【感想・ネタバレ】MOMENTのレビュー

あらすじ

死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら……。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望――。静かに胸を打つ物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

病院のアルバイト清掃員 神田は、黒衣の必殺仕事人に成り代わって死を待つ人の願いを聞いていく。しかしなぜ必殺仕事人は死に近い患者のみの願いを受け入れるのかという根本的な疑問に立ち合った時、未だ議論されている安楽死と生についての問題に直面することになる。前半は神田が患者の願いを聞き入れ、若者として将来の葛藤を覚えたことを描いたのみだと思っていたが、生と死という答えの出ない根本的な問題を提起したこの小説に、小説としての意義を感じた。また彼の他の作品も読んでみたい。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『バイト清掃夫大学生が必殺仕事人になってみた!?』

清掃バイト先の病院で、死期迫る人の願いを叶える仕事を引き受けた神田。

奇跡は…起きない。ハッピーエンドに…ならない。ハラハラ・ドキドキは…無い。

淡々と不器用に人の死と向き合いつつ、自らを見つめ直していく姿に、ジワジワと心揺さぶられる。

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2022年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「死ぬ時、なにを考えるだろう。」

印象としては、タバコの匂いや無機質な音を感じながら、静かに浸れる本でした。一気に読んでしまいました。

死を目前にした人々からは、色々な願いが出てきます。

自分は、何を考えるだろう。

死ぬことに関してはよく考えますが、この本を読み、考えが深まりました。とても現実的な死生観が描かれているのです。

死ぬということには抗えないし、
死を目前にする頃には実は自由に体を動かせない。
自分の人生におそらく意味はなく、死に意味もない。
だから、死を前にした人間が望むものもシンプル。
「死」

私がこの小説から感じたことでした。

本当にその立場になれば、この小説に描かれた気持ちがわかってくるのでしょう。

ただ、個人的な考えではありますが私はこの現実主義的な考えに逆らって
「それもまた、一つの世の中の見方にすぎません」と
言えるような生き方がしてみたいと感じました。

【印象に残った言葉】
人生なんて、そうなるべくしてそうなるんだ。葬儀屋が性に合ってるって言ったのはそういう意味さ。


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2024年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

順番が違っていて、最後に読むべきMEMORYを最初に読んでしまったことに気づいた。
改めて読み返すことに決め、本作を。

個人的に、本多孝好氏の作品が好きだ。
ひねくれているかのような主人公に、不真面目な生き方をしているように感じる方もいると思う。
でも、本作も「本音」が描かれている作品だと思う。生きていくために取り繕うではなく、分からないから分からないと素直に言うみたいな。
淡々としつつ、死生観や、自らの生き方、世の中の理不尽さ、それらに気づき考えさせられる。

人が死を目前にしたときに望むもの。
死ぬ前にひとつだけ願いが叶えられるとしたら?

死を目前にする人たちは素直ではなく、騙したり、擬似的な恋を望んできたりするわけだけれど、頼まれれば、粛々と、でも優しく、できる範囲で望みを叶える手助けをする神田。
それが本作の主軸かと思いきや、実は……という。

森野と神田の微妙な関係が気になる。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「文体が村上春樹に近い」と言っている方がいたので、じゃあきっと好きだなと思って読んでみた。

確かに文体は近い。でもハルキの方がクセあるかな。そんなことより内容が面白い。ミステリーチックで引き込まれる。

しかしact2の中学生とキスしたところでいよいよハルキじゃんと思った。主人公の男性がモテるってやつ。相手の女の子が不思議ちゃんかメンヘラちゃん。

act3の上田さんは、身につまされて辛かった。
しかしデート中の神田がキザでちょっとイラッとした(笑)ハルキ読んでる時と同じ感覚のイラつき。

ミステリーチックと言っても結局生と死をテーマにしているから、結局やっぱりハルキっぽいなと思ってしまった。

でも面白かったことは確か。夢中になって読んだ。
これ、初期の作品だと思うから、最近のこの人の本を読んでみようと思う。もっとオリジナリティが出てることを期待して。

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2023年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊坂幸太郎に似てるとどこかで紹介されていたのがきっかけで初めてよんだ著者の作品だった。
結論、伊坂幸太郎にはあまり似ているような気はしなかったけど、面白かった。
まだ自分は死を身近に感じたことはないけど、自分は死ぬ時最後にひとつだけ願いが叶えられるとしたら何を願うんだろうと思う。黒衣の必殺仕事人ではなく、掃除夫に何を頼むんだろう。

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2023年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は死ぬ前に何を望むか、、4作品収録されている短編集。
私自身、ひねくれものなので
なんとなく綺麗事で終わるんだろうなあと。でも自分も病気をして、入院中だったのでそういうのもたまには良いかなと思って読んでみました、、。
けど、、人が人に対して抱く執着心、復讐心の怖さだったり、すべてを手に入れて華やかな世界も見尽くしてきたはずの女性の”孤独”だったり、、
決して綺麗ごとではなく、一筋縄ではいかない、死を待つ人の様々な思いにグッと胸を締め付けられるような感覚もあり、ただその中にも一縷の希望が輝いていて、、
圧倒されました。

また本多孝好さんの文体が本当に美しく、切なくて好きになりました。
他の作品も読んでいきたいと思いました。

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2025年07月16日

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