【感想・ネタバレ】シモネッタの男と女 イタリア式恋愛力のレビュー

あらすじ

人生には、前世からの定めとしか思えない運命的な出逢いがある。──イタリア語通訳として長年活躍する著者が出会った、年齢も国境も超えた忘れがたい6人の男女。イタリア美容界・女王の素顔、和製カサノヴァの正体、ギリシャ彫刻さながらの美男の逆玉の輿の顛末……彼らの人生をたどり直し、著者ならではの洞察力と共鳴力で、奥深い真の姿を鮮やかに描ききった珠玉のエッセイ集。“シモネッタ”の名付け親、米原万里さんに捧げる感涙必至の追悼エッセイを収録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

7人の男女の生きざまを描いているが、内容は必ずしも書名から連想されるようなものではない。著者本人も「羊頭狗肉」と言っている。
最後の章「はかなき露の字に代えて」は、米原万里の、知り合ってから亡くなるまで。似た者どうし、下ネタと毒舌でマウントを取り合った。初代シモネッタと二代目シモネッタのことばのやりとり、両者ともツッコミ役の漫才、絶妙のコンビだった。そうして互いに齢を重ねて、やがて万里の闘病生活、別れは否応なくやってくる。笑いながらも、涙なしには読めない。いまは亡き万里へのラブレター、究極のレクイエム。

0
2025年05月03日

Posted by ブクログ

イタリア語通訳者の筆者がイタリアで日本で、著者が出会った忘れえぬ男女―“シモネッタ”が捉えた人間劇場のユーモア&ペーソスをつづったエッセイです。しかし圧巻は盟友・米原万里さんを追悼するくだりでした。




「シモネッタ」こと田丸公美子さんのエッセイです。ここに描かれているものは田丸さんがイタリアで知り合った男女のことで、女同士の友情あり、2人のイタリア女性を手玉にとって「ウタマロ」の名を冠した日本人男性のお話や、エステサロンの女王といわれたある女性の恋をはじめとする6編のエッセイが収録されております。

その中でも圧巻だったのは癌で他界した盟友の故米原万里さんにささげたエッセイで、僕は佐藤優→米原万里→田丸公美子の順番で著作を読み進めてきていますので、なんとも感慨深いものを感じました。

出会いから交友、通訳から作家へと緩やかにステージを変えた盟友の見つめるまなざしが暖かくこういう人と後何人出会えるか? ということを考えさせられました。

僕の考えるハイライトはやはり、米原さんが闘病をする箇所で、あらゆる治療法を試し、万策尽きて抗癌剤治療を施すという決断を筆者に言う場面にはページをめくる手が鈍りました。

これは、佐藤優さんの本に詳しいのですが、自らの運命を覚悟した彼女が病床に佐藤さんを呼んで、
「仏教が無心論者であるということを納得の行く形で説明してくれ」
というお願いをしていたお話はこうしてみると、最後まで彼女は自分を貫いて逝ったのだなぁと感じました。

少し、説明を加えると、米原さんも両親もともに無神論者で、葬式は無宗教で済ませたのですが、米原さんが気に入るような無宗教の霊園が見つからず、自宅近くの真言宗の墓に決め、両親とともにお墓に入るには真言宗にのっとって葬儀を行わねばならず、それが自分の信念と矛盾していないか、という確認をしていた、という箇所に改めてその精神力の強さに衝撃を受けました。

この本で筆者は自分が下ネタを飛ばしていたのはひとえに米原さんの笑うところを見たかったからだ。という箇所があり、まだまだ田丸さんの「シモネッタ」振りが見たい反面、大事な人が旅立ってしまうということは残されたものに大きな喪失感を抱かせるのだということを改めて思い知った次第でございました。

※追記
本書は2013年2月8日、文藝春秋より『シモネッタの男と女 イタリア式恋愛力 (文春文庫 た 56-5)』として文庫化されました。

0
2024年10月19日

Posted by ブクログ

イタリア語通訳の著者の友人エピソードをまとめたエッセイ。
短編集を読んでいるような感覚。とくに最終章の米原万里さんとの最後の交流は泣けました。米原さんの華やかさ、知性、この人はこんな人だったんだろうなあというのが伝わってくる文章でした。
彼女あっての自分、と謙遜する著者ですが、ユーモアのセンスが抜群で、とくにとっさに洒落で言葉を返せるのはさすがだな、といつも思います。

0
2013年05月21日

Posted by ブクログ

すべて読み終わって、改めてタイトルに返り「男と女」の物語であったと再認識。
異文化と個性が強い登場人物の話に引き込まれがちだが、恋愛に関する深い真理が一貫して描かれている。
それでいて恋愛に関しては、親友・米原万里さんと明け透けに話さなかったと言う記述があり、胸が熱くなった。

0
2015年01月23日

Posted by ブクログ

イタリア語通訳として知り合ったイタリア人男女の物語り。取り上げたイタリア人達の老後に触れられているのと、著者の寄る年波のせいか売り物のユーモア&ペーソスのペーソスの割合が断然高くなってきている。巻末に描かれた友人米原万里さんの最後の日々が哀しい。

0
2013年04月30日

「エッセイ・紀行」ランキング