あらすじ
学校は男女平等に見えて、実際には男性を標準とし、「良いこと、目指すべきこと」とされる基準の多くが「男性性」と結びついている。
しかし教師はそれを意識することなく、当たり前に受け入れていないだろうか。学校で日々行っていることの多くが日本のジェンダー不平等の大きな原因なのかもしれない。
学校の日常をジェンダーの視点から問い直す。
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Posted by ブクログ
自分自身の教室での原風景を思い浮かべながら、言われてみれば構造的に男性優位のただ中にいたことに気付かされた。
メンタルを崩してはじめて構造的課題に気づいた女性教員、男子校で教鞭を取る女性教員らの経験に基づく示唆が生々しく迫ってくる。
> 「現実の男性(そして女性たちも)全員が同じものを目指しているわけではない。それでもなぜ一定の性別秩序がー男性優位の秩序がーできあがってしまうのか?それこそが説明されなければならない」
まだまだ、自分が認識していないアンコンシャス・バイアスがそこここにある。
Posted by ブクログ
教員だけでなく、親御さんにもちょっと難しいかもしれないけど読んで欲しいですね。
初めの方の「学校で行われていることは暴力的」っていうあたりは、胸が痛いのですが、教員の自分の経験や、学校教育における改善点など、愛にあふれた本でした。
高校は男子校は「○○高校」だが、女子校は「○○女子高校」と男子校には「男子高校」とつかない。とか全く気づいていなかったです。
以下、ネタバレです。
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・高校は男子校は「○○高校」だが、女子校は「○○女子高校」と男子校には「男子高校」とつかない。(p.10)
・教員は、生徒に恐怖を与え、生徒の自由を奪い、生徒をコントロールするための手段として、様々な暴力を用いていないだろうか(p.21)
・教員は、「成長」を願うが、この成長は教員の価値観で測定されがち。(中略)学校外での「成長」は軽視されがち(p.22)
・男性教員が生徒の心や身体、思考などをコントロールしようとしたとき、体罰に限らず暴力的な手段(大声、バカにする、にらむ、無視するなど)を用いてしまいやすい背景に、男性と暴力の近さがあることは間違いない(p.25)
・子供のこえを聴く、子どもに応答することは、弱い教師の甘い実践に貶められる。それが習慣化されれば、子どもたちは、力関係に敏感になる。できない、わからないと言えなくなり、こえを聞き合って分かりあうことや、関係を結んで協力することを経験できなければ、強い教師に従う家父長制的な価値観が強化され、応答関係や女性を軽視する態度形成が進む(p.57)
加害的な男児の心のほぐしかた
・「人ってされていることを誰かに返しちゃうんだよ。意地悪されると誰かに意地悪したくなるし、やさしくされたら、やさしくなれる。だから、誰かを傷つけたってことは、君自身が傷ついているのではないかと思って心配なんだ。だいじょうぶ?」(p.80)
・性別にとらわれない、とあえて性別に目を向けるのあいだを行きつ戻りつしながら、子供達の尊厳と可能性を守っていく。決めつけない柔軟さ。(p.83)
・教師自身が生徒の前で、悩みや困りを吐露し、表現することが貴重な経験だった(p.143)
・「男性の女性化」と「女性の男性化」は非対称(p.147)
・社会があらゆる人に対して、信頼感をもてるような場にならなければならない。こんな社会に生きるのがいやだ、こんな社会なら生きてもしょうがない、という場になってはならない(p.150)