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本書は、日本野球の「常識」を問い直し、観戦の視点を根底から刷新する一冊である。著者は名手・宮本慎也。プロでの実績と代表経験に裏打ちされた洞察力に、最新のデータ分析を加え、日本野球の構造を多角的に検証する。本書のテーマは、「戦術としての野球」の再定義にある。送りバントは本当に手堅い戦術なのか。2番打者はつなぐ役目か、それとも最強打者が入るべきか。得点を奪うことと失点を防ぐこと、果たしてどちらが勝利に直結するのか。これらの問いに対し、宮本氏は従来の思考停止的な前提を切り崩し、勝利に資する合理的な戦術眼を提示する。さらに、メジャー流の守備と日本式守備の比較、日本に根強く残る「打率信仰」への疑問、そして高校野球における用具・ルールの課題にも踏み込むなど、視野は広範に及ぶ。著者は、PL学園から同志社大学、社会人野球を経てプロ入りし、通算2133安打、408犠打を記録。10度のゴールデングラブ賞、WBC優勝、北京五輪主将と輝かしい実績を持つ。現役引退後はNHKの野球解説者、評論家として活動するとともに、学生の指導にも積極的に携わっている。技術論にとどまらず、戦術と構造を見通す本書は、ファンのみならず、選手、指導者にとっても必読の内容である。「観戦力は戦術眼で磨かれる」――。データとプロの経験が導く「勝負の読み方」は、野球という競技の理解を一段と深めてくれるだろう。新たな観戦の地平を切り拓く、新時代の野球論の決定版である。
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Posted by ブクログ
2026/06/22 08:53
どうやら、宮本さんは今一度指導者に戻りたいんだろうな。以前のコーチの時は厳しすぎて選手が萎縮してしまってダメだということがあったのだろうか。YouTubeを見ているとやっぱりこういう人がNPBにいないのはもったいないし、本当に復帰できたら良いんだろうに。
本の中で話に出てきた宮川理論、結構前にYouTubeで動画が何本も出ていたみたいなのだがこれまで全く知らなかった。この理論でちょっと付け焼き刃的に真似してみたら、いきなりランニングホームランを打てたから驚いた。
少し打てないとコロコロ変えてるから、でも動画を見ると違いはわからないんだけど、当面はこれでやってみようかなと。これ見つけられだけでもこの本読んで良かったが、野球中継を見る上でも手元に一冊あると面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
「日本野球(スモール・ベースボール)」の当たり前は当たり前じゃなかった。冒頭から、僅差での勝利に強いチームと3点差以上の差をつけての勝利に強いチーム、無死一塁での犠打とヒッティングでの得点力の差の過去10年間のデータが提示される。3割バッターが各リーグで1、2人しかいないという極端な投高打低の現在、「打てないんだから虎の子の1点を守りきれるチームこそ強いのだ」と、特に2023年の阪神タイガースなどを見て、そういう結論に結びつけたくなる(読売ジャイアンツの阿部監督もそうだろう)のだが、実はこれこそが過去10年の内の例外中の例外だったとは。3点差以上の勝率の高いチームが過去10年のほとんどで優勝し、無死1塁で打っていくのと一死2塁で打っていくのでは前者で得点できる確率が高い。150キロ代のストレートを投げる投手が各チーム何人もいて、MLBとNPBの投手の平均球速の差は年々縮まりつつある。これこそが現在の投高打低の根幹にあるのは間違いなく、だからこそ「打たなきゃ勝てんズラよ(by殿馬一人@明訓高校)」、攻撃型オーダーこそ勝たんなのだったのだ。ヒットがなかなか出ないのだから連打はもっと難しい。したがって得点するには長打一発に賭けた方がいい。ということは外野にフライボールを打つ打撃をメインに据える。こうしてMLB野球のほうが理にかなっていることになってくるのだ。興味のある方はぜひ本書を読んで欲しいのだが、ざっくりと理由をいえば「投手を疲労から守る」にある。スモール・ベースボールはプレーオフなどの短期決戦では通用するが、ペナントレースのような長丁場では通用しなくなっていたのだ。「然るべき論」というのが現実ではむしろ起こらないという体験は意外に多く感じるものだが、こうして単純ではない筋道を辿ればちゃんと真の理屈が見えてくるというのは、野球に限らず思考論理の上で学ぶべきことが多いと思う。このようにダウンスイングvsアッパースイング、両手補球vsシングルハンド捕球、2番打者vs4番打者など、ここ近年のスモールベースボール神話に疑問を感じている人にはうってつけの内容になっている(自分は「最短距離でバットを出せ」という話が一番なるほどと思った)。現役時代正にMr.スモール・ベースボールだった著者が、現在指導者という立場になり、いままでの日本野球の常識が「ほんまにそうなんか」という疑問が出発点になっているのだろう。著者の提言は、これからの日本野球の在り方について、特にその指導者へ向けてのものになっているのだと思う。
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