あらすじ
たとえままならずとも。あたたかな恋の旋律
人を好きになること。その人のなかに飛びこんでいくこと。
あんな怖いことをよくやったね自分。
「好きだ」と言ってくれる男性と結婚するも、少しずつすれ違っていく心に気づかないふりをして生活を続けようとする「私」に、海辺の別荘で出会った隣人の画家を忘れられない「私」……。
恋に落ち、人を愛することに決まったかたちなどない。
目の前の気持ちに、ただ必死に追いつこうとする人々の姿を描いた6編の短編を収録。
一筋縄ではいかない、珠玉の恋愛小説集。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
いろいろな愛のかたちが描かれた短編集。
同姓愛や、淡い恋…過去に思いを馳せたり、戻ってこない恋を慈しんだり。
窪先生の恋に対する“どうしようもない想い”を詰め込んだ物語たちは、今回も私も胸に刺さりまくった。
『海鳴り遠くに』
夫と死別し、ひとり夫の海沿いの別荘に住む恵美。そこで出会ったのは、隣に一時的に越してきた絹香。恵美は絹香と出会うことで、再び女性を愛するという自分の性を自覚するも、困惑を隠せずにいて…
ドラマチックなラストに胸がときめいた作品。
『風は西から』
母子家庭で育った陸。そんな彼の日常に突然現れたはとこの桃子。陸は元カノを親友にとられたり、桃子との突然の出会いで困惑するも、少しずつ桃子に心情を吐露していくことで少年らしい爽やかな成長を遂げていく。
『パスピエ』
いつもの居酒屋さんで出会ったのは、足がとてもキレイな中野さん。風変わりな彼女とひょんなことから付き合うことになった板倉だが、彼女にはとてつもない秘密があった…複雑なラストに胸がザワザワした。
『赤くて冷たいゼリーのように』
私立高校の清掃員をしている宏。そこでいじられていた男子高校生結を救ってから、ふたりは街中で遭遇し交流を重ねていく。そして結と交流するなかで、宏は亡き幼なじみを思い出し胸を焦がしていく。ラストに待ち受けるふたりの別れは切なかったなぁ…
『天鵞絨のパライゾ』
短い交際期間を経て結婚した私とY。しかしすれ違い続けたふたりは離婚することに…その後私は堕落し、友だちのユーシェンに助けられながら、何とか元気を取り戻していく。この世界を、周りの人たちを愛しいと思えた作品。
『雪が踊っている』
息子の友だちの親がかつての元彼だった。元彼とは、彼の親から結婚の許しが得られず破局することになった経緯があり、複雑な心境を抱える弥生。そんな彼女の思いとは裏腹に親交を深める子どもたち。過去の恋傷を引きづりながら、必死に今の自分と向き合い続ける弥生の姿に共感しっぱなしだった。雪のキレイさと儚さが相まって、美しい話だった。
特に好きな作品は、冒頭2作品。
ひとそれぞれ愛のかたちは違っていて、嬉しかったり苦しかったり、決していいことばかりではないけれど、やはり誰かを愛していたいなぁと今回も窪先生に教えてもらった。
次はどんな愛のかたちを描いてくれるのか、今からとても楽しみだ。