あらすじ
たとえままならずとも。あたたかな恋の旋律
人を好きになること。その人のなかに飛びこんでいくこと。
あんな怖いことをよくやったね自分。
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
恋とか愛とか、心の柔らかい部分を描いた物語。その柔らかい部分が愛によって包み込まれたり、柔らかいからこそ簡単に傷ついたり。
感情の描写が、とても繊細だと感じました。
私が特に好きだと感じたのは、「天鵞絨のパライゾ」です。ユーシェンと主人公の関係性。
恋情があるわけではない。けれど、深くお互いを愛し大切にしているように見えました。それでも彼らは、恋情ではないから自分の人生のために、自分のやりたいことをするために、相手の人生を大切にするからこそ離れる選択をする。恋情だと、近くにいようとしてしまうけれど、近くに居なくともお互い大切に思っているとわかっているからこそなのかな?私は思いました。人を好きになるって自分よがりではないか、相手に迷惑じゃないか、そんなことを考える夜もある。人との関係に悩む夜に読んで欲しいと感じました。