからじゃ遅い。公開も全部受け止めて前に進むしかない。思いも口にするべきって知らされた。
教師も誤る。親も間違う。社会に理不尽な差別を受ける者もいる。まっすぐ進めるかは本人次第。
Posted by ブクログ
手紙の配達先で7人の人間模様を見て、希望が生まれ、心を入れ替える、そういう結末になるとばかり思っていましたが、そうではありませんでした。
私にとっては、ショッキングな結末でしたが、このような終わり方の方が現実に近いのかもしれないと思いました。
Posted by ブクログ
うつの怖さ
人とを結ぶもの
最後の描写にドキッとしました。
え、、、
最初は、もっと軽く読めるものかと思っていましたが、
進めれば進めるほど
7年前の手紙が紡ぐ思いに心を打たれました。
1人だと孤独を感じている人には読んでいただきたい一作です。
Posted by ブクログ
全体を通していい本だった!というより、ひとつひとつのストーリーがよかった。
7年経てばいろいろなことが変わる。
7年前の自分の気持ちってどうだったかな。
Posted by ブクログ
32歳、ウツ、妻子あり。
感情は喪失し、毎日を芋虫のように暮らす澤野。
ある日、死に場所として入った廃墟で、届けられず捨てられた7年前の手紙の束を発見する。
そうだ、この7通の手紙を届けてから死のう。
心を亡くした男が届ける、心を繋ぐ7通の手紙の物語。
知人に勧められて借りました。
著者がうつ病だったということがあり、鬱の描写がとてもリアル。
感情の喪失や色のない世界、動けない体に、取り纏う希死観念。
体験記ではなく小説でこんな風に鬱独特の症状を描いている作品は希少かもしれないですね。
7年前に届けられるはずだった手紙が時を越えて届くことで様々な物語が生まれますが、共通して思ったのは、タイミングって大きいなということ。
タイミングが違えば結果は違っていた。そういうことは現実にたくさんあって、むしろそういう些細なタイミングのズレや一致で生まれた結果の積み重ねが人生を創っているように感じます。
一般的な「良い」「悪い」という物差しとは別のところで物語が紡がれているのもよかったです。
時を越えて届けられる手紙って、なんだかいいですね。
Posted by ブクログ
一気読み。あー、鬱の症状の気持ちが痛いほど分かるよーって思いながら読んだ。笑 少しずつ復活していくけれど、最後は奥さんがいたたまれないなあ。
Posted by ブクログ
1通、1通の手紙に関する内容が重い。。もしちゃんと本人に届いていたら人生大きく変わっていたんじゃないかと。配達しなかった配達員が憎いっ!
思っていたラストと違い、少し残念な気がした。豚玉食べてほしかった。思いをちゃんと伝えられるといいな。