あらすじ
暴走族のパシリにはじまり、沖縄で調査を続けた。
『ヤンキーと地元』を書いた伝説のフィールドワーカーによる遺稿集。
2024年12月9日に急逝した、社会学者・打越正行さんの遺稿集を一周忌に合わせて刊行。
『ヤンキーと地元』(2019年3月刊、2024年11月ちくま文庫化)で打越さんは、沖縄の暴走族の「しーじゃ・うっとう(先輩・後輩)」関係などをもとに、建設業で生きるリスク層の生活を描かれました。地元の人間でも調査できない領域にパシリとして入っていった著者の本は、ナイチャーの書いたものとして驚きをもって迎えられ、第六回沖縄書店大賞沖縄部門大賞を受賞するなど高い評価を得ました。
本書は打越さんの遺した、パシリ論、沖縄社会論、暴力論の3部からなり、石岡丈昇、上原健太郎、上間陽子、岸政彦各氏の解説を付す。
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根本はあくまでも「社会学者」だった。
暴力の真ん中で、生活をともにするような調査をしながら、
打越は優しい男だった。
――岸政彦
みんなが打越くんの仕事を超えていく。
そこに自分の仕事を重ねながら、連なりながら。
――上間陽子
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Posted by ブクログ
パシリとしての参与観察を行った、打越正行さんの遺稿集。
ちくま文庫「ヤンキーと地元」にも書かれていたご自身のフィールドワークについての説明がさらに詳細に、また解説もあり深く知ることができた。
沖縄の社会で生きるヤンキーたちを近くで見て一緒に生活をした打越さんの迷いや落胆、辛さも感じるが、しっかりと社会学者として対峙している姿がある。
・沖縄の二次産業の特殊さ
二次産業がそもそも全国比で約半分、そのなかでも製造業は全国平均21.0%に対して沖縄県は5.3%しかなく、製造業が空洞化。ヤンキーがつきやすいからだを資本とする肉体労働である二次産業は建設業になる。
建設業につくためには、特定のしーじゃ(先輩)のパシリとなり、独特なうちなーぐちや言い回しを習得しなくてはならない。
製造業はルールを守り、スキルを積み重ねることで昇給していくある種学校教育の延長に近いが、建設業はマニュアルは存在せず、班長ごとに異なる手順や癖に合わせる必要がある。作業能力に応じた細かい給与体系はなく、4〜5年で頭打ちになる。
学校に行くよりも地元社会の方が実質的に役に立つことを学べるため、中学から学校に行かなくなりしーじゃとホモソーシャルな関係を積み重ねることに重きを置くことになる。