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Posted by ブクログ
大手自動車メーカーの若い非正規労働者4人が、共謀罪により、逮捕されようとしていた。その裏には大手企業と政治家、そして公安警察が絡んでいた。
現代版蟹工船。
過労死を隠蔽工作したり、悪いことはなかったことにしようとする超大手企業&公安警察VS過酷な労働条件と低賃金で働く派遣工や期間工などの非正規労働者。勝手に決められた規則に反旗を翻す彼らを応援せずにはいられなかった。
フィクションとはいえ、公安警察ってこんなに怖いの?これじゃあ、戦前、戦中の特高警察と同じ。そして、日本って、労働において(ジェンダーにおいてもだけど)も全然先進国じゃないなぁとも感じた。
メーカー勤務の身内が、新卒研修で3ヶ月だけ工場の現場研修をした。1週間ごとに昼夜逆転の生活、決められた時間内で行うエアコンのない工場での作業。夜勤などで給料はよかったが、本当に過酷だったと。派遣工や期間工の方たちは、みないい人たちばかりで、過酷な労働生活を何年も続けていて頭が上がらないと言っていた。
太田さんの代表作『犯罪者』『幻夏』『天上の葦』の3部作とはまた違った面白さがあった。でも、やっぱりあの3人にまた会いたいんだよなぁ。
Posted by ブクログ
冒頭警視庁の捜査員が、追っていた容疑者に逃げられる所から始まります。
どんな犯罪を犯したのだろうと思いながら、読んでいくと今度は追われる側の4人の若者が、捜査員に追われるまでの物語が展開されていきます。
自動車工場で過酷な環境下で働かれている非正規労働者の4人。彼らのことを知れば知るほど、応援せずにはいられなくなります。
そして彼らを支えてくれる人達も、魅力的な人達が多かった。
この本を読むことで、勉強になることも多かったです。現政権、警察、検察のやることに疑問を持つことが多い中、このタイミングでこの本に出会えて良かったです。
結構な分厚さに読むのに気後れしてしまうかもしれませんが、若い人や非正規雇用で働いている人達にぜひ読んでほしいです。
Posted by ブクログ
北方謙三『水滸伝』を想起した。
非正規労働者、だけでなく、自分のことを「普通」と思い込んでいる我々弱者に光を灯す、まさに現代版『水滸伝』。そう断言して差し支えない。
著者の小説は本作が初めてだが、その生き様をこれでもかと登場人物の台詞から殴打されたような感覚。
最初の400ページはあまり物語が動かず、苦しい場面も多いことも相まって、こりゃ駄作かなぁと思っていた。失礼ながら早く作業的に読み終えて次の本に移りたかった。
ところが、である。400ページを過ぎると物語が急加速していく。
闘う者たちの魂の叫びとでも言うべきか。こちらの心を熱く捉えて放さない。水滸伝ばりの名言連発。
現実には勝たなきゃ意味が無い、なんて思ってるんだろうけど、そもそも俺たちには勝つと決まってる勝負なんて巡ってこないんだ。お前が本当に勝ちたいならーーー。
震える。その連続。
徐々に行動を起こす人々。
気弱な者、やり直そうとする者…状況は様々だが、みんな素敵。みんなが、自分にやれる最大限の、立ち上がり方をする。
タイトル『未明の砦』に対して、最後の一節。そういうことだったの!?鳥肌。
最初の400ページをこらえれば、そこから先、ものすごい熱源が、あなたを待っている。
Posted by ブクログ
太田愛さんの本を最初に読んだとき、おもしろすぎて衝撃でした! 「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」の3部作、大好きです!!
この「未明の砦」は文庫になるのを待ってました(でも高かった涙)
帯にあるように“社会派エンターテイメント”の本書ですが、先の3部作に比べて、“社会派”の部分が多くて少し重かったかなぁ
労基・憲法・共謀罪……もう少し“エンターテイメント”寄りのほうが好みです、でも期待に違わずのおもしろさ!!
警察や政治家、清掃員に会社経営者、週刊誌の記者や非正規社員たちがそれぞれの場所でそれぞれの役割を果たしてゆく、エンディングに向けての怒涛のような最終盤は、読みた過ぎて目が走ってゆく感じ、久々でした
Posted by ブクログ
太田愛『未明の砦』角川文庫。
第26回大藪春彦賞受賞作。
以前、評判の高い『犯罪者』を読んだが、自分には合わなかったようで、以来、太田愛の小説からは距離を置くことにしていた。
本作『未明の砦』は大藪春彦賞受賞作にして、評判も上々ということで、ミーハーな自分は禁を破り、読んでみることにした。
人気テレビドラマ『相棒』の脚本も務めたことのある作家だけに、なかなか全貌が見えて来ない。そこが魅力という読者も居るのだろうが、短気な自分には少しじれったい。
非正規労働者を蔑ろにする大手企業の愚劣な犯罪と選挙のために大手企業を優遇する政治家の姿を描いた社会派サスペンス小説である。
自分も大学を卒業してからメーカーの工場に勤務しているが、自分の入社当時には非正規社員など居なかった。正社員の他に臨時社員とパート社員が居ただけだ。派遣社員が工場に採用されるようになり、企業は正社員という固定費を変動費に変えて不況を乗り切ろうと、正社員をリストラし、何時でも切れる派遣社員や構内請負会社の社員などの非正規社員を採用するようになった。
日本社会がおかしくなり始めたのはこの頃からだ。生き残った正社員も成果主義なる新しい人事制度により疲弊し、年功序列や終身雇用制度は崩壊する。自分の働いていた工場では過去に8度もリストラがあり、その度に自分は役員から遺留され、残ってきた。しかし、数年前に同期や友人が相次いで辞めるにつれ、自分の負担が大きくなるのに嫌気が差し、転職した。
風の噂では自分が辞めた後にも何とか残っていた同期は、妻子を残して自ら生命を絶ってしまったようだ。自分もあのまま頑張り続けていたら、どこかで破綻していたと思う。
さて本作。若い頃から工場で働いてきた自分には胸が熱くなるような小説であった。
大手自動車メーカーのユシマで働く非正規労働者の矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平の4人は共謀罪の容疑で逮捕される寸前にタイ料理店の突然の火事に乗じて逃走する。
この時点では4人が何をしようとしたのか全く解らないのだが、それが少しずつ明かされていく。
一方、所轄の刑事の薮下哲夫はこの事件には裏があると読み、独自に捜査を開始する。さらにその影では超法規的手段で日本を一変させようとするキャリア官僚が野心のために動き出していた。
日本では自動車業界は国策として政治家に護られている。特に世界トップの自動車メーカーであるトヨタ自動車などは一番その恩恵を受けているのだろう。トヨタ自動車が咳をすれば日本経済が風邪をひくとも言われている。そんなトヨタ自動車も本作のように非正規労働者により支えられているのだ。
完全に疲弊し、冷え切った日本経済を立て直すためには行き過ぎた非正規労働を禁止にして、正社員として手厚く扱うべきだろう。そうなれば、若者たちの結婚も増え、少子化も解消されるのではなかろうか。どっかの経済学者の口車に乗って、バカな首相が労働者派遣法を改悪した結果が今の日本の惨状なのだ。
本体価格1,350円
★★★★★
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小説・文芸
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