あらすじ
その路地にさしかかったとたん、ひどく嫌な気分がした。どういうこともない書店街の一郭。一見見落としそうな路地の突き当りに緑の扉、ハイツ・グリーンホームはあった。父親の再婚を機に、高校生の荒川浩志はひとり暮らしをすることになった。ハイツ・グリーンホーム、九号室──それは、近隣でも有名な幽霊アパートだった。引っ越した当日、からっぽのはずの郵便受けには、小さい丸い白いものがひとつ、入っていた。プラプラした手触りの、人形の首だった――。「出ていったほうがいいよ」不愉快な隣人の言葉の真意は? 幽霊を信じない浩志ですら感じる「ひどく嫌な気分」の正体とは? ラストまで一気読み必至の小野不由美の家ホラーの原点とも言える本格ホラー&ミステリー小説。解説・杉江松恋(ミステリー評論家・書評家)
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Posted by ブクログ
心にずっしりきた。
分かりやすい伏線が散りばめられていたおかげで、予想は大体合っていた。
落書きの少年は、怪談で聞いたことがあるところの、何か禍々しいものの集合体だったのだろう。
もし、私が同じ状況ならば、家族と折り合いが悪かろうが何だろうが絶対引っ越すな、と思った。が、浩志が引っ越さない理由は、そんなことが理由ではなく、必死に忘れようとして記憶から消していた「オサル」のことを、どうしても消し去れない彼のことを、ハイツ・グリーンホームに足を踏み入れた時点で何となく感じ取っていたのでは?(もしかしたらその前からかも)
心理的描写に長けていてさすが、小野先生だなと思う。
Posted by ブクログ
小野不由美の初期の傑作。山奥の集落が舞台ではなく、街中のある一角が舞台の現代ホラー。浩志は父親と再婚相手への反発から家を飛び出して、一人暮らしを始める。郵便物への悪戯、無言電話が続き、「グリーンハイツ」のある場所自体への居心地の悪さが浩志を蝕んでいく。幼少期に浩志が住んでいた時、クラスメートへの陰惨ないじめに加担し、その住んでいた跡地がグリーンハイツだった。その場所で起こるのは心霊的な存在だけではなく、無言電話も恐怖を誘う。その場所は悪質なものの吹き溜まりになっているようだ。聡もその場所に囚われているのだろう。小野不由美の緻密な表現力と現代都市を舞台にしていることもそうだが、子供達の残忍な行為と感情も恐怖を誘う。
Posted by ブクログ
転勤族の父は母が死んだあとすぐ近所の女性と再婚。浩志は父と義母と一緒に住みたくなく、昔少し住んでいた街でグリーンホームというアパートに住む。グリーンホームでは浩志と同年代らしき謎の男・和泉など変な居住者ばかりなので居心地が良くない。突然階段に死体をチョークで描く謎の少年が現れて、その絵の通りに女性が死ぬ。あと5日だと電話が掛かってきたり、謎の手紙が投函されたりと浩志に呪いが⁈過去の記憶が蘇ってくると、前にこの街にいた時オサルといういじめられっ子を虐めており、神社に置いてきぼりにしたところ、オサルは夜誘拐犯に殺されてしまった。絵を描いて呪い殺す少年はオサルなのか…
我が家を求める浩志の気持ち、虐待されていたオサルは我が家で殺されていた。我が家に求める物もそれぞれで怖さもあり。
Posted by ブクログ
父の再婚を機に一人暮らしを始めた高校生・荒川浩志。
ハイツ・グリーンホームに越してきた所から物語は始まる。そこは、地元では有名な曰く付きの物件で、よく人が亡くなるという。薄気味悪い住人も多く、なんとなく馴染めない。無言電話、夜中に奇妙な落書きをする幼児、無記名の手紙…日に日にエスカレートする不気味な出来事の先で浩志を待っているものとは?
ちょうどいいボリューム感。
そう多くない駒をちょうどよく料理し、ちょうどいい所に着地できている。駒の数は変わらずに、いたずらに長編に仕立ててくる作品も少なくないが、引き算の美学とでも言おうか、過不足ないというのは意外と大事である。その塩梅を正確に捕捉できているのは、さすが小野不由美である。
日本の怪談的な控えめな怖さが目立つ前半。
気味の悪い事は多いが、物語が大きく動くことはない。それがどうだろう、大林の登場によって、いきなり動的な怖さに打って変わる。怖すぎて震える類の物ではないが、お作法に則ってちゃんと怖いという形式美を感じた。ホラー小説の教科書って、案外こんな感じかもしれない。
いじめっ子の言い逃れのようにも聞こえる。
確かに、オサルの死因に直接関係があるわけではない。でも、加害者の罪悪感を払拭してやるのはなんか違う。抱えてしまった罪悪感とは心中するしかないのではないか。特に、浩志からの又聞きでオサルの言葉を受け取り、スッキリしている金子はあまり好きになれなかった。飛行機を取り返した浩志を責めていないが、おまえのことはわからんぞとも思う。めでたしめでたしとは思わなかった。
Posted by ブクログ
子供の時の純粋な気持ちは怖い。
オサルへのいじめは、同調圧力で、一対一なら子供達は決していじめないだろう。
「皆」やってるからいい。
自分の子供のときの記憶もそうだけど、その圧力から逃れるのは厳しい。
だから主人公のやったことを責められる気はしない。
主人公はきっと、ずっと苦しくて、その思いでグリーンホームに来てしまったように思う。
そしてホラーな世界と現実世界での壮絶な体験を経て、その苦しみが消えていく。
全て終わった彼の目に写った現実は、とても柔らかく温かい。
主人公が一対一で向き合ったオサルとの思い出が、彼を救ってくれて良かった。
Posted by ブクログ
前半の気持ち悪い怖さや不可解なミステリー要素でじっくり読ませておきながらの
中盤〜後半の死を匂わせる恐怖とか
えげつない描写をぶつけてくるのが怖かった
でも最後は泣けるし
怖さがあるからこそ少年たちの純粋な気持ちが
強調されて素敵!
Posted by ブクログ
結構あっさりとしてた。
中高生ぐらいの時だったら楽しめてただろうなという感じ。
前半で主人公がここに来ることになるまでの過程とか父親の結婚相手に対する複雑な感情とかが結構丁寧に語られているのに比べると後半の展開が雑に思えるし、いじめてたのに故人になるとさも大切だったように言うのはなんか主人公にもやもやしてしまった。性格と行動に一貫性がない主人公に感情移入できない。失ってから気付いて相手に思いが届くのはフィクションの中だけなので現実では対人関係後悔のないようにしなきゃな
でも90年代のにおいがするホラーは好きです