あらすじ
現代は待たなくてよい社会、待つことができない社会になった。現代社会に欠落しはじめた「待つ」という行為や感覚の現象学的な考察から、生きること、生きていることの意味に分け入る。臨床哲学の視点からの認識論。
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Posted by ブクログ
待つのが苦手、というか待てるけどすぐにイライラしちゃう性格で(自覚あり)、おだやかに待てる人になれるヒントを求めて読んでみた。
時の流れとか、待つの対象だとかガチ考察(臨床哲学)に触れてみて、少しだけ冷静に待つことができるようになった気がする。
「待つ」って、もはや人生のテーマ。
p.14~15 香月泰男のシベリア抑留中の随想の文章があって、テンション上がった。
p.41には、武蔵と小次郎の引用があって、山口県民ちょっと嬉しい。
p.16 「忘れていいことと、忘れたらあかんことと、ほいから忘れなあかんこと」映画『沙羅双樹』より
p.25 「いま」の幅についての考察。「いま」エモい!
p.66~71 カウンセリングや傾聴もまた「待つ」を事とする。言葉を迎えにゆくのではない。言葉が、不意にしたたり落ちるのを、ひたすら待つのである。
Posted by ブクログ
鷲田清一さんの待つという定義が大変興味深い。
P16 待つということには期待、希い、祈りが内包されているというのはまさにその通りで、期待をするがゆえに苦しみが伴うと深く理解することができた。
期待等の自己を中心とした概念がなくなって初めて、待機という状態で待てるのかと思いました。
Posted by ブクログ
「待つ」ということを、哲学的に深く掘り下げてゆく本。
臨床での考え方も出てきます。
待つからにはまず時間軸が出てくるが、最終的にはその時間軸さえも超越してゆく。
ここまでくると、禅問答的で難解です。
Posted by ブクログ
技術進歩により、簡単に人と繋がることができ、情報をとることができる現代社会において、待つことに対する耐性が著しく低下している。待つことより待たなくても良いものを選択しがちであり、想定外の出来事により待つことを余儀なくされたときの精神的動揺は殊更大きなものとなる。こうした現代社会における待つことのストレスを再認識するきっかけとなった良書だと思う。「聴くこというのは待つということである」という言葉を日常生活の中でも意識していれば、コミュニケーション能力が向上するかもしれない。後半からは自分の中で消化不良であり、いずれ再読したいと思う。