あらすじ
人間と人間の永遠性。「阿部さんは、自分が生きて祖国に帰って来たのはこの子らのためやったんや、って言うた」失意の中この世を去った阿部が遺したものとは――。多くの孤児の育ての親となった阿部と茂木。しかし5年前、孤児の一人、桐田夏美がかつて阿部から性的虐待を受けたと告発。阿部は無念のうちに病でこの世を去った。茂木は、阿部に着せられた冤罪と汚名を晴らすことができれば、自分たちは速やかに骸骨ビルから立ち退くと言う。八木沢は彼らの思い出にある畑を甦らせるため庭を耕しはじめ、真実を求めて夏美の行方を追うが――。
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Posted by ブクログ
この終わり方で良かったと思う。
全てが解決しまうのは所詮は小さな箱の中で行っている事になってしまうし、世界に拡がり深みがなくなる。全てが解決するのはミステリーの世界だけでいい。
主人公は今の自分と同い年の設定。そろそろ次のステージの事を考える年齢か、と思うと、そういった面でも心に残る作品となった。
くまざわ書店あべの店にて購入。
Posted by ブクログ
やはり解決しない、でもそれぞれが何かを学び、傷跡を抱えて前を向いていく、宮本先生ならではの物語、響く。
上巻の抜書きは、ガガーンと生まれてこの方の疑問への答えだったし、下巻にも、「人間は変われない生き物なのだ。自分の人生を決める覚悟は、一度やにどの決意では定まり切れるものではない。何度も何度も、これでもかこれでもかと教えられ、叱咤され、励まされ、荒々しい力で原点にひきずり戻され、そのたびに決意を新たにしつづけて、やっと人間は自分の根底を変えていくことができるのだと思う」とねー。
骸骨ビルと呼ばれる堅牢な建物で戦災孤児を育てたふたりの男。まだ生きるそのひとりと、彼を慕う中年になった孤児たちを立ち退かせるべく派遣された、これまた中年男のストーリー。
概要に「青年」とあるのは間違いぞ。
登場人物が多く話があちこち飛ぶけど、厳選されながら、研ぎ澄まされた、みたいなキツさのない優しい文章で、ゆるゆるまとめていくこの手腕。
あちこちにはさまれるお料理も美味しそう。
何か、温かいお椀をゆっくり味わった気持ちです。