【感想・ネタバレ】夜間飛行のレビュー

あらすじ

「わたしは作者にたいして、わたしにとってかなりの心理学的重要性を有するつぎの逆説的真理を明らかにしてくれたことをとくに感謝している。それは、人間の幸福は自由のなかにではなく、義務の受諾のなかにあるということだ。この書物の登場人物のひとりひとりは、おのれがなすべきこと、その危険な任務に、情熱的かつ全面的に身を捧げ、それを遂行したあとにはじめて、幸福の安らぎを見出す……」(アンドレ・ジッド 序文より)冷厳な態度で郵便飛行事業の完成をめざす支配人リヴィエールと、パタゴニアのサイクロンと格闘する飛行士ファビアン、それぞれの一夜を追いながら、緊迫した雰囲気のなかで夜間の郵便飛行開拓時代の叙事詩的神話を描いた本書は『星の王子さま』とならんで、サン=テグジュペリの名を世界中に知らしめた代表作である。南米ブエノス・アイレスの地に、主人公と同様、郵便飛行の支配人として赴任していた時期に執筆され、1931年度のフェミナ賞に輝いた。特別付録 ディディエ・ドーラ「『夜間飛行』に着想を与えた人物から見た」

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Posted by ブクログ

本書の主人公であるリヴィエール的生き方を選んでいる友人に勧められて読んだ。

海外の少し昔の小説を読むことに慣れていなくて、
何度か戻って文章を読み直したりして、自分なりに想像を膨らませながらゆっくりと解釈を深め、読み進めていった。

個人的には国宝の田中泯さんの台詞、
「やるかやらないかじゃない、やるの」のシーンが
この作品の全体像と重なる。

人生の中でそういう瞬間はあったものの、こと仕事においてその境地まで今の自分はたどり着いていないし、辿り着こうとしているのかも分からない。

けれども勧めてくれた友人(経営者)の、彼の生き方を理解することにとてもよくつながった。
最後の文章のたたみかけは、夜の闇から光の方向に帆を立て上り上がるような、まるで勝利を掴むような、清々しく、とても心地よく快活な文章だった気がする。
もう一度、最後の文章を読みたい。

1
2025年09月08日

Posted by ブクログ

空を飛ぶということ、本当になんて不可解なことだろうと思います。しかも、夜に。何も見えない中、自分の力の及ばない物に立ち向かわなくてはならない状況、そしてそれを強いるものと受け入れていくものと、結果。心の土に水をやるように染み入ってきた本でした。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

こんなに胸に焼き付いて離れないラストもないです。リヴィエールが好きすぎる。
すごくすごく大切な一冊。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

思ってたものと違っていました。
「星の王子さま」しか読んだことなかったのでそれとは正反対な感じがして意外でした。
しかし「星の王子さま」を子どもの時と大人の時に読んで感想や刺さる言葉が違ったように「夜間飛行」も今の私が読んだ感想と10年後、20年後に読んだ時とでは感じ方が違うと思います。そういう部分は共通していると思いました。

サン=テグジュペリが企業人であり戦争にも志願(偵察機だけれど)していることもとても意外でした。ただ、作品全体(序なども含め)からサン=テグジュペリが 正 に生きた人だったということが感じられました。夜間飛行の話だけれど戦争も連想させられました。

「生命より大切なもなどない」「生命を賭してもやらなければならないことがある」この鬩ぎ合いの中で揺れながら突き進むリヴィエールが印象的でした。ですが今の私はリヴィエールよりもファビアンや周囲の人に感情移入しました。リヴィエールが正しいかどうかは別にして上に立つ立場の人は是非読んでほしい本だなと思います。

ファビアンが罠だとわかって上昇し、サイクロンを突き抜け、この世のものと思えない夜空の美しい世界へ入った束の間の描写が忘れられないシーンです。

0
2015年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リヴィエールの苦悩、ファビアンの苦闘。
老境に入ってなお南方航路の責任を一手に引き受ける孤独な指揮官。
職務への誇りを持って悪天を抜けようとする郵便飛行士。
決してハッピーエンドではないが、そこには人間の尊厳や誇り、勇気の美しさがありありと描かれている。
個人的には、ロビノーと飛行士ペルランの逸話が心に沁みた。

以下、気になったフレーズの引用。
配下の者たちを愛してもいい。ただし、それを彼らに言ってはならんよ。(リヴィエール)
彼は次のように答えた「法則を生み出すのは経験だ。法則の認識が経験に先立つことはない」(リヴィエール)

ひとつの勝利が一国民を柔弱にすることもあれば、ひとつの敗北が別の一国民をめざめさせることもある。

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2014年03月28日

Posted by ブクログ

夜間飛行・・・・あらすじだけ知っているつもりだったけど、記憶のそれは間違いでした。
やりきれない、喉元に何か引っかかっているような読後感だけど、読んで良かった。

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

「彼はサン・フリアンのほうを振り返った。それはもはや一握りの光にすぎなかった。ついで、一握りのまたたく星となった。やがて、塵のように消えてゆき、それが最後に彼の心を誘った。」
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「おそらく、これはわかりきったことだ。芝生とたえず戦う庭師とおなじなのだ。庭師は、ただ手の重みだけで、たえず地面が萌え出させようとする原始林を地中に押し戻しているのだから」

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2009年10月04日

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