あらすじ
【紹介記事掲載情報】
2021年6月26日 日本経済新聞「動物から来る感染症を追う」
2021年5月22日 朝日新聞『「スピルオーバー」書評 種を超えた伝播 追求する執念』評者:行方史郎 氏
【内容紹介】
生態系の破壊が、ウイルスを呼ぶ。
ウイルスたちはなぜ、いつ、どこで、いかに種を超え人間へと飛び移り、惨事をもたらしてきたのか。異種間伝播(スピルオーバー)を通じて爆発的に広がった疫病の実態とそれに挑戦する人々の苦闘を、徹底した現地取材を通して辿る世界的ベストセラー。
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エイズ、マラリア、SARS、エボラ……。いずれも感染は、野生動物と人間の接触によって起こっている。ウイルスの宿主は、野生動物の中にいる。人間がこれらの動物を狩ったり、伐採や採掘で生息地を奪ったりして生態系を乱すとき、私たちは動物に代わる新たな宿主となりうる。人間に飛び移り、複製し増殖できれば、ウイルスは世界で最も繁栄する動物の内部に居場所を見つけたことになる。
スピルオーバーとは、ある病原体が種から種へと飛び移ることを指している。それは予想を超える突発的な集団発生、すなわちアウトブレイクをもたらす可能性がある。世界各地の疫病の震源地や研究の最前線に足を運び、ウイルスがもたらす現実とそれに挑戦する人々の姿を描く果敢な試み。異種間伝播する病原体が近い日に〈次なるパンデミック〉を引き起こすことを予言した警世の書。
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Posted by ブクログ
-SARS もしもSARSが逆のパターンで、発症前の感染力が強かったとしたら、二〇〇三年のアウトブレイクは効果的な対応が功を奏した例とはならず、もっとずっと暗い物語になっていただろう。
もっと暗い物語はまだ語られていない。もしも語られるとしたらたぶんこのウイルスではなく、別のウイルスについてだろう。「次なる大惨事」はたぶんSARSとは逆で、インフルエンザのように症状が現れる前の感染力が強いパターンだろう。それによってウイルスは、死の天使のように軽やかに都市間や空港間を移動することだろう。 (本文より抜粋)
コロナウイルス禍はやがて終息を迎えるだろう。しかしウイルスはコウモリや齧歯類や野生動物や鳥類などの体の中で折り合いを付けながら生き続け、息を潜めているだけなのだ。