あらすじ
1981年、神奈川県Q区。沖縄からの移住者が暮らす街で新生活を始めた篤は、ある夜、「びしゃっ」という水の音と共に、全身ずぶ濡れの人影を目撃する。その日を境に、Q区の住民が次々と“自宅で海水に溺れ死ぬ”という異様な死を遂げていく。街が疑心暗鬼に包まれ、自警団が結成される中、篤は“おばぁ”と呼ばれる比嘉勝子のもとを訪ねる――。
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手書きメッセージ
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Posted by ブクログ
海からやってくる恐ろしい「びしょびしょのお化け」。
恐ろしい怪異のお話として読み進めていくと、物語は予想だにしない方向へ。
物語が方向転換してからの一触即発感が凄い嫌だった!嫌だけど行き先が知りたくて読むのをやめられない。
本作はシリーズ史上最も比嘉姉妹のルーツが沖縄であることを色濃く映した物語。
ホラーを超越し、沖縄が辿ってきた歴史とその重み、そこに重なる人々の哀しみをしんみり感じる読後感だった。
私は「本土の人間」であるけど、沖縄の南国特有の陽気さやカルチャーなど良い面だけを切り取って消費してきたことを反省せざるを得ない。
そうした「無意識の差別や搾取」を澤村伊智さんは巧みにホラーに落とし込んでいて、流石の手腕に思わず唸ってしまう。
もしも人の念のようなものが作用して怪異を起こすことがあるとするならば(呪術廻戦的世界線があるならば)沖縄という場所はそうした「念」の力がかなり強いのではなかろうか。
ちなみに映画「来る」をきっかけに澤村伊智さんの比嘉姉妹シリーズのファンになったわたくし。
今回は「来る」の柴田理恵バリに私の大好きな「カッコいいババア」が大活躍!
これは「来る」に続いて映画化してほしい!と読んでいた矢先、ラストの肝となるネタバレ的重要設定が本作の映像化をかなり難しくしていることに気がつく。
そう、映像ではできない活字ならではの「読者の想定を裏切る」設定が忍ばされているのだ。
それが何か、、ぜひ読んでみていただきたい。
比嘉姉妹シリーズでは「ずうのめ人形」が一番怖くて、怖すぎて再読できないでいるのだが、
本作「ざんどぅまの影」はずうのめに匹敵するくらいの怖さがありつつもホラー以外の奥深さもあってシリーズ史上最高の作品と言って過言ではない。
シリーズ通して共通する点は、末端で起こっていることは霊的な怪異でありつつも、それに関わる人間側の負の感情が恐ろしい事象の連鎖を起こしていること。
「人間の方が怖い系」ホラーというと陳腐だが、どちらかというと「人間が絡むから怖い」作品になっている。
また過去作を再読した上で、うっかり本作の前に読んでしまった「ととはり屋敷」も再読しようかな、と思っている。
単独だとそこまで刺さらなかった「ととはり屋敷」も、本作の後日談的要素が多分にあるので、より味わい深くなりそう。
Posted by ブクログ
澤村伊智の!新刊!読みました!おもしろかった……。ちょと今のところ今年のベスト3に入りそうだ。いまのこの時勢で、社会をこれだけ取り込みつつ、小説でしかできない表現をしており、そしてホラーとしてしっかり怖いのすごすぎないか、小説うますぎ。
今回は障害者、ミックスルーツ、沖縄への差別と米軍や先の大戦による天皇批判要素もあり、めちゃめちゃ盛り込んでくるやん……と思いながら読んでいたし、最後のあの小説だからこそできる演出、自分の偏見が浮き彫りになり、食らった。本当にまだまだ自分のなかにある偏見を引き剥がすのは難しい。今回体感でもって自分のなかに内在化した偏見の存在がわかってよかったと思う。
また排外主義に陥る人間の心理、それが成立する環境がどうできあがっていくのかも緻密に書かれていて、それに伴う差別や偏見による加害もかなり含まれるので、読む人はその点に気をつけてほしい。
ホラーというジャンル柄、このへんのラインがしっかりしている作家さんは大変貴重だ。貴重というのも悲しい話ではあるけれど。
比嘉勝子さんがかっこよすぎて、私はちゃんと澤村伊智作品を誠実に映像化してほしいんですよ。誰かもっかいやってくれないか…
Posted by ブクログ
澤村氏の大人気シリーズをベースに、勿論怪異との対峙を軸に語られてはいるが、これは今や世界中に影を落とし、この瞬間も幾多の命を奪い続ける卑劣な戦争を糾弾する言わば『反戦』がテーマの人間ドラマだと思った。
冒頭の序文で、我らが絶対的正義の守護者ウルトラマンが、唯一地球人に背を向けた(思い止まってはくれたが…)エピソードの一部台詞が綴られていた。
害意等を微塵も持たない異星人が心無い地球人の手によって虐殺される話だった。
人間は大なり小なり鬱屈した感情を内包して日々生きている…
だから、
そこに正義だ!或いは復讐だと、それらしい道筋を付けると、いとも容易く暴発してしまう。
その愚かさこそを見事に描き切って、尚且つシリーズの世界観を損なってもいない。
そして、救いも見出せる…
澤村作品に一層の凄みが出て来た。
傑作!
ただ、こういう文脈で人間の愚かさを語るのならば、漫画版の『デビルマン』の右に出る作品を私は未だ知らない。
Posted by ブクログ
読ませてくるという表現が相応しい、映像のような読書体験でした。私自身が内包していた嫌な意識に気付かされるも、そういうのをやめようと思えた学びのある一冊でもあります。
舌を巻くという表現がパッと浮かぶほど、発売日に本屋さんへ駆け込んで良かったと思える1冊です。
Posted by ブクログ
読み終わった。途中まで、このテーマ大丈夫……?と心配しながら読んでいたけどさすがの澤村さんだった。エンタメとしての面白さと社会の歪みを描くことを両立しようとする試みに思えた。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
自分も先祖のルーツが南の方だったり、たまにハーフかどうか聞かれたりするから、最後の方は読んでてすごいドキドキした。
前作『ばくうどの悪夢』といい、すごいテーマから攻めてくるなあ…。という感想
Posted by ブクログ
面白すぎるよおおおおお!!!!!!!!!
比嘉姉妹シリーズが大好きで長年ずっと追いかけています
新作も時間をかけてゆっくり読むつもりでした
それなのにあまりにも面白すぎて読む手を止められずイッキ読みしてしまいました
もっとじっくり楽しみたかったのに!!!!
電子書籍版で購入したのですが特典の手書きあとがきが深く胸に刺さりました
私はいわゆる「普通の日本人」です
大きな差別を受けたこともなければ人並み程度の幸せを得ることができた人間です
だからこそ本作はとても苦しかった...いろいろ考えさせられました
ただのホラー作品ではありません
人間の心の底にある仄暗い欲望を、これでもかと言うくらいにリアルに書きあげられています
間違いなく名作です
本当に素晴らしかった...!
さすが澤村伊智先生です!!
Posted by ブクログ
ユタの霊媒師は、なんと比嘉琴子と真琴のおばあちゃんだった。
ざんどぅまの話がクトゥルフのインスマスの話に出てくる怪異に造詣が近く、ラヴクラフトの嫌な感じを彷彿とさせました。
しかし、そこはちゃんと澤村伊智さんの舞台です。いったん現実のターンになった途端にガラッと世界の向きが変わります。
澤村伊智さんの最新刊でしたが、不気味で最高でした。
Posted by ブクログ
大好きな比嘉姉妹シリーズの続編で、購入したその日に一気読み。琴子の家系でこんなことがあったのかと、過去の断片を知れたという充実感がありました。あとは「やっぱり人間は怖い一面を持っている」というのが自警団の歪んでいく流れでヒシヒシと感じました。最後の展開には「予言島」の時のような「えっ!そういうことか!」と、良い意味で驚かされたのも楽しかったです。来週発売の短編集も早く読みたいという気持ちが更に増しました!
Posted by ブクログ
人は見えにくいものや
よくわからないものに対して
恐れをなし
謎や疑いなどと相まってどんどん膨らみ
正体のないものが
嘘や噂となって拡散していく。
そして、恐怖の影に怯えながら
不安のはけ口として
皆と違うものを叩いて安堵しようとする。
見えない化け物の
あるはずのない影は
人の心の中にある。
Posted by ブクログ
新刊を楽しみにして購入。
ぼぎわんで大ファンになり、
比嘉姉妹の登場を楽しみにしておりますが、
今回は、おばぁとお母さんの登場。
主人公のナレーションで話しは進んでいく、
ここに仕掛けがあるのだろうと思いつつ、
これはどんな仕掛けが仕込まれているのだろう?
海から来るびしゃびしゃのおばけ。
他の地からの移住者を差別する先住者たち。
化け物以上にヒトコワですが、
恐怖に駆られた人間たちは冷静さを失い、
強いものに言われるがまま動いてしまうのだ。
胸が締め付けられる残酷なヒトコワ。
神奈川に沖縄の人が多く移住した場所といえば、
鶴見区ですが、よくは知らない町ですが、
リアルに町が浮かんできて、
自警団が町を練り歩く姿が恐ろしかった。
今回の恐怖仕掛けに関しては、
どちらかと言うと、
読者任せでちょいと分かりにくい。
結局どうとれば良いのだろう?
ととはり屋敷を読むと成程となる。
と、感想を書かれていた方がおりましたので、
すぐに読まねば、と思います。
Posted by ブクログ
人々の心理の変化と、変わらないものに戦慄する一冊でした。
相変わらず気持ちよくギョッとさせてくれます。
「ととはり〜」と続けて読んだので、「ははぁ〜」と思う部分もありました。
文庫化を待てずに購入しましたが、読んでよかったです。
ざんどぅまの影は何のために!?
ざんどぅまの影は、ただのびしょびしょのお化けだとしても、何か目的寄りがあったんでしょうか?。それがわかりませんが、結果として、何かできましたか?。ちょっとイヤな感じもします。沖縄と沖縄以外の日本との分断…。まさか、中国の影、じゃないでしょうね。また、沖縄に特別な負担のイメージができつつある現在、戦争がイヤになる気配です。そういう場合は、警察や公安に強くならないと。軍はイメージダウンですね。
Posted by ブクログ
2026年。
1981年。沖縄からの移住してきた人々が集う神奈川県Q市で現れる怪異(海系)。自警団を結成したが、中心人物が死に方向性が変わってゆく。そして個人的には興ざめの叙述トリック。
今回のおばけはびしょびしょのお化け。
あいかわらずどんどん読み進めてしまうんだが。
野崎と真琴が故人の篤から口寄せで聞いた話という体。
響いたのは。おばぁがユタ治療?に法外なオカネを要求し、「全部いっぺんはムリだけど少しずつ返すから」の返答に「治ったら返さないね」 喉元すぎれば暑さ忘れる、だね。
Posted by ブクログ
設定は昭和の終わり頃。怪異の恐怖よりも決めつけや偏見からくる人間の狂気の方が怖かった。特に決めつけについては著者の意図にまんまとひっかかった。やや強引だったけど楽しめた。3.5
Posted by ブクログ
ホラー小説は苦手ですが比嘉姉妹シリーズは好き。ということで楽しみにしていた最新作。琴子たちのお祖母ちゃん・比嘉勝子が登場。
凄腕のユタが動いたらざんどぅまも手も足も出ないはず!がまさかの…。
でも勝子さんカッコ良かった。琴子はこの人の孫なんだなあ。
序章の自警団。ざんどぅまに殺されないための自警団のはずが「あいつら」呼びに違和感。からの本当の意味にゾっとしました。
よく言われることだけどやっぱり生きてる人間が一番残酷で怖い。
省三は信夫も篤のことも最初から見下していたのか。
篤が琴子に会うシーンはちょっと感動。勝子も祥子も側にいてくれてるんだな。
Posted by ブクログ
比嘉姉妹シリーズの前日譚。
舞台は1981年の神奈川県P市Q区。
ある夜、全身ずぶ濡れの人影が目撃され、その日を境に、住民が陸地で海水に溺れ死ぬという異様な出来事が続く。
“びしょびしょのお化け”そのものも不気味だが、余所者を排除しようとする集団心理や差別意識の方が恐ろしい。
作中に散りばめられた「ちゃぷちゃぷ」「びしゃっ」「ごぼごぼ」といった音が強烈で、行間から湿気が立ちのぼるようだった。
比嘉勝子――“おばぁ”の圧倒的な存在感は、ここでも揺るぎない。
ホラーでありながら、人の心に巣食う悪意や偏見を照らし出す一冊。