【感想・ネタバレ】未明の砦のレビュー

あらすじ

『犯罪者』『幻夏』『天上の葦』の次はこれだ! 圧巻の社会派青春群像劇

その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。標的は大手自動車メーカー〈ユシマ〉の非正規工員・矢上ら4人。だが、突如発生した火災に乗じて4人は逃走する。誰かが警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は事件に裏があると読んで独自に捜査を開始。さらに超法規的手段で日本を一変させようとするキャリア官僚が野心のために動き出す―。格差と分断の社会を撃つ、瑞々しく切実な社会派青春群像劇!

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Posted by ブクログ

骨太な社会派サスペンス。大企業による労働搾取を皮切りに、この国の在り方を問う。メッセージ性が強く、多数の人物が絡む複雑な群像劇ながら、表現豊かで平易な文章と確かな人物描写、スリリングかつ感情移入を促す見事な構成により、頁を巡る手が止まらない。様々な感情が結実していく終盤は圧巻。超一級のエンタメ小説にして、希望を求める叫びに心が震えた。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アパートの一室での逮捕劇の失敗。矢上を筆頭とする四人の若者たちは、共謀罪の疑いにより警察に追われていた。
日本最大手の自動車メーカーユシマの非正規工員である彼らは、同じ工場に勤める玄羽のもとで一夏を過ごすことに。そこで彼らは、今まで知ることのなかった日本を取り巻く労働問題を知った。それは、自分たちを雇用するユシマが労働者の権利を蔑ろにしているという事実でもあった。さらにその後、よくしてくれていた玄羽が工場で命を落としてしまう。ユシマの過酷な労働環境の犠牲になった玄羽のために、四人はついに立ち上がる。彼らは解決の糸口を労働組合に見出したのだった。しかしユシマ側は警察権力さえも味方につけ、それを全力で潰しにかかる。
指名手配までされてしまった四人は、それでも最後まで闘い抜く覚悟を決める。
強大な相手に立ち向かおうとする若者たちの、愚直なまでの熱量。何も深く考えずにただ流れに身を任せることの危うさ。勝つためではなく、自分たちも人間であることを証明するための闘いに胸が熱くなる。
『犯罪者』シリーズでも言えることだが、この著者の作品の若者は様々なものを抱えていながらも生き生きとしていて魅力的。
余談だが、泉原が考える本工と非正規の構図がフランス革命時の諸身分のようで興味深い。

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2026年03月26日

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