【感想・ネタバレ】戻り川心中のレビュー

あらすじ

大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に追いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。岳葉が真に愛したのは? 女たちを死なせてまで彼が求めたものとは? 歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを描く表題作は、日本推理作家協会賞受賞の不朽の名作。耽美と詩情――ミステリ史上に輝く、花にまつわる傑作5編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。米澤穂信が薦めていたのと評判が良かったので読んでみた。

「藤の香」
代筆屋という伏線。故郷への文と目の前の少女の行く末を考えて、さらに己の寿命まで考えると成敗したくなるのもわかるな。お縫の心情を推し量ろうとするまなざしが良かった。

「桔梗の宿」
二階の窓から花を散らすという仕草になんともいじさらしを感じてしまう。言葉にして直接伝えられない感情を感じる。福村も人形を操ることで何かを伝えていたとしたらそこが二人の共通点になるのかな。

「桐の柩」
主人公がなんか百合の間に挟まる男というか、二人の愛の渦中にいるというか、面白い立ち位置。
主人公のありようがあまりにも希薄なのが良い。
桐の棺というダイナミックな小道具、大道具?の使い方が良い。画面映えしそう。

「白蓮の寺」
花を埋めるという動作について考えたことも無かったので、そんな場面を見たら忘れられないし怖さも覚えるだろうなと思った。
前半の夢の部分はどうにも退屈だった。他人の夢ほどどうでもいいというがほんとそれ。映像化したら美しいだろうが。
なんとも奇妙な出来事を聞いたり覚えていたりで、じゃあ真実は?と探求していくのが面白かった。
母親が目の当たりにした春のあぜ道で女が突然死んだのは、母親の面影に誰か(女の夫か知りあい)を感じたからでは、という考察を見たが、なるほどと思った。それなら、母親も自分の子供が宗田に似てくるかも、似ていると感じるのもわかる。

「戻り川心中」
丹念に過去の場所を訪れて振り返るのが現場百篇って感じで面白かった。また、苑田の在り方が、とんでもすぎて西尾維新を思い出した。己の才のために人生を賭ける。そのまんますぎてすごい。すごいから常人ではないんだろうけど。それに付き合わされての心中はむごいな。トリックのために人を殺す麻耶雄嵩にも通ずるな。

全体的に花をモチーフにしてるが、説明てきではなくさりげなく小道具として、背景や形、匂い、色として登場しているので品があって面白かった。文体も読みやすい。大正時代も感じられて面白かった。

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2023年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大正・昭和の男と女を優美な花が彩るミステリー短編集。

どの物語も真実に近づいていくのが心地よく、ただ流れに身を任せて楽しんだ。
短編であるということを忘れるほど濃厚で没入してしまう。匂い立つ花の余韻を噛み締めながら、ずっと浸っていたい美しさ。
粋で情緒のある物語世界を堪能した。

0
2020年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章が美しい。戦前という時代設定も哀愁漂う雰囲気で良き。やっぱこの人の作品は不倫モノ多いな。
表題作の『戻り川心中』、女の立場から見ると主人公にめちゃめちゃ腹立って終わった。心中してもいいくらい想ってくれてる女性が二人もいたのに結局全部自分の歌に意味を持たせたかったためにやってたことって何やねんそれ〜〜!サイコパスめ!でも女ってそういう危うげな人に惹かれちゃうんだよね。
個人的には『桔梗の宿』と『桐の柩』が好きでした。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「藤の香」★★★★
「桔梗の宿」★★★
「桐の柩」★★★
「白蓮の寺」★★★
「戻り川心中」★★★

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2020年07月30日

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