あらすじ
娘・綾奈と悲劇の再会からふたたび酒浸りの生活に戻り、無断欠勤を続けていた高城。失踪した七歳の少女の捜索に引きずり出されるが、少女は絞殺体で見つかり、事件の担当は失踪課から捜査一課に移ってしまう。娘を失った両親に自身を重ねた高城は犯人を捜し出すことを誓い、わずかな証言を元に執念の捜査を続けるが……。書き下ろし長篇第九弾
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Posted by ブクログ
最近になってシリーズ第1作を読み、気に入ったので既刊10作を順次読み進めている。その第9作ということになる。各作品が非常に愉しいのだが、本作も「続き」が気になってドンドン読み進めた。
身に降りかかった事件を乗り越え難く、酒浸りのようになってしまい、何年も無為に過ごした感であった警視庁の高城警部が失踪課に異動したという辺りから始まったシリーズである。失踪課は架空の部署であるようだが、そこに所属して活動する高城警部が主要視点人物となり、一人称の語りのように綴られているこのシリーズ各作品である。シリーズ各作品には、探偵が活躍する所謂“ハードボイルド”を想起させる雰囲気も漂う。
物語は前作の出来事の少し後という時期2月、3月頃というような様子の中で進む。
冒頭、高城警部が自宅ソファで酔い潰れたように眠っていて、「夢の中?」という男女の話し声のようなモノが聞こえるという気がしているというような辺りがら始まる。
男女の話し声というのは、高城警部が配属されている失踪課第三方面分室の醍醐刑事と明神刑事だった。施錠せずに眠ってしまっていた高城の家に上った2人は、少々手荒なやり方で高潮を起し、支度をさせて連れ出す。
高城は、身に降りかかった事件を乗り越え難く、酒浸りのようになってしまい、何年も無為に過ごした時期も在った。事件とは当時7歳の娘の失踪だった。失踪課での活動を続ける中、高城は生存を信じて娘を探そうとするようにもなっていた。が、その死亡が確定した。娘の失踪当時は建築中だった戸建て住宅で火災が発生して全焼してしまうという出来事が在った。その基礎部分から子どもの白骨遺体が見付かった。DNA鑑定等の結果、高城の娘であると確定した。
高城はこの娘の葬儀を済ませた辺りで酒浸りになってしまい、無断で欠勤して自宅で酔い潰れていたのだった。「全員出動」という事案の発生を受け、朝一番に醍醐刑事と明神刑事が連れ出しに現れたのである。失踪課第三方面分室の中では、高城は無断欠勤していたということには「なっていない」というのだ。戸惑いながら高城は捜査に参加する。
失踪課第三方面分室の全員で動くことになったのは7歳の女児の失踪であった。ピアノ教室から帰らないので両親が探し、小学2年生の未だ幼い女児が動き回るような時間帯を過ぎていると夜遅くに交番に相談が入り、所轄署に加えて失踪課へも連絡が入って、第三方面分室の面々が活動を始めた。高城は自身も「7歳の娘が失踪」という経過を経験していることから、事件を何とか解決することを願いながら捜査活動に参加した。
やがて女児は絞殺死体で発見された。最悪な結果である。高城は娘を喪った両親に寄り添おうともするが、殺されてしまった顛末を解き明かすことが必要であると、執念深く事態を調べようとする。そうしていると、女児絞殺の一件が在った地区から然程遠くない辺りで、また女児の失踪が発生したという報せが在った。高城は走った。
こういうことで、自身の身に降りかかった事態であったような、7歳女児の失踪というような事態が相次いだ中で、脱力状態から立ち直る高城が執念深く証言を追って被疑者を特定し、取り押さえる顛末である。被疑者を捜査員達が追跡して犯行を繰り返しそうな場面での逮捕を試みる。その場面が凄く緊張感溢れる感じで夢中になった。
本作では、高城とコンビで動くことが多い明神愛美刑事に個人的な問題が生じてしまうというような場面も在る。また高城が長く付き合う居酒屋の店主が事務局長を務めているという「犯罪被害者の会」関係も出番が多い。こういう辺りは、同じ作者による少し後の、犯罪被害者の支援を担当する人達の物語のシリーズに通じるのかもしれない。
自らも無念を胸に、許すべからざる卑怯で歪んだ犯罪者を執念深く追って奔走する高城達の様子は、読んでいて力が入る。また前の巻の事案について、この巻での事案に少し関連が生じる。そういう辺りはシリーズらしい。
同じ作者の他シリーズに「失踪課の高城」と出て来るというのが在って興味を覚え、シリーズ各作品を紐解き始めた。そういう切っ掛けだが、各作品に出会えて善かったと思う。最も身近な家族が失踪し、それを巡って考え方や感覚の違いが判明して徹底的に不和となった配偶者と別れ、何やら酒浸りのようになっていた高城が、失踪課での活動や仲間達の支えで立ち直って行くシリーズだ。色々な人達の物語を解き明かすような捜査活動なのだが、許すべからざる悪には厳しく立ち向かっているという感じが好い。この愉しいシリーズは10作ということだが、終に第9作に至ってしまった。
Posted by ブクログ
前回、骨が見つかったところで終わったのですが、その骨が娘の綾奈であることがわかり、失意の中でお酒に溺れていく主人公。
そんな彼の元に、娘が亡くなった時と同じぐらいの年齢の子が家に帰ってこない。という通報が来て主人公も捜査に参加します。
主人公の立ち直るきっかけになればと思い、読み進めました。
前回のサラッと流した事件が、こう発展するとは!?
それにしても、お母さん、立ち直り早っ!
Posted by ブクログ
【警視庁失踪課シリーズ第9作目】
高城の娘は遺体で見つかった。その事実をつきつけられ、本を読み進めるのを躊躇しそうになる。高城は酒浸り生活になり、犯人を見つけそうもないし。
その時に、娘が失踪したときと同じ年7歳の少女が行方不明になる。失踪課のメンバーと探すが、遺体で見つかる。犯人を捜し始めるとまた7歳の少女が行方不明になる。犯人は少女に悪戯もしており、パンツを持ち去るという気持ち悪い事件。
この事件の犯人を捜す高城に、失踪課のメンバーや長野や懇意にしている犯罪被害者の会の人たちに、他に探す犯人(娘の事件)がいるだろうとさとされる。
犯人は、前作で拳銃を持ったまま失踪し自殺した新米警官の兄。あの時に気づけていれば、少女の死はなかったと、法月が悔いる。
さて、次作で最終回らしい。娘の事件の犯人を見つけるだろう。読みたいような読みたくないような。高城が最後の事件といっているのも終わった後に刑事をやめてしまうようで気になる。
Posted by ブクログ
行方不明だった娘との悲劇の再会。そしてまたアルコール漬けの毎日を繰り返していた中、部下二人から事件に引っ張り出される主人公。少女をめぐる事件で否応なく被害者家族としての人格と刑事としての人格が交錯する姿が、今の主人公を説明しています。上司の真弓が「生きている限り、人間は何度でも立ち上がれる(略)P223」わたし自身もその言葉を信じたいです。
Posted by ブクログ
このシリーズは被害者を含めて捜査の中で死人が出ない作品もあったんだけど、今作は果たしてこの人が死ぬ必要はあったんだろうかと思う人が死んでしまい、やや戸惑った。今作はシリーズ9作目で、完結のひとつ前。主人公をシリーズを通しての大きな問題との決着に向かわせるために必要なことだったんだろう。重い役目を担った作中の親子に敬礼したい。
二子玉川駅周辺の描写で分かりにくいところがあり、どうしても気になって地図を見ながら確認したので、高島屋周辺の道にやけに詳しくなってしまった。
Posted by ブクログ
あれだけ引っ張った行方不明の娘の死体が見つかったって状態で始まるキツい一冊、シリーズ9作目。内容は失踪課らしくなく普通の刑事物ぽく捜査が進んでいく。まあテンポ良く面白い。ここで前作で自殺した警官が出てくるとはね。もはや愛着で読み続けてるだけのようなもんなんだけど、次で最後みたいなので続けて読む。
Posted by ブクログ
前作の「牽制」で描かれた警察官の失踪事件。
自殺の理由も謎のままで、遺書も謎めいた短い文のみだった。
えらく中途半端な描き方で、「牽制」のストーリー展開に必要だったのか?という疑問さえあった。
まさかこの「闇夜」にエピソードが繋がってくるとは!
思いもよらない展開に驚き、堂場さんの伏線の巧妙さに感心した。
綾奈と同じ年代の少女が犠牲者となったことで、高城の中にも犯人に対する強い気持ちが生まれる。
先へ進むための原動力に悲劇的な事件がなってしまったのは哀しいけれど、高城にとってはまた一歩前に進むことが出来たのではないだろうか。
それにしても、田口の持っている「運」は何だろう。
ここぞというときに当りくじを引いてくるような、持ってうまれたものかもしれないけれど・・・。
失踪課の戦力としては普段はあまり使えない田口だけれど、その分「運」を使って貢献している?と考えると何だか面白い。
捜査本部で捜査員たちを前に話す高城の姿は、切なくて胸が熱くなった。
犯人を捕まえたい!
もう犠牲者は出したくない!
その場にいた捜査官は、きっと全員が同じ思いをより強くしたことだろう。
被害にあった我が子は守りたい。
もうこれ以上傷つけたくはない。
そんな親の気持ちと、犯人を捕まえたいという警察側の気持ち。
どちらも正しくて、だからどちらも譲ることが出来ない。
犯罪被害者家族の辛さは、その立場にならなければきっと誰にも理解できない。
高城をや同じ被害者家族だからこそ通じる何かが、被害にあった少女たちの両親の心を動かせたのだと思う。
綾奈の命を奪った犯人は誰なのか。
いよいよ事件の核心に迫る次作の「献心」。
楽しみにしている。
Posted by ブクログ
読み進めるほどに、今後の展開が気になる失踪課シリーズ。
失踪課の仕事に徐々にやりがいを見出していたが、娘綾奈と悲劇の再会をし、再び酒浸りの生活に戻った高城。
そんな高城を、仕事に駆り出して立ち直らせようと画策する失踪課の面々。
そして今度は、愛美に悲劇が襲いかかる。もう、彼女とは相棒を組めないのか、そんな危惧をいだきながらも、娘が遭遇したのと同じような事件の捜査に、高城はまい進する。
この事件が解決したら、いよいよ綾奈の事件と向き合う覚悟を強いられる高城。
このシリーズも、最終話へ・・・
Posted by ブクログ
警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ第9作。
再び酒浸りになった高城警部だが、7才の女の子が行方不明になったことを知って、執念の捜索を開始する。
まわりとの軋轢をものともせず犯人を追いつめていく高城。そんな彼を理解する失踪課メンバーのさりげない優しさが随所に光る。前作の動機不明の事件が関わってきたのにはびっくり。
Posted by ブクログ
行方不明の娘を持つ失踪課刑事、高城賢吾。
最悪の結果に終わったが新展開。
酒に逃げるのはわかる。逃げ切れないのもわかる。
ただ、娘の事件解決へ踏み出したわけではない。まだもう少しかかるのだろう。
Posted by ブクログ
娘をもつ身には、辛い事件が題材となった。
このシリーズは、メインテーマからして“そう”ではあるけれど(笑)。
無慈悲なまでに唐突に訪れた、ヒロインの悲劇には心が痛むところだが……
“高城の事情”が、さらに一歩踏み込まれた点、次作(次が最終?)への期待値が急上昇。
堂場瞬一に外れなし、無事更新♪
★4つ、8ポイント。
2015.03.29.古。
Posted by ブクログ
高城の自虐性と有能さのアンバランス加減と、それを厳しく支える部下の愛美との関係が、このシリーズの一番の魅力かな。
いつの間にか醍醐も立派になってきたし、上司の真弓も有能さと気配りを見せるようになってきた。ここまでチームとして成熟してきたからには、シリーズも終わりが近いんだろうな。
願わくは、高城が真の生きる目的を得ますように。
Posted by ブクログ
シリーズの最後の方みたいですが、これだけ読んでも違和感はなかったです
自分の娘を殺され、酒浸りになった高城賢吾警部が、幼女誘拐殺人事件の犯人を執拗に追っていくというお話です
幼女誘拐殺人という悲惨な事件ですが、読んでいるのが辛くなるような内容ではなく、高城警部の悲しみや悔しさが伝わってくるような作品でした
警察物としてはとても読みやすいと思います
Posted by ブクログ
失踪課、高城賢吾のシリーズ。
前作『牽制』の衝撃のラストから、この作品につながります。
酒でボロボロになった高城に、部下の愛美と醍醐がまさしく水を浴びせかけ、
事件現場に引きずり出す。
少女の行方不明事件。。。その事件は高城にとっては白骨遺体となって発見された愛娘への念を掻き立てるものだった。
そして行方不明事件から暴行殺害事件となる!
高城は事件と向き合い、自分と向き合えるのか。
娘が殺害され発見された現在、自分が刑事でいる必要がどこにあるのか。
なぜ酒に溺れていてはいけない。。。。
高城が自問自答し苦しむ中、愛美にも変化が。
同じ気持ちを違うかたちでくるみ、事件に没頭する高城と愛美。
犯人を捕まえようと必死になればなるほど、娘の事件が追いかけてくる。
次作、高城は娘の事件と向き合うことになるのだろうか。
Posted by ブクログ
警視庁失踪課・高城賢吾シリーズのラストに向けて、酒浸りで底まで沈んでしまった高城賢吾が、遂に浮上する事となるシリーズでもキーとなる本作。
しかし小説とは言え、少女誘拐事件は胸糞が悪くなる。
やはり辛いけれども現実に向き合い、そして立ち向かわなければ、本当の意味で乗り越えることはできない。
そのための過程として、被害者家族が憎しみを向けるためにも、その矛先となる犯人を一刻も早く捕まえなければならない。
そしてクリスチャンであったとしても、犯人を殺してやりたいと思う事は必要なんだと。
悲しみの次に憎しみの時を迎え、そしてようやく大切な家族を失った現実を受け止めるフェーズに辿り着く。
果たして自分の身に置き換えたらどうだろうか?
考えるだけで辛いけど、きっと想像の域を超えているだろう。
Posted by ブクログ
警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ第9弾
世田谷で小学生女児が行方不明になる事件が発生。
行方不明だった娘の綾奈が遺体で見つかり、再びどん底の生活に陥っていた高城を愛美が引っ張り出し、捜査に参加させる。
しかし女児は乱暴の末、殺害される痛ましい事件に発展し、高城は過剰に捜査に熱中していいく。
事あるごとに周囲から娘・綾奈の事件と向き合うことを要求される高城。
事件を通し、憎むべき相手を見つける決心をしていく。
綾奈の事件の詳細はあまり語られていません。
この巻も最終章に向けての序章です。
どんな結末を迎えるのか楽しみです。
Posted by ブクログ
娘・綾奈と悲劇の再会からふたたび酒浸りの生活に戻り、無断欠勤を続けていた高城。失踪した七歳の少女の捜索に引きずり出されるが、少女は絞殺体で見つかり、事件の担当は失踪課から捜査一課に移ってしまう。娘を失った両親に自身を重ねた高城は犯人を捜し出すことを誓い、わずかな証言を元に執念の捜査を続けるが…。
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女児殺害事件の話。読んでいるときに今市市の女児殺害事件の犯人が見付かり虚構と現実が入り混じった気分だった。作中で主人公の相棒の母親が死ぬなど救いがない。
Posted by ブクログ
今回の捜査は幼女誘拐事件から始まる。
刑事 高城は仲間に引っ張られ、捜査に参加。
自分がしなければならないことを考えながら、犯人を追う。
その結末やいかに!
2014.2.14
Posted by ブクログ
しまった
一冊飛ばして読んでしまった
シリーズ物は番号をふってほしいなぁ
最近、子供の連れ去りが多い
このタイミングで少女の連れ去りと殺害事件ものって
この犯人には極刑でもあまりある
高城さんが事件に向き合っていけますように
Posted by ブクログ
なかなか良かった。前半は高城の絶望と暴走から始まり、人間関係が変わってきたのが感じられた。なかなかいい感じになってきた。最後に向けてどうなるのか楽しみです。あと一冊です。
Posted by ブクログ
シリーズ9弾。
酒に溺れることで逃げる高城と、
彼に厳しく接してくる仲間。
立ち直るように厳しく当たるのだろうが、
かなり強引だな、と感じた。
作品自体はあまりクオリティは高いものではなく、
シリーズを読み続けてきた読者としては
それぞれにしっかりとした落とし処を描いてもらいたい。
全てハッピーエンドでなくてもいいから。
それぞれの
Posted by ブクログ
前作の一つの事件がここにつながっていたのか。
今回の高城さんは、かなり暴走ぎみ。
そして、今回の事件は、親の立場から見ると、結構きついです。途中で、うわー! って感じで、放り出しそうになり、とにかく猛スピードで最後まで読みきった。
Posted by ブクログ
8月-1。3.5点。
酒におぼれる高城。幼女殺人事件が発生し、
失踪課が強引に高城を捜査に引きずり出す。
高城は復活するのか。
ラストへの序章の意味合いが強い気がする。
長野の動きが鍵かな。
本筋は、まあまあ面白いかな。明神も。
Posted by ブクログ
失踪課シリーズ第9作。
たまたま積読状態だったから、前作から続けて読めたが、3か月待っていたら、結構つらかったのではなかろうか。
そして次作。いよいよ完結。
Posted by ブクログ
娘・綾奈と悲劇の再会からふたたび酒浸りの生活に戻り、無断欠勤を続けていた高城。失踪した七歳の少女の捜索に引きずり出されるが、少女は絞殺体で見つかり、事件の担当は失踪課から捜査一課に移ってしまう。娘を失った両親に自身を重ねた高城は犯人を捜し出すことを誓い、わずかな証言を元に執念の捜査を続けるが・・・・。(背表紙より)
初めて読む作家さんですが、面白かった!ドラマを見ているようです。娘を誘拐・殺害された刑事が少女誘拐の捜査をするという出き過ぎ感も否めませんが(^_^.) 現実はともかく、お話としては面白かった。シリーズものみたいなのでまた読むかも。
Posted by ブクログ
事件がとても嫌な事件なので読んでいて嫌になるけど(それで★ひとつマイナス)、実際にあるんだよなあ・・・
犯人がちょっと身近過ぎる感じは受けた。
それと、この失踪課のメンバーってどうも性格良くないやつが多いなあ・・・
次巻で完結のようで、どうまとめるのでしょうか。
ハッピーエンド的な終わり方はないように思いますが・・・