【感想・ネタバレ】考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか?のレビュー

あらすじ

「なぜ日本人はゴールの前で責任を放棄するのか? リスクを負わない者は勝利を手にすることができない。リスクとは負けることによって認識すべきものではない。だが日本人は、誰もが敗戦を恐れすぎているのだ」。名将が書き尽くした珠玉の戦術論・組織論・日本人論。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

日本サッカー界の名将で去年亡くなったイビチャ・オシム氏の著作。

日本サッカーを文化的側面から分析し、日本人のメンタリティ、思考について論じられた本。

フォーメーションや戦術にフォーカスされがちなサッカーをメンタリティの観点から分析されたものは新鮮に感じられた。

リスクを負うことの重要性や、考えながら走ることが説かれていて、特に走力の重要性は今でこそ重視されているが、10年以上前からこれ程重要性を強調していたオシム氏には改めて驚かされた。文中にも代表監督候補やJリーグの底上げなど日本サッカーの展望を描かれており、先見の明を持たれていたことが伝わった。

日本サッカーの発展に寄与され、日本を愛されたオシム氏に尊敬の念を抱くと共に、心から哀悼の意を表したい。

0
2023年12月01日

Posted by ブクログ

イビチャ・オシム氏は、世界の頂点であるサッカー指導者のひとりだ
その指導者が日本にきてくれて、日本のために、本場のサッカーを教えてくれていた
なんと幸運な時代であったのだろう

本文は、「リスクを負わない者は勝利を手にすることができない」で始まる

分岐点となるのは、彼らが「自分たちはできる」と信じること。つまり「自信」を持つことなのだ。

自分たちには「何ができて、何ができないのか」。もしくは相手が「何ができて、何ができないのか」、それらを客観的に分析することが必要なのだ。

相手にとって一番強いポイントこそ、最も傷つきやすいウィークポイントなのである。

サッカーには集団的インテリジェンスが必要である。

人間は目の前に目標があると仕事がしやすくなる

走りながら素早く考えろ!

捨て去るべきことは捨てる。情報の取捨選択の能力

自分たちより強いチームとのコンタクトなしには前進はない

日本人は自分が誰より劣っていることを認めることを嫌がるのだ

負けないためにどうするのではなく、勝つためにはどうすべきかを考えよう

常に高いレベルを追い求める。1つをクリアすれば、さらに上へ、あくなき欲望とハングリーはメンタルである。

日本人はどうも負けることの悔しさを正面から受け止めない。それが美徳だと勘違いしているようだ。

偽物はいつまでたっても偽物、模倣はいつまでたっても模倣なのである

日本人はプレーにおける責任感に欠いている。まるで疫病から逃げるようにして責任から逃れる

急ぎすぎず、子供がノーマルに成長するような育成を心掛けなければならない

目次は以下です。

はじめに
第1章 日本はW杯グループリーグを突破できる
第2章 サプライズがあるからW杯は楽しい
第3章 日本代表への提言
第4章 なぜ日本人はリスクを冒さないのか?
第5章 日本サッカーの未来へ
おわりに

0
2022年05月11日

Posted by ブクログ

こういう人に1度でも日本の監督をやってもらえたことは大きな財産になっているのではないかと心から思うな。

0
2018年11月05日

Posted by ブクログ

オシム監督の思想・哲学による日本サッカー界へのビジョンに触れることができる。当時の日本代表候補をどのように見ていたのか知ることができて面白い。すごく客観的に、公平に物事の真理を見抜いていたのだなぁ。改めてすごい人だと思う。日本の学校教育のおかしさについての指摘も鋭いと思う。

0
2017年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チェック項目20箇所。日本のサッカー選手は機敏に良く動き、勤勉。敏捷性、尋常ではない闘争心、サッカーに必要な多くの感覚や素晴らしい個人技術・・・しかし技術がチームのためになっていない。ピッチで指示を待ち続けていては試合に負けてしまう。どのチームにもストロングポイントとウィークポイントがある。どんな場合もそれを客観的に精査しなければならない。責任転嫁しない。スターに敬意しすぎる。情報収集は必要だがしすぎると恐怖に変わる。自分たちには何ができて、何ができないのか、相手には何ができて、何ができないのか客観的に分析することが必要。自分を信じることがメンタリティの中でも最優先されるべきこと。相手の一番強いポイントこそ一番の弱みになりうる・・・オランダチームのロッベン。ダビデ対ゴリアテ・・・考え、頭を使う。必要なのは自信。全員で責任を持って問題に取り組む。日本サッカー界・・・W杯出場は義務。最低限の目標。判断スピード他国に比べると遅い。走りながら素早く考えるのがサッカー。中村と本田の共存・・・古い井戸に水があるうちに新しい井戸を掘るのはやめた方がいい。チーム作りは経験のある選手を中心に作る。自分が誰よりも弱いことを認める・・・なぜ弱いかを学べる。監督・コーチ、目上の人に「何をどうすればいいのか?」聴くこと。

0
2012年01月09日

Posted by ブクログ

オシムさんは特にだけど、外国の指導者の精神は日本の風土のみでは培われない(にくい)芯がある。いくら厳しく接していても、人間一人一人に対する根本的な敬意を感じる。信仰心とかも関連してるのかな。
エッセイ本としても、風土による考え方の培われ方の違いを知るという意味でもすごく面白い本でした。

0
2011年10月23日

Posted by ブクログ

2010W杯前の本なので前半の代表分析は多少古いが、後半の提言は納得感あり。
・従順な子供は扱いやすいが、サッカーでは一番のハンディキャップになる
・リスクを負わないものは勝利を手にすることはできない
・責任感がある選手だけがプレーできる
・日本では子供の頃から他人に自らの進む道を依存する傾向にある
・急激な成長は壁を乗り越える力を阻害する

0
2018年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 買うときは知らなかったが、読んでみると南アフリカW杯に向けて出版された本のようだ。結果が分かっている未来から読み直すという形になったが、そのことでオシムの慧眼に改めて驚かされた。メディアはW杯を中心に報じ、負ければ一斉に監督を非難し、チームの問題点を論う。しかし日本サッカーを真にワールドクラスに引き上げるにはそのような近視眼的な思考は足かせになる。
 オシムは日本が抱える慢性的な問題として、「責任感」、「ディシプリン」、「リスク」を挙げている。これらは2017年時でも解決すべき課題のまま残っていると思われる。またさらに本質的な問題として日本にはサッカーが文化として定着していないことが指摘されている。確かにヨーロッパや南米ではサッカーが生活の一部になっているようだ。Jリーグはテレビ中継も少なく、未だに一部の人がスタジアムに行って観戦するものというイメージだ。オシムが述べているように町のおばあさんでも地元チームのオーダーが言えるような時が来た時、日本サッカーは大きく進歩するだろう。

0
2017年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サッカーを通じて日本人のメンタリティを紐解く。
日本代表の監督をしていたイビチャオシム監督から見た日本人の特徴を語る。他を尊敬しすぎることや自信のなさが欠点だと語る。それでも世界に通用する力はあり、オリジナルを目指せとも語る。

どんな世界にも通じるような価値観が見える良き一冊。
一番印象的だったのは模倣をする限りそれはオリジナルを超えることは出来ず、自分の強みを活かしたオリジナルをつくることが重要だという内容だった。

0
2016年05月05日

Posted by ブクログ

2010年、南アフリカW杯を控えて書いた本。考え方が、サッカーを超えてためになる。
長所、短所を客観的にみつめる。悪条件化ではメンタルフィットネスの準備。

C0295

0
2014年11月15日

Posted by ブクログ

サッカーから日本人の特性やメンタリィティを紐解いている。
日本人に足りないリスクテイクと自信。それを克服するために自分と相手をリスペクトすること。つまり、自分と相手をよく知ること。楽観主義に客観性を加えることが必要なのだ。

0
2013年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

元日本代表監督イビチャ・オシム氏が2010年Wカップを前に日本サッカー、日本代表について語っています。




ジェフをナビスコカップ優勝に導き、日本代表監督に就任した記者会見で「日本を日本化する」というオシムの言葉に希望を見たのを覚えています。


結果として体調の問題で日本代表監督を続けられなくなってしまったのが、本当に残念でならない。


この本では日本人の長所、短所について語られており、日本人では当たり前のことがオシムには違って見えているようです。

短所の一つに日本人は悲観的すぎると言っています。

日本人の長所は、ヨーロッパでは「あなたの隣にはいつも日本人がいる」という冗談がある、というほど高い敏捷性にあるとしています。


体格的なハンデばかりに目がいきがちですが日本人には日本人なりの戦い方があると言っています。



またヨーロッパではユース世代にクラブチームが莫大な投資をしているのにも関わらず、日本では学校のクラブ活動で運営されていて、さらにクオリティの高さにも驚いています。



このように日本人には当たり前すぎて気づかない長所短所もオシムだからこそ気づく一面もあるように思います。


なんだか読めば読むほどオシムのいう「日本人を日本化する」と言ったオシムジャパンの完成系を見てみたかったと思ってしまう。

0
2012年10月07日

Posted by ブクログ

W杯ぎりぎりになってオシム氏の書いた新書を読んだ。(間に合わせないと。)彼はグラーツに住んでいるんだ。なかなかおもしろい。

敗戦を覚悟しておく事によって、負けを恐れずに戦えるし、負けたとしても引きずらず上手に切り替えることができるという考え方。オシム、正しいと思う。

0
2012年09月15日

Posted by ブクログ

オシムの目から見た"日本人"の考察。サッカーに限らず、指導者全般に向けた本。むしろサッカーにのみ興味がある人にとっては非常につまらないのではないかとさえいえる。

日本人の精神・風土・社会を考察し、進むべき方向を提言している。外国人だからこそ日本人の精神性を客観的に見ることができるのだろう。サッカーに興味がなくても何かを指導する立場であれば是非読むべき一冊。

0
2015年11月13日

Posted by ブクログ

日本代表の中盤、遠藤に対する当時の印象。この本を読んで、彼はかなり変わったのではないかと思うくらいだ。
あと、日本に外国人ブレイヤーを帰化させる意識はないのかと。
確かに、日本の中盤は海外で活躍している選手が多い中、FWにはいない。
ストライカーがほしいと思う。

0
2011年12月13日

Posted by ブクログ

もちろんサッカーについての話がメインだが、題にもあるように日本人の性質をサッカーを通して客観的に見ている。特に日本人の長所や短所を含めた国民性のようなものを、日本の歴史的な背景(敗戦国であること等)や日本における地方の歴史的な特色と関連させて述べている部分は非常に興味深かった。

0
2011年12月11日

Posted by ブクログ

「リスクを負わぬものは勝利できない。そしてリスクとは、負けることによって認識すべきものではない」

この言葉は響いた。

でも木村元彦が書くオシムのルポの方が、100倍良かった、、、読み返そうかな。

0
2020年07月25日

Posted by ブクログ

スポーツニュースは恐い 刷り込まれる<日本人>でオシム氏の発言が取り上げられていたので興味を持って読んでみた。サッカーのルールすら分からないので、意味不明のところも多々あったが、プロサッカーは自分と相手の分析、練習、実行…の繰り返しであり、知的なゲームなのだなと理解した。
この本の中でオシム氏は日本語は分からない、と明言している。それでは誰がオシム氏にインタビューし、日本語にまとめたのだろう。無名のライターさんなのかもしれないが、全くその情報がないのが気の毒だし、ちょっと不気味だ。

0
2019年12月22日

Posted by ブクログ

目次を見ずに買う方が悪いが,内容的に南アW杯に特化していたのはちょっと想定外だった。
南アでの中村2人と本田の扱いはこの時点とこのあととでオシムさんにどう映ったのだろうか。

0
2019年06月17日

Posted by ブクログ

イビチャ・オシム氏。

W杯へ向けての各国の準備状況や、岡田監督に配慮しつつ日本の戦い方について提言を与える。そして日本サッカーは未来へ向けてなにを準備すべきかについて語る。

分厚い本ではないけど、内容は濃い。

例えば、「ベスト4」という大きな目標を持つのは当然だし、それに対して悲観的である必要はない、という。選手ばかりでなく日本國民もだ。萎縮し恐怖しては達成できるものもできなくなってしまう。ただし、イケイケドンドンの盲信ではいけない。

こうした凛とした言葉に、読み手は大いに勇気づけられる。

話題は一貫してサッカーの周辺から動かないが、内部からはなかなか見えない「日本人論」、または「日本そのものへの提言」と読んでもいい、優れた洞察がある。

オシム氏が元気で、今回も監督として日本を率いたらどんなだったろうと想像する。もう一つ輪郭がはっきりしない現チームと比べて、少なくとももっと熱があり、可能性が感じられたのではないだろうか。

0
2019年06月13日

Posted by ブクログ

ポリティクス politics 政治学。政治活動。政治。
パッシングゲーム パスだけで行うフリーランスオフェンス
アトラクティブ attractive 魅力的
ディシプリン 規律
エフィシェント 効率的
エキストラ 番外のもの。特に映画などの、臨時雇いの端役
ダビデ対ゴリアテ 羊飼い少年ダビデが戦士大男ゴリアテを倒す物語。
ペシミスト 悲観主義者

0
2017年01月29日

Posted by ブクログ

面白かったんですけど、オシムさんの哲学の本だと思って買ったらがっつりサッカーの話でした。当たり前ですよね笑

0
2016年01月26日

Posted by ブクログ

日本サッカーとは言うものの、問われているのは日本人です。2010年南アw杯前に出た本ですから、今読むと懐かしい気すら致しますが、本質の部分はなんら変わっていないように思います…リスクを負わないで、安全地帯でやいのやいの言ってるだけの輩、周りにも多いもんなぁ〜

0
2015年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リスクを負わないものは勝利を手にする事が出来ない

日本人は考えすぎて瞬時の判断が遅い。

セルフイニシャティブも低い(率先して行動をおこせない)

リスクを背負う資質があるのになぜやらない

ハングリーでない(覚悟がない)

日本人は競争社会を勝ち抜こうとするための意地やプライド、人間的な迫力に欠ける

無関心でなく、言葉の戦い、衝突を!

0
2013年12月07日

Posted by ブクログ

未だに多くのフットボールファンから愛されるオシムが、南アフリカW杯前にグループで当たる国に対して日本代表が如何なる心構えで受けるかを書かれていたり、日本人サッカー選手やJリーグ、未来について書かれている。多くの外国人を帰化させる事等、賛同できない部分もあるが、数多の経験を積み、世界を見てきたオシムから見える日本人を聞けるのは貴重だと思う

0
2013年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
2010年W杯直前にオシムが語った、当時の日本代表についての分析本………それを、結末を知ってしまっている今(2012年)読んだ。

当然、当たっている部分もあれば、本大会では違う結果になる部分もあった。
でも、合っていても違っていても、一つ一つの言葉には納得できる。




あの6月の岡田ジャパンで、もし中村俊輔がもっと光を放つことができたなら………

中村俊輔が、オシムの教えを忠実にこなしていたなら………

と、“たら・れば”が頭をよぎる。


で、最後はやはり、

もし、オシムが倒れることなく指揮をとり続けていたら………

という夢想(願望?妄想?)にたどり着いてしまう。

★3つ。7ポイント。
2012.11.14.了。

0
2015年08月21日

Posted by ブクログ

なぜ日本人はリスクを冒さないのか。という副題のつけられた本書は2010年南アフリカW杯直前にオシム元監督によって書かれた考察本である。
その副題のとおり日本代表がW杯で勝ち上がって行く中で必要なことはリスクをかけたプレーをプレーヤー自身が判断しながら行っていくことだと述べられている。主にW杯にむけた内容なのでW杯の終わった今になって読むと少しつまらない部分も多いが、オシム元監督の持っているサッカー観非常に面白く、サッカーにいかせる部分も、さらには人生にもいかせると思う部分も多くあり非常にこれからのサッカー人生に一つの視点が加えられたことを喜んでいる。
中でも興味深かったのは『敗北の覚悟』を持つという事。相手を軽視して勝ちという目標ばかりを見つめると精神状態は良いようにはならない。相手を正しくリスペクトし、自分たちのできる事・できない事、相手の長所・短所を客観的に見つめてやるべきことを選択して行くのが正しいプロセスなのだと繰り返し解いているこの本からは、僕たち日本人が忘れかけていた真のリスペクトについて思いだすきっかけをもらえる。

0
2012年03月01日

Posted by ブクログ

サッカー日本代表元監督のオシム氏のサッカー論。日本人論が多く語られるかと思ったけど、結構なシビアなサッカー論でした。サッカーファンには堪らない戦略論や諸々だと思います。僕は左程サッカーに興味ないので。。。

0
2011年12月29日

Posted by ブクログ

考えながら何かをすることの大切さはどんなことにでも言える。
日本のサッカーは近年発展してきたが、昔の育成の現状はひどいものであった。Jリーグの下部組織は別として、地方の公立の中学校など、全く考えず練習をこなしている選手達がほとんどであるという状況を肌で感じてきた。感覚でプレーをしている選手がほとんどで、考えさせようと努力をしていた指導者は多数いたとは思うが、考えながらプレーしていた選手は少数に限られていたと思う。
オシムはそんな日本に当然の考えを持ち込んだ。バレーや柔道など、昔から日本でメジャーなスポーツでは考える文化が存在し、選手達も自動的に考えるように育つ。サッカーはまだそこに達してはいなかった。これから、考えることが文化として根付くことをオシムは期待しているのだと思う。
考えながらプレーをするその積み重ねが素晴らしい創造性を生み、鋭い感覚を生む。サッカーの後進国の日本が、これから進歩していくためのピースとして一番重要な考えることを日本代表の元監督が語っている。

0
2011年12月15日

Posted by ブクログ

もしもオシムさんが引き続きサッカー代表監督をされていたらどうなったかという「もしも」の想像をたくましくする本。

言わずと知れた、「考えて走る」サッカーという言葉が標語のようにもなった、
サッカー前日本代表監督のイビチャ・オシム氏の本です。
「2010年4月10日初版発行」となていますから、まだ新しめの本です。
あと20日くらいに迫った、南アフリカW杯に向けた、
日本代表に関する内容になっています。
まずは、グループEのカメルーン、オランダ、デンマークの
チーム分析、紹介から始まっていきます。
そして、各国とどう戦うべきか、日本に分はあるのか、
というところを論じてくれます。
そして大会の見どころを短く語り、
続いて大事な「日本代表への提言」が始まります。
岡田監督をどう見ているのか?
今の代表の長所と欠点は?
戦術についてどう考えているのか?
選手についてはどう見ているのか?
そういったことが語られます。面白そうでしょう?

これが、オシム氏ならではの洞察力、哲学、慧眼によって、
独特の言葉回しで代表を分析しています。
日本人は俊敏で敏捷性が高い、としながらも、試合ではプレーのスピードが遅い。
そのこころはなににあるのかといえば、瞬時に考えることができていないためだ
っていうことになるんです。考え過ぎて動けないというところもある。

・試合に臨む前に、格下と思われる相手に「勝てるんだ」と
陶酔感のようなものを持つと、とんでもない結果になるということを言っています。
これは、2006ドイツW杯のオーストラリア戦を例にあげている。
・相手をリスペクトするのが大事。でも、過大評価してはいけない。
そして、選手は自分に自信を持つこと。
・情報過多になると相手を恐れることになって、
アグレッシブにプレーできなくなる。

とか、けっこう、ズバズバと一流の指導者の口からサッカー観が語られて、
その切り口が鋭くも力強いために、うんうんうならされるような本です。

面白いです。これ一冊で、南アフリカ大会での日本代表戦を観戦するのには
十分かといえるほどです。
ただ、幾分、これまでのサッカーや選手の名前を知っていたほうが読みやすい。
ファン・バステン、ベッケンバウアーなどの有名どころですけど。

日本代表の本番、グループ突破ができるかどうかは、まだまだわからないところです。
どんなフォーメーションでくるのかも決まっていないだろうし、
韓国戦とイングランド戦、そしてコートジボワール戦の結果と内容を見てみないことには
期待も失望もできないところだと思います。
ただ、そうはいったところで、まだこれらのテストマッチでは、選手たちは怪我を恐れるでしょうから、
たとえば中村俊輔や遠藤といった選手が、パスを出したりドリブルをしたりして前線に切りこんだり、
ボールを持っていない状態で前へ走りこんだりということはしないでしょうね。
もしかすると、本番でも彼らはそういったリスクを冒すプレーをしないままかもしれない。
そうなったら問題なんですけどねー。

っといったところも、この本を読むと考えられるようになります。
前回の記事にUPしたサッカー本を読むならば、こっちを読みましょう。
日本代表のW杯用ではありますが。
スペインとかブラジルとか、外国のチームが気になる人は、Numberの別冊でも
買ってください。僕は買いました。

0
2025年06月15日

「スポーツ・アウトドア」ランキング