あらすじ
金色にかがやく草原の果てに佇む、緑に囲まれた白亜の校舎。全寮制の名門校リデルハウスには、奇妙な制度があった。特別な才能を認められた生徒は「ラヴ」と呼ばれて、普通の生徒が知らない場所で学園生活を送っている。そして、かれらはリデルハウスからの“制約”の見返りとして、在学中に一度だけ「ギフト」を行使できる。「ギフト」は、実現可能な望みであればなんでもひとつ、叶えることができるという──。新鋭が紡ぐ、懐かしくも新しい少年少女たちの物語。
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Posted by ブクログ
スピン誌での連載も読んでいたので完結を見届けることができてよかったです。
すでに読んだはずの『金曜日のゆううつ』と『水曜日の誘拐』で、ああギーディーこういう子だったわとかタキのツンデレ好きだわと感じたことを思い出し、書き下ろしの『木曜日は真夜中に』でこれは佐原さんの最高傑作ではと感嘆し、とほほなマミアンの『月曜日のページ・ボーイ』で優秀な弟を持つ長男な自分と重ね合わせたりして、最後の『日曜日の魔法使い』でああ読んでよかったーとなりました。
ギーディーとアモニカが話していた「どちらも捨てずに、どちらも取る。その方がうんと素敵だし自由だ」が決断を迫られたラヴたちの方向を決めるのもたまらなくいいし、何かと二択を迫りがちな世界ではっとさせられたのでした。
ラヴたちの一度限りのギフトをいとも簡単に行使するのもとても心地よかったです。
少年少女たちの物語なのは間違いないし、子ども時代を思い出して懐かしい気持ちにもなりつつ、読んでいて後半からは祖国や文化を失った世界中の人々に思いを馳せることにもなりました。そういう意味でこれは伝承の物語なのかなーなどとも思いました。
『スターゲイザー』、『ネバーランドの向こう側』を経て本作にたどり着いたのは必然だったのかななどとも思いました。
今年読んだ小説心のベストテン入りが確定しました。オススメです。