あらすじ
※本書は2019年に刊行された『バズる文章教室』に加筆修正を施し、新たなコンセプトのもとで再編集したものです。
「伝わる文章」と「読まれる文章」は違う?
ニュースやSNS、メール、レビュー。
私たちは毎日、たくさんの文章を読んでいる。
…けれど、心に残る言葉はほんのわずか。
なぜ、特定の文章だけが記憶に残るのだろうか?
その秘密は「文体」にあった!
本書は文芸評論家・三宅香帆が、「文体」という謎を読み解く一冊。
正しくてわかりやすいだけでは届かない、
「人の心を動かす言葉」の技術を、本や日常の言葉から探り出す。
文章がもっと好きになる、新しい「ライティング入門」。
【コンテンツ】
Chapter 1
惹きつける文体
・星野源の未熟力ーー問いを共有する
・森鷗外の寄添力ーー最初にしつこく「これは記憶だ」と伝える。
・しいたけ.の誘引力ーー最初に意味不明な言葉を放り込む。 …など
Chapter 2
先を読みたくなる文体
・村上春樹の音感力ーー読みたくなるリズムを使う。
・司馬遼太郎の撮影力ーーカメラだけで書く。
・谷崎潤一郎の気分力ーー「どう感じているか」をくっつける。 …など
Chapter 3
説得力を生む文体
・秋元康の裏切力ーーオチでひっくりかえす。
・さくらももこの配慮力ーーオチを先に書いてしまう。
・こんまりの豪語力ーーアンチに対するフォローを入れておく。 …など
Chapter 4
記憶に残る文体
・俵万智の合図力ーーカタカナで注目させる。
・J・K・ローリングの超訳力ーー「引用言葉」を拡大解釈する。
・清少納言の音合わせ力ーー似た音でそろえる。 …など
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
三宅香帆に「ひみつ」と言われると読んじゃう…
この本でもいかんなく発揮されるのは著者がどれだけの本を読んでいるか。この本で取り上げられている文章は書籍化されたものが大半だが、ブログ記事やAKB48の歌詞までカバーする。
指摘の一つ一つが素晴らしい。読みやすい文書のところで取り上げられたのは、「息を吸って」「吐いて」この一呼吸でちょう度一段落ずつ読める、というのは「なるほど!」と膝を打ちたくなった。
Posted by ブクログ
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか 』(集英社新書)で注目されていたのも、もう2年前か……。 随分と売れているようだけど、働いていても本は読めるぞ、と自分には関係ないものとスルーしていた。
その後、「言語化」やら、「あの名作を」といった、キャッチ―な新書を次々出しているのも見ていた。帯に顔出しまでして、なんだ、ちょっとビジュアルでもウケるのか? 出版業界も渡りに船とチヤホヤしてるなと、まだ冷めた目。
去年の紅白で、とうとう審査委員にまで昇りつめてて、一躍、時のヒトだと驚いてもいた。そんな新春、テレ東の本にまつわる番組で、小川哲と一緒に出ていた。それを見て、お、こやつ面白うそう?! と思い、ようやく著作を手に取ってみたというもの。
その番組で、「わたし、文体オタクなんです」と言い切ったご本人。オタクの執念というか、思い込んだらどこまでも、という気概が横溢していて良かったのだった。
で、本書。
文体の分析。なるほどね。よくも各章に10以上もの作者、作品をそれぞれ並べ、その作者に「〇〇力」があると命名し、文体の特徴をひと言添える。それを徹頭徹尾やりきった点は、ひとまず拍手。
たとえば、森鴎外の寄添力、村上春樹の音感力、綿矢りさの簡潔力 etc. etc.,,,,
この手のハウツーものは読みやすいほうがいいので、項目ごとに名前が付いていて、「どれどれ?」と入っていける。
必ずしも、著者の文体を見事に表現していると全てに言えるものではない ― そのお題に適した、作品、文章を拾ってきて解説しているに過ぎない ― のではあるが、説得力を持たせる、強引さはある。
やはり、歴史に名を刻む文豪や、人気作家は、なるほどと思うところがあるが、ブロガーやインフルエンサー、エッセイストなどは、果たしてそうなの? あるいは、それは本当に文体か? と思わんでもない(テクニックに過ぎないものも多い)。
後半、だんだん齟齬も来たしてくる。
井上都の冷静力で、「感情をみせない」ことを良しとすると紹介した後で、谷崎潤一郎の気分力として、「どう感じているか」をくっつける、とくる。
「感情描写を添えると、読者と気持ちを重ねられる」のだそうだが、どっちやねん!
でも、井上都のところで書いてある、
「言葉よりもずっと、行間のほうが強いのです。」は、ある意味、名言か。
それにしても、よくぞこれだけの表現者を集め、個々に分析したものだと、そのオタク気質には、素直に賞賛を送りたい。
なにより、ナンシー関の文章まで読み込んでいるとは驚いた。かなり終盤、だんだんどうでもよい章が増えてきたところでのナンシー関の登場(「ナンシー関の警告力」)は、ちょっとテンション上がったかな?(あくまで個人の感想です)wwww