【感想・ネタバレ】神に愛されていたのレビュー

あらすじ

「忘れようとしていた痛みが「ここ!」と叫んでいる」
――――作家・町田そのこ(「解説」より)

大ヒット作家・木爾チレンの「伝説の衝撃作」、ついに文庫化!

希望と絶望、羨望と嫉妬……
愛憎渦巻く、狂気の物語。

若くして小説家デビューを果たし、その美貌と才能で一躍人気作家となった東山冴理。
しかし冴理は人気絶頂のさなか、突然、筆を断った。
一体なぜ――。
やがて30年の時が経ち、冴理のもとへ、ひとりの女性編集者が執筆依頼に訪れる。
すると冴理は語り始める。
心の闇に葬った、戦慄のその過去を……。

これは才能を信じて生きた女性作家ふたりの光と影、あるいは愛憎の極致。
魂が震える傑作!

著者渾身の「文庫版あとがき」、作家・町田そのこ氏による「解説」も特別収録!

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なんともすれ違いの愛。小説家なのにお互い言葉選びが下手というか自分の感情を相手に伝えられないのがなんとも言えない

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2026年07月04日

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洗練された緻密な描写が美しい文章、というのがこの本の第一印象だった。比喩表現や緻密な情景描写はPostludeで多用され、第一楽章からは控えめであったように感じた。これはきっと、文章のテンポに緩急をつけて場面ごとの時間の流れを表現しているのだと思い、木爾チレンさんのこだわりを垣間見た気がした。(比喩表現の多用や緻密な描写は、物語をスローテンポにさせる傾向があると私は思っている。この感覚に共感してくれる方がいたら嬉しい。)
物語の前半で、ジグソーパズルのピースがはまりそうではまらない時ような、何とも言えないもどかしさと違和感を感じ、後半でそのピースが裏返っていたことに気付くような構成に惹かれた。
冴理と天音、それぞれの視点で物語の色がガラリと変わる面白い一冊だった。

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2026年06月21日

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初めましての作家さん。

陽と陰、光と影。そんな二人の小説家のお話し。

『陰』である冴理を『神』として追いかける天音。
接点を持ちたいと思いだけで小説家になった天音は冴理を追い詰めてしまう。

半分くらいまでは
なんて天音は嫌な女なのだ!
と、思っていたのに後半の天音の手記を読み
なんて要領の悪い二人なのだ…と歯噛みする。
最後には涙してしまいました。

何かを生み出す職業は本当に厳しい世界なのだろうな。
孤独と闘いながら『自分の中から膿をしぼりだす作業(作中引用)をしなければならない。
壮絶な闘いがこの一冊に封じ込められていました。
読めて良かったです。

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2026年05月19日

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もしかしたら人は、愛を受け取ってから、誰かを愛し始めるのかもしれない。-頁60.15行
木爾チレンさんの作品を読むのはこれで2回目である。
1回目の『2人一組になってください』と打って変わり、今回は2人の小説家の人生を紡ぐものだった。

冴理は、天音が神に愛されていると思っていた。

天音は、『神』に愛されていて,冴理が神に愛されていると思っていた。

この本は、どんな世代にも読まれるべきものだろう。
そして、老後のわたしにもぜひ読ませてあげたい。

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2026年05月01日

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ネタバレ

2人の小説家の壮絶な半生の物語。切ない結末にも関わらず、不思議と読後は胸に重さは残らず感動に包まれた。

天音が冴理を慕っていることが分かる描写が多かったから、天音視点を読んでもどんでん返し的な驚きは感じなかった。だけど、そこが核でないから最後まで面白かった。

彼氏を横取りしたり、母を家ごと燃やしたり、明らかに天音は常軌を逸脱してるのに、一途さが可愛くみえて憎めなかった。「神」とまで慕う人がいる人生はいいなと思ってしまった。



SNSでよく見るから気になって、今回初めて木爾チレンさんの本を手に取った。評判通り面白い作品だった。本作が良かったから他の作品も読んでみたい。

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2026年06月25日

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少女の痛みは追想・想像の中でしかわからないが、無から何かを生み出す行為については激しく同感。文学いや小説に限らず、魂を削って綴られた表現物には、色褪せることのない輝きがある。
ある種、出せなかった手紙を見てしまったような構成に、時間も行ったり来たり。京都、東京、大阪の三都、沙理、天音、茉莉の三角関係、父と母との関係、シャープとの関係、さまざまな三角が交錯し、心に突き刺さる。モーツァルトとサリエリと神(または音楽)、ここに三角があった。
光と影、明と暗の対の物語とも読めるが、その間にも暗い明かりもあれば明るい影もあり、それが救済になっているかと思った。

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2026年06月27日

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同じ学校同じ文学賞デビューで売れっ子小説家、愛する男を奪った天音を妬み、「君を殺したかった」という作品を送って自殺を促した沙り。
沙里を愛しすぎて彼女のゴミ母親を焼死させ、同じ小説家になって沙里を不倫男から救ったつもりの天音。
両者とも愛憎で罪を犯している。

沙里のファン「雨」が天音だということは結構序盤で想像つくが、天音の娘花音が天音の娘で沙里がその名付け親だとわかる過程が面白い。
前半沙里の語りの「ご都合主義だな」と思う箇所は、後半の天音の手記でうまくフォローされている。

沙里は編集者でずっと彼女を愛し支えていた茉莉と結婚。
天音の姉で天音に最初の沙里の同人誌を読ませたのがユキ姉=沙里の大学時代バイト先のキャバクラのヨーコ。

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2026年05月24日

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木繭チレンさんの嫉妬の凄まじい表現が印象的だった。
また、主人公である冴理が小説を好きという思いがとてつもなく伝わってきた。何よりも木繭チレンさん自身が持つ小説への強い気持ちがあるのだとも。
冴理と天音のお互いに対する強すぎる嫉妬心がすれ違い、憎悪に変化しているところに泣いてしまった。
冴理が闇、天音が光という訳ではなく、お互いに闇と光を持ち互いに照らし合っていた。

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2026年05月24日

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ネタバレ

あっという間に読み終わってしまった。
東山冴理と白川天音の2人の小説家は隠と陽のように思えるが、2人の想いがうまく重ならなかったために悲しい結末になった痛みを感じた。
冴理が小説をかかなくなったのは天音の死によるもので、冴理が才能の差を感じていた天音は誰よりも冴理を神と崇めていた。小説を書き続けてほしいと思うばかり結果的に村田シャープを含めて冴理の全てを奪ってしまったと気づくのは手記により気づいたが、生きるすべての原動力であったのは伝わってきた。献身的に尽くしている様子の茉莉の立場からすると冴理のそばにいることができてよかったとも思ったが、小説で復讐するとはなかなか残酷でそれだけ物語を書くのはエネルギーもいるし日々の中から生み出すことも多いからこそ痛みが原動力になるとは残酷だなと思った。

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2026年06月28日

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