あらすじ
言葉は伝える技術である。言葉の送り手が言葉の受け手を、自分の望む方向に動かすための技術である。それを叶える方法は、送り手が受け手の言って欲しいことを言ってあげることだ。すべてを決めるのは受け手だからである。では、受け手を上手に動かすために、何と何と何をやればよいのか。広告コミュニケーションの第一人者がその答えを明快に示す。
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Posted by ブクログ
「言葉不全の時代」という言葉に頷いた。言葉なんて誰にでも使える、というわけではなく、意味が共有されていない(コミュニティ内でだけ通用する暗号を使用する)ことによって、人とコミュニケーションができなくなる。我を通すのではなく、相手を想像することがやはり重要なのかも。
■印象に残った言葉
・言葉は伝える技術である。
言葉の送り手が言葉の受け手を、自分の望む方向へ動かすための技術である。
それを叶える方法は、送り手が受け手の言って欲しいことを言ってあげることだ。
すべてを決めるのは受け手だから、である。
・言葉が「提案」だとするならば、送り手の言葉は受け手への「約束」
・言葉は「約束」だ。約束だから正確にしなければならず、破ると嘘つきと呼ばれる(はず)。
・「受け手」の冷酷さは、惚れた弱みを弄ぶ異性のそれに似ている
・人は自分の聞きたいことしか聞かない
・近道はないのだ。いつもいつも受け手に何とか伝えようと模索する作業しかないのだ。
Posted by ブクログ
著者はコトバのプロ、コピーライター。
言葉は伝える“技術”である。
発すれば誰にでも伝わる、わけじゃない。
むしろ言葉を完全に共有することなど不可能である。
それがこの本の立ち位置。
言葉が伝わらない現代の状態を「言葉不全」と呼び、
“ちゃんと”や“しっかり”といった主観的な言葉をとことん疑う。
それらは、受け手の尺度でしか伝わらない。
「言葉なんて誰にでも伝わる」
そう思っている人はこの本を手にすることはないだろう。
書店でこの本を手に取った人には、言葉に対する不信感が、少しでもあるはず。
本当に伝えたいのであれば、こちらから受け手の立場に立ち、
受け手の置かれた状況を知り、相手にとっての“ベネフィット(トク)”を提案するような言葉を投げかける。
文章にするといちいち理屈っぽくなってしまうけど、結局は相手を思いやれる想像力。
言葉が多すぎて、送り手がいくら伝わっていると信じている言葉でも
実は受け手に伝わっていない。そんな厄介な時代なのだ。
今気づいただけで、実はずーっとそうだったのかもしれない。
結局伝わらないんじゃないか。
そんな諦めから始まって、それでもわかってほしいし、少しでも共有するための“技術”として、言葉は存在するんじゃないか。
言葉について考えたい人に。