あらすじ
「ただ、星を守りたかっただけ――」
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。ノンフィクションとフィクション、ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは!?
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Posted by ブクログ
父の仇討ちをしたかったのではない。
──俺はただ、星を守りたかっただけ。
2026年本屋大賞ノミネート作であり、近年『旧統一教会問題』や山上徹也氏の事件もあった為、刊行当時から話題となっていた本作。
僕自身もずっと気になってた作品でしたが、やっと読む事ができました。
本作は前編と後編の二部構成。前編は永瀬暁による手記=暁闇(ノンフィクション)で、後編は作家・金谷灯里による小説=金星(フィクション)という設定で進んでいくが、後編の『金星』で描かれているのは『作家・金谷灯里』としてではなく『金谷灯里=星子』としての視点で描かれた半生だったように思う。
物語を一度読み終え、本作にあった通り前編『暁闇』の終章を読んでみた。
──溶けた場所から朱色のあたたかい光が差しこんだ。
光の先に輝く星があった──。
物語を読んだ方なら伝わるはず。ここの描写はヤバい。言葉には表せない。込み上げる感情の波がすごい。
そして何か既視感を覚えたのは、本作の後編『金星』が『凪良ゆう / 汝、星のごとく』のような、歪で、儚くて、危うくて。だけどすごく真っ直ぐな愛を描いていたところが重なったように思えたからかな。
作中にあったように『永瀬暁=長田暁生』と『星子=金谷灯里=白金星賀』は、2人で一本の糸になるような存在なのだろう。2人で一つなのだろう。それもまた既視感を生んだ要因のように思える。
前評判としては、宗教2世を描いているような側面が強く押し出されているように感じ、山上徹也氏の事件からインスパイアされた印象を本作を読むまでは強く感じていた。僕自身この事件に対して興味があったから、以前鈴木エイト氏の『「山上徹也」とは何者だったのか』を読んだくらい。だから、この作品に対しても宗教2世を扱ったことでのイヤな後味や救われなさなど、何らかのダメージを食らうことも覚悟していた。
しかし、本作はこれまでに僕が読んだ『イヤミスの女王=湊かなえ』の作品とはまるでテイストが違う。いい意味で裏切られた。
お互いの存在を闇夜に差し込む明星だと信じて生きてきたような、そんな純愛を描いた物語でした。
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【2026年 本屋大賞ノミネート】
「ただ、星を守りたかっただけ──」
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。
逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。
永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。
そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。
また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。
ノンフィクションとフィクション、ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは。
Posted by ブクログ
手記「晩闇」と小説「金星」の順番で物語が進行していく。晩闇はリアルタイムで事件が起こる様子を手記形式で取り上げているもの。手記の反応や父の小説、母のスピーチの原稿など第三者目線で淡々と進められていく。
「金星」は真逆の雰囲気で、まさかの暁と星賀との哀しい恋愛小説になり非常にびっくりした。同じ宗教二世という切っても切れない共通項が引き起こす事件だったのだともう一度読み返したくなる作品だった。
「晩闇」には星賀のことは一切書かれていないが少しだけ匂わせている描写があり、そこも素敵だなと思った。
最後星子よりと書かれていたが星子ってどういうことー!?となってしまった。
Posted by ブクログ
個人的に思う湊かなえのすごさは、物語の構成力だと思う。事件を起こした主人公の手記と、それに呼応するように描かれる小説。
後半の小説で初めて明かされる暁の言動、行動の一つひとつがとても優しい。
その優しさが、本人の手記ではなくもう一人の片割れのような人物が描く小説から初めて読み取れるという構成が、湊かなえ自身が暁に優しく語りかけ抱きしめているような感覚で涙が止まらなかった。
そして、日本国内の誰もが知っている某宗教団体の事件を彷彿とさせ、現実世界の大きな問題にも目を向けさせるような内容。
小説の世界から現実に戻ってくるような感覚ではなく、物語を読んだ後に抱いた感情がそのまま心に残り続けている。あの男性ももしかしたら、と想像させる。
この作品は色々な意味で凄みを感じる。本当に読んでよかった。
Posted by ブクログ
⭐️5、可能なら6をつけたい
深い愛の物語だった。
もし、(「金星」を読んだ後で読むことをおすすめします)という表記を無視して先に暁闇の最終章を読んでしまっていたら、感動は半減してしまっていたと思う。
最後の1行、や、3行がやばい。
キャッチコピーにもなっている「ただ星を守りたかっただけ」という言葉は、全てを読み終わった後に本当の意味がわかる。
印象に残ったセリフ
「幸せの半分こは相手に多い方を、不幸の半分こは相手に少ない方を」
「自分が失った幸せは、大切な人のところに行っている。そう考えれば悲しくはない」
Posted by ブクログ
前編を読んでる時、???これ湊さん?て思いながら。
後編まで読むとすごい話。
どちらにしろ、文章力がすごい人たちの話。
ソウルメイトとはかくありき。
星、コーヒー、クッキー。
私的には、暁くんのお母さんの激しさがすごいと思った。やり方は他になかったんかとも思うが。
Posted by ブクログ
本屋大賞ノミネート作。
オーディブルで聴いた。
後半は、「これはフィクションです」で始まるので、なんだフィクションなのか〜って感じで聴いていたんだけど、だんだんと、え?これホントにフィクションなの?だったらなぜこんな小説を書いてるの?みたいに思ってきて、最後の一文(だっけ?)でひっくり返されるので、うわー!!!!と終わり方が良い!!と思った。
Posted by ブクログ
安倍首相の事件、統一教会の話がオマージュされていると聞いて、気になったので読んでみた。
宗教2世の苦しみが書かれた小説。
と思いきや恋愛小説で驚いた(勿論その部分が書かれてるのは間違いではないんだけど)。
大臣が殺されたところから始まって、ことの経緯や真相が語られる構成。2部構成になっていて、前半で主人公目線の話、後半は事件後に発表された事件に関する小説の内容になっている。
どっちが正しいのか、それともどっちも正しいのかと考えながら読めて面白かった。
あんまり宗教のことが分かっていないからこの小説を読んでみたんだけど、実際こういう感じなんだろうか。龍の話は突拍子もないと思ったけどありえるのかもしれないし、信者の力で重版して人気作家にっていうのはありえなくもないけど、政界を文壇に置き換えたのかな。分からない。
▪️メモ
・宗教二世の苦しみ
・文壇と宗教の癒着
・それを乗り越える物語