【感想・ネタバレ】漂白される社会のレビュー

あらすじ

売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…社会に蔑まれながら、多くの人々を魅了してもきた「あってはならぬもの」たち。彼ら、彼女らは、今、かつての猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつある。私たちの日常から見えなくなった、あるいは、見て見ぬふりをしていた重い現実が突きつけられる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

○社会学者である開沼博氏の著作。
○現代日本社会の“裏側”を「漂白される(された)もの」とし、12の具体的な事例・ケースをもとに、様々な場所、時間で見られる、普通の日常生活に溶け込んだ「見えないもの」を明らかにしていくことで、日本社会の実像に迫るもの。社会学者の学術書というよりも、ルポライターによる実話本という印象。
○結局のところ、終章にあるとおり、「漂白される社会」とは、「見て見ぬふりをしてきたもの」があふれる社会であり、異端なものをそこに押し込むことによって、表面上は“キレイ”な社会であることを装っているものとのこと。
○私も、本書の12のケースが自分の身近で実際に起こっていることに全く気がつかず、存在自体が無意識に受け入れていた(排除していた?)ということに気がついた。
○世の中の“キレイゴト”の本質をつかむための貴重な一冊。

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2013年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

電車の車窓から見るように、社会を見る。冒頭で表明した視点と視座が貫かれていました。


メモ:
・純粋な弱者しか許さない現代社会
・一見、わかりにくい、グレーな貧困
・インフォーマルなセーフティネットに頼るしか術がない貧困
・合理的な思考を積み重ねていく「普通の人」としてではない、生まれ、生きていく中で、生き続けるために「思考のスイッチ」を切りながら善良な市民が眉をひそめるような生き方へと突入せざるを得なかった人々の貧困
・弱者へ憑移した議論
・あってはならぬものとして不可視化されながらも存在し続ける「周縁的な存在」

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2013年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

開沼博といえばフクシマ論、というほど震災後の論客のイメージだったのだが、この人のフィールドワークは、震災前から「周縁的なもの」に対して、多岐にわたっていたことを改めて気付かされる意欲作。

 売春島、ホームレスギャル、シェアハウス、ヤミ金・生活保護、違法ギャンブル、脱法ドラッグ、右翼/左翼、偽装結婚、援デリ、ブラジル人留学生、中国エステ、と、「周縁的な存在」についてのケースレポートを読むだけでもお腹いっぱいだし、正直、1つ1つの事象に興味はあっても、読み進めるうちに「自分にとってはあまりにも現実離れしている」と思う自分がいたのは確かである。筆者はこの書物を1つの旅に見立てているが、私には長旅過ぎた、という感じか。

 しかし、終章での筆者が述べる結論ともいえる主張には、ある種の怒りや告発が込められた勢いのある文章が展開する。

 私たちは、「周縁的な存在」を「理解できないが、興味がある」ものとして認識する。豊かさと自由を得ている我々は、「快との接続可能性が高度化した社会」かつ「不快との共存が許容されなくなった社会」に生きており、この前提では「葛藤する」ことを拒否し、「葛藤し合うもの=あってはならないもの」を社会から排除・固定化、不可視化しようとする。
 だから、そのような「葛藤」が震災・津波・原発のような形で視界の中に入ってきても、「絶対悪」をでっちあげて、過剰に批判し、過剰に感傷に浸ってみせる。

 社会は複雑であるが、我々は、信頼や信仰という概念によって複雑化した社会をシンプルにしたいのだ。多数の人が選ぶ選択をすることでアディクショナルに「自由・平和(のようなもの)」を求めたとしても、現代に安全などはない。危険やリスクは回避しようとしても逃れられない。リスクを「周縁的な存在」に分配し、排除・不可視化しても、そうした「漂白」は無限に増殖し、続いてゆく。

 すべての人間の「欲望」は薬物依存のように「アディクティブ」である。もはや市場原理だけでなく、この社会そのものが、人の「安心・平和・自由」などの「心地よい言葉」のアディクティブな希求で充満している。

 開沼さんのこの本が、「震災後の社会」を意識してかかれていることは明白である。我々自身、いつ「周縁的な存在」として不可視化される側に立つことになるかわからない。書物を通して一人一人が「葛藤する」経験をすることもまた大事なことだ。

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2013年04月02日

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