【感想・ネタバレ】プロ視点の野球観戦術 戦略、攻撃、守備の新常識のレビュー

あらすじ

本書は、日本野球の「常識」を問い直し、観戦の視点を根底から刷新する一冊である。著者は名手・宮本慎也。プロでの実績と代表経験に裏打ちされた洞察力に、最新のデータ分析を加え、日本野球の構造を多角的に検証する。本書のテーマは、「戦術としての野球」の再定義にある。送りバントは本当に手堅い戦術なのか。2番打者はつなぐ役目か、それとも最強打者が入るべきか。得点を奪うことと失点を防ぐこと、果たしてどちらが勝利に直結するのか。これらの問いに対し、宮本氏は従来の思考停止的な前提を切り崩し、勝利に資する合理的な戦術眼を提示する。さらに、メジャー流の守備と日本式守備の比較、日本に根強く残る「打率信仰」への疑問、そして高校野球における用具・ルールの課題にも踏み込むなど、視野は広範に及ぶ。著者は、PL学園から同志社大学、社会人野球を経てプロ入りし、通算2133安打、408犠打を記録。10度のゴールデングラブ賞、WBC優勝、北京五輪主将と輝かしい実績を持つ。現役引退後はNHKの野球解説者、評論家として活動するとともに、学生の指導にも積極的に携わっている。技術論にとどまらず、戦術と構造を見通す本書は、ファンのみならず、選手、指導者にとっても必読の内容である。「観戦力は戦術眼で磨かれる」――。データとプロの経験が導く「勝負の読み方」は、野球という競技の理解を一段と深めてくれるだろう。新たな観戦の地平を切り拓く、新時代の野球論の決定版である。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

色々なデータに基づきながら
ときに私見も交えながら
日本のプロ野球もメジャーのように
また高校やアマチュアの育成の中身も変わってくるだろうなと

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

メジャーリーグが身近になり、日本のプロ野球の常識が変わってきています。ヤクルトで活躍された宮本慎也さんが打順の組み方やバッティングの目指すべき形などを語ってくれています。勉強になることが多く、良書でした。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

小学生の子供たちに野球を教える立場になって、自分の無知を思い知り、教えることの難しさに悩み続け、YouTubeや書籍で仕入れた知識を実際に自分で試し、ある程度しっくり来たことだけを少しずつ必要そうな選手に伝えていく。

そんな、常に人体実験の繰り返しのような週末なので、少しでも指針たったり指標となりそうな、その道のプロ中のプロの方の最新の把握状況を知りたくて購入。

いろいろと最前線を知れたので、また次の週末に活かしていければと。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

「日本野球(スモール・ベースボール)」の当たり前は当たり前じゃなかった。冒頭から、僅差での勝利に強いチームと3点差以上の差をつけての勝利に強いチーム、無死一塁での犠打とヒッティングでの得点力の差の過去10年間のデータが提示される。3割バッターが各リーグで1、2人しかいないという極端な投高打低の現在、「打てないんだから虎の子の1点を守りきれるチームこそ強いのだ」と、特に2023年の阪神タイガースなどを見て、そういう結論に結びつけたくなる(読売ジャイアンツの阿部監督もそうだろう)のだが、実はこれこそが過去10年の内の例外中の例外だったとは。3点差以上の勝率の高いチームが過去10年のほとんどで優勝し、無死1塁で打っていくのと一死2塁で打っていくのでは前者で得点できる確率が高い。150キロ代のストレートを投げる投手が各チーム何人もいて、MLBとNPBの投手の平均球速の差は年々縮まりつつある。これこそが現在の投高打低の根幹にあるのは間違いなく、だからこそ「打たなきゃ勝てんズラよ(by殿馬一人@明訓高校)」、攻撃型オーダーこそ勝たんなのだったのだ。ヒットがなかなか出ないのだから連打はもっと難しい。したがって得点するには長打一発に賭けた方がいい。ということは外野にフライボールを打つ打撃をメインに据える。こうしてMLB野球のほうが理にかなっていることになってくるのだ。興味のある方はぜひ本書を読んで欲しいのだが、ざっくりと理由をいえば「投手を疲労から守る」にある。スモール・ベースボールはプレーオフなどの短期決戦では通用するが、ペナントレースのような長丁場では通用しなくなっていたのだ。「然るべき論」というのが現実ではむしろ起こらないという体験は意外に多く感じるものだが、こうして単純ではない筋道を辿ればちゃんと真の理屈が見えてくるというのは、野球に限らず思考論理の上で学ぶべきことが多いと思う。このようにダウンスイングvsアッパースイング、両手補球vsシングルハンド捕球、2番打者vs4番打者など、ここ近年のスモールベースボール神話に疑問を感じている人にはうってつけの内容になっている(自分は「最短距離でバットを出せ」という話が一番なるほどと思った)。現役時代正にMr.スモール・ベースボールだった著者が、現在指導者という立場になり、いままでの日本野球の常識が「ほんまにそうなんか」という疑問が出発点になっているのだろう。著者の提言は、これからの日本野球の在り方について、特にその指導者へ向けてのものになっているのだと思う。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

無死一塁でバントしない方が得点確率が高い、2番最強説、打率よりOPSを重視、守備指標のUZRは当てにならない等、興味深いことがデータも交えて解説されていました。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

データを駆使して、昔の野球と現代の野球との違い、メジャーリーグと日本の野球との違いなどを述べている。
そして現代野球の戦略について書いている。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

■内容
スモールベースボールの申し子 宮本慎也が語る「日本プロ野球の現状」を、「MLBで通用するには何が足らないか」という視点で論じた一冊。

一般に〈日本のプロ野球 緻密 vs メジャーリーグ パワーペースボール〉 と見なされる。はたして、その見方はどうなのか?という疑問に始まり、矢継ぎ早に定説と見なされている戦術について、持論をデータに照合し解説を重ねていく。

例えば…送りバントは手堅い作戦なのか?最近注目の2番最強説は〈主砲は4番説〉を凌駕していくのか?得点と失点のバランスは?長距離打者は皆アッパースイングである⁈フライボールは本当に革命なのか…等々について。

野球はそもそも数字との親和性が極めて高い。近年、日本でも様々なデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価・戦略・戦術を考える手法である「セイバーメトリクス」が導入され、アナリストを置く球団も増えている。

余談だけど、セイバーメトリクスによれば、「打撃における最大限の飛距離を出すには」…地面に対し19度のアッパースイング軌道でバットを出し、ボールの中心の6mm下を打つ、と明らかにされている。

著者は現役時代、野村ID野球の体現者であった。その体験にセイバーメトリクスのデータが加わり、著者ははたして日本の野球界で用いられている技術論・戦略・戦術が理に適ったものなのか…を検証。

その結果、アップデートされていない現状をまざまざと知り、思考停止状態にあると喝破。

そこからが本題というか著者の見解。日本野球が世界と戦う上で、進むべき方向は、従来の「緻密な野球=スモールベースボール」から脱却し、「パワーベースボール」を向かうべし!と説く。

具体的には日本野球は打力・身体能力を活かした選手育成、柔軟なポジション編成、徹底したデータ活用を通じて、国際舞台でも勝てる新たなチームづくりをせよと。

■感想
本書では、自身のプロ野球での歩みについても坦懐。「自分は守備力や小技を磨き、つなぎ役に徹したのは、野球界で生き残るための方策であり、自分のようなプレイスタイルに憧れたり、目指してほしくない」とまで言い切る。その率直さに驚いた。
名球会入りしたレジェンドが、自己否定とまではいかないが、まさかの自己肯定の低さ。

その発言の裏には、ガラパコス化した日本プロ野球界に対する「憂い」。イチローや大谷翔平の超人的活躍、先のWBCでの優勝…と、日本野球の日の出を見たと感じた人も多いが、著者から見れば、それは個人の卓越した才能と不断の努力の賜物。プロ野球全体を総覧すれば、世界標準にはまだまだ達していない…と。

確かに…、「日本人の長距離打者」と期待された松井秀喜は手首骨折の怪我に泣き、真の意味で活躍したのは大谷翔平が初めてである。

そこからも、著者が提起するパワーベースボールの本場で活躍するには、強靭なフィジカルという土台があってのスキルなのだろう。

■最後に
宮本慎也は、この本を一番読んでもらいたいのは、正しくは誰に向けて著したのか…。それは球団オーナーではないか。

MLBでは、監督はフィールドマネージャー。与えられた戦力で現場の陣頭指揮を執る人。GMは戦力を整える編成部の"心臓部"を担い、オーナーはこの両輪がうまく機能しているかを注視。「戦力整備」と「現場指揮」の分業が当たり前。

方や日本では、球団生え抜きのスタープレイヤーをいまだに客寄せパンダとして監督を招いたり、時には『全権監督』を約束し、成績が伴わなければクビにする…。悪しき慣習がいまだ申し送り事項のように行われている。

そのような体たらくな組織運営を悔い改めることないオーナーや球団においては、「なにがセイバーメトリクスだ、アナリストだ」という思いだろう。

我が日式野球には「スモールベースボールという日本ならではスタイルがあるではないか」と思っていたが、それはガラパコスだったのね…としみじみ実感させ、ジャパニーズベースボールの夜明けはまだまだであります。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  勝利への新常識
第2章  戦略の新常識
第3章  攻撃野球の新常識
第4章  打撃の新常識
第5章  守備の新常識

<内容>
MLBが大きく変わり、大谷などはそれにアジャストしているから、こんなに活躍できている。この本で著者の主張はややブレ気味。彼の現役時と主張に違いがあるからだ。彼の現役時から時間がたち、野球の理論も進化したからだが、その言い訳もちょっと可愛いかな?

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2025年08月31日

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