あらすじ
「その不謹慎な美しさを、ぼくは愛していた」
世界に降り注ぐ、雨音のような銃声と、銃声のような雨音。
残された銃弾に導かれて、僕は彼女に出会った。
「この映画は、だれかを救うことになるのだろうか?」
スミヒコは映画同好会〈幻燈〉の仲間たちとともに、いつか自分の映画を撮ることを夢見ていた。しかし、彼らの大学を突然の銃乱射事件が襲う。穏やかなキャンパスを戦場に変えた理不尽な殺戮は〈痩せ烏〉と呼ばれる正体不明の銃撃犯の死亡をもって幕を閉じた。後輩たちの命を奪い、親友に二度と立ちあがれない重傷を負わせた事件のドキュメンタリー映画をつくることを決意したスミヒコの前に、ベニと名乗る謎の女性が現れる。「死はいつも、すぐそばにある。――戦争は、すでにはじまっている」そう告げる彼女に危うさを感じながらも、スミヒコは心惹かれていく。
装画/今井喬裕
装幀/二見亜矢子
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ものすごく切なく余韻が残る作品
終始、重い雰囲気が漂うのに読みやすい
ただ、銃乱射事件の詳細が思ってる以上に生々しくって、ちょっと目を逸らしたくなった
途中、ほのぼのするシーンもあったけれどそれが結末の悲しさを際立たせていていてなんだか引きずりそう
色々と悲しいところはあるけど、一番辛かったのは親友のフジオが自死してしまったところ
あれは誰も悪くない気もするし、やっぱりスミヒコとキミドリの配慮が足りなかったからなのか
原因は分からないけれど、フジオはベニを見ておそらく銃撃犯と何かしら関係あるのかもと気づいてしまったのか?
それに気づけない親友(スミヒコ)がやってほしくもない気遣いをしてくるものだから、もう何もかもに絶望したのかもしれないし、それと同時に自分の不自由な身体に対して先を見出す希望を失ってしまったのかもしれない
スミヒコは親友と好きな女性、大切なサークル仲間を一気に失ってしまって、この先立ち直ることなんてできるのだろうかと思ってしまう
あらすじ読んでなんとなく読んでみた作品だったけど、とても面白かった