【感想・ネタバレ】ソフトウェア設計の結合バランス 持続可能な成長を支えるモジュール化の原則のレビュー

あらすじ

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ソフトウェア設計に対する新たな視点を提供する一冊。
「結合」を活用し、システムの複雑性を管理、モジュール性を高める!
柔軟性の高い進化するシステムを構築。

「結合」とは、モジュール設計における基本概念の1つで、モジュール間の相互作用や依存関係の強さを表します。この「結合」を適切に管理することで、ソフトウェアシステムの保守性や拡張性、ひいては進化性を向上できます。

言い換えれば、ソフトウェアシステムの持続可能な成長には、「結合」の適切な管理が欠かせません。しかし、その重要性にも関わらず、「結合」の概念は深く理解されないまま使われているのが実情です。

本書は、「結合」という概念を現代のソフトウェアエンジニアリングに適応できる形で改めて解説することで、こうした状況に一石を投じます。

本書では、まず構造化設計やオブジェクト指向設計に用いられてきた「結合」に関するモデルや評価手法を包括的に解説します。さらに、複雑性を管理し、モジュール性を高める設計ツールとして「結合」を使用する新たなアプローチを提案します。

ソフトウェアアーキテクトや開発者だけでなく、ソフトウェア設計に関わるすべての人々にとって、ソフトウェア設計に対する新たな視点を提供する一冊です。

【章構成】
■第I部 結合
第1章 結合とシステム設計
第2章 結合と複雑性:クネビン
第3章 結合と複雑性:相互作用
第4章 結合とモジュール性

■第II部 次元
第5章 構造化設計におけるモジュール結合
第6章 コナーセンス
第7章 統合強度
第8章 距離
第9章 変動性

■第III部 バランス
第10章 結合の均衡化
第11章 結合の再均衡化
第12章 ソフトウェア設計のフラクタル幾何学的性質
第13章 均衡結合の実践
第14章 結論
第15章 エピローグ

※本書は『Balancing Coupling in Software Design: Universal Design Principles for Architecting Modular Software Systems』の翻訳書です。

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Posted by ブクログ

> 現代のソフトウェアシステムは、何百、時には何千ものモジュールで構成されている。...結合を完璧なバランスに保つことは、精密な時計製造の世界で見られる最新の調和と同様に、堅牢性と適応性を兼ね備えたシステムの実現に不可欠だ。
> では、どうしたらそのバランスを実現できるだろうか。
>; それが本書でこれから学ぶことだ。(イントロダクション)

「結合」をテーマにした、ソフトウェアの構成の仕方を書いている。言語化がとてもうまく、良書。

クネビンフレームワーク(明確系、煩雑系、複雑系、混沌系)の説明は、複雑性は主観に基づいているという立場のもと、どの解説よりもわかりやすく書かれている。本書にも書かれているように、ソフトウェアを例に書かれているものの、多くの例に適用可能だと感じた。

> クネビンフレームワークは、医療から農業まで、さまざまな状況で使用できる意思決定支援ツールだ。...機能を内製化すべきか、それとも既存のソリューションを購入する方が費用対効果が優れているかなど、戦略的な意思決定を行う際にも使用できる。(クネビンフレームワークの適用)

「モジュール」の定義もよく言語化されている。

> モジュールとは、明確に定義された機能を内包する境界であり、システムの他の部分から使用されるために公開されるものを指す。(ソフトウェアモジュール)

コンポーネント間の距離を記述した後に続くコラボレーションと組織に対する洞察もおもしろい。

> システムのコンポーネント間の距離は、チームの距離がより離れることによるライフサイクル結合の減少によって拡大する可能性がある。...チームが分散するにつれて、ライフサイクル結合の減少により、システム内のコンポーネント間の処理が増加する。一方では、この距離の増加はコンポーネントの独立性を促進する。しかし、変更がそれらの遠く離れたコンポーネントに影響を与える場合、より高いレベルの調整作業が必要になる。...ここで述べていることは...リモートファースト企業に対する反論だろうか。そうではない。これはソフトウェア設計で解決すべき組織的な要因だ。(ソリューションの変更)

そのほか、企業の競争上の優位性をもたらすドメインは本質的に複雑性を含むこと、機能の線型的な成長に伴って知識はサブリニアに、相互作用はスーパーリニアに成長するが、我々の認知的限界は成長しないことなど、前提となる概念の明確な定義の上に豊かな議論が展開されていて、学びがある。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

ソフトウェア設計では、結合をなるべく減らす「疎結合」が推奨される。では、結合は本当に悪なのだろうか。

本書は、結合を悪と断じない。要はバランスである。結合とはコンポーネント間の相互作用だ。システムは複数のコンポーネントの組み合わせで成り立つ。相互作用がなければシステムは動かない。だから重要なのは「結合をなくすこと」ではなく、「どの程度の結合に収めるか」という見極めだ。

では、何を物差しにバランスを取るのか。本書は三つの次元を示す。強度・距離・変動性である。結合の強度が高いものは近くに置き、低いものは遠くに置く。強度が高いのに距離が遠い関係はバランスが悪い。ただし、変動性が低いなら、必ずしも直ちに是正する必要はない。

この三つの次元に至るまでの道筋で、本書は抽象化の要点を解きほぐす。複雑性から出発し、モジュール設計、コナーセンス、結合の諸論点をたどって考察を深め、最終的に強度・距離・変動性へと収束させる。読後に残るのは、この三語のインデックスだ。その導出過程自体が、抽象化の良い手本になっている。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

結合のバランスをとるためのファクターについて細やかに説明して、シンプルな定量化をしている。分かりやすかった。
ぼやっと考えてることが言語化されてる感じ。

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2026年01月19日

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