あらすじ
<デビュー25周年>渾身の書き下ろし長編ミステリー! 結婚直後の妊娠と夫の転勤。その頃から夫は別人のように冷たくなった。彼からの暴言にも耐え、息子を育ててきたが、ついに暴力をふるわれた。そして今、自宅マンションの浴室で夫が倒れている。夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。もうそろそろ息子の翔が幼稚園から帰ってくるというのに……。途方に暮れていたところ、2週間前に近所でばったり会った大学時代のサークルの後輩・桂凍朗が訪ねてきた。「量子さん、問題が起きていますよね? 中に入れてください」と。
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Posted by ブクログ
夫は死んだ。死んでいる。
私が殺した。
量子は夫からの暴力を受け、夫を殺してしまった。
ジャバウォックと呼ばれる、人の脳を狂わせるものが存在するらしい。それは、宿主が死ぬと別の生き物に移り住む。取りつかれた人は理性の働きが効かなくなり、ブチ切れたり、暴力を振るったりしてしまう。夫はどうやらそれに付かれていたらしい。
そのジャバウォックを付けた亀が、国の研究機関から盗まれた。
それを追う二人組、「破魔矢と絵馬」に連れられ、事件に巻き込まれる。
目の前にずっとヒントが落ちていたのに、初めの方を確かめることを怠ったために真相を素通りしてしまった…。悔しい…。まさか、ジャバウォックに付かれたら記憶がなくなるという話がそうつながるとは…。
お馴染みの伊坂幸太郎の語り口が非常に心地よく、テンポよく読めてしまう。
あっちこっちに振り回されるのも、適度に揺さぶられて、次の展開が気になって仕方ない。
そして、最後の5分の1くらいから、怒涛の展開で伏線を回収していく。
最初の方に出てきた燕ちゃんの話も、二重三重に回収されて、微笑んでしまう。
あの人が暴力を振るったのも、ジャバウォックのせい。テストステロンのせい。と、敵がいた方が救いがある、というのが逆説的だけど真理だなーと思う。
でないと、その人本人の性質が邪悪だった、ということになってしまうから。
その人の周りの人にしても、同じ社会に生きる人にしても。そんな邪悪な人がいるかもしれないなんて、受け入れ難い。
あと、炎上怖い…二人、炎上してキャリアを折られた人が出てくる。
どちらも復活したということで良いのかも知れないが、ほんと怖い…なんでそんな事…。
Posted by ブクログ
なるほど〜、こう来たか。近未来なのねー。
量子さんが混乱をきたすはずだ。
そして絵馬と破魔矢、相変わらずネーミングセンスがよい(^^)
ジャバウォック対策に亀!見たこともない携帯端末、見てみたい。
お母さんが流石だと思った。落ち着いていた。勘がいい家系なんだな。ラストはちょっと悲しいけど、幸せな気持ちも残る。ジャバウォック対策に使われる曲、聴いてしまった(^∇^)
伊坂幸太郎作品の会話のテンポが好き。いつのまにか巻き込まれるペースというか。今回は破魔矢だな。おかげで一気読みした。
最近あまり伊坂幸太郎作品を読んでいなくて、もしかして、この2人はどこかに出てきているのかな?
Posted by ブクログ
有名な作家さんとは知っていたけど、初めて伊坂幸太郎作品を読んだ。
こんなに読みやすいとは。
最初のガチサスペンスな不穏なシーンから、すぐにどんどんSFチックになっていくのが面白い。
なんか夫を殺したことが全然重大じゃない扱いになってるけど、量子は最終的にどうなってしまうんだろう……とずっと気になりながら、怒涛の追跡劇を見守った。
ジャバウォックという未知なるものが登場したけど、ヒトの凶暴性と温厚さとか、現実にあるものがベースにあるから自然と受け入れられた。
こごろうの正義感が強すぎるがあまり過激になってしまってるキャラが結構リアル。
こういう人、現代にも多そう。
破魔矢と絵馬はその名前から、最初神社の精霊か何かかと予想したけど、普通に人だった。
そのニックネームが生まれたエピソードとか、2人の関係性が素敵。
斗真と北斎の関係もよかった。
応援する者が批判する者に変わり、最後には支える者になるってぐっとくる。
世間の北斎への態度を見て、大衆は物事の一部だけを見て一瞬で攻撃したり讃えたりするものなんだな……と思った。
でもまた歌えるようになってくれてよかった!
随所で量子が現実世界に違和感を感じる場面には引っ掛かりを感じていた。
いくら世間から離れてる専業主婦でもさすがに買い物くらいは行くだろうし、こんなにわからなくなってるはずないよなーって。
そしたら、20年経ってた。
タイムリープとかじゃなくて、乗っ取られてる間の記憶が抜けてたというのが斬新。
食事とかどうしてたんだろう。
ラストの数ページでどんどん謎が解き明かされていくのが気持ちいい。
あれはなんだったの?に、ほぼ全部きちんと答え合わせしてくれて親切。
息子がいい子に育ってくれててよかった!!
お母さんどんな思いで待っていてくれたんだろう。
家族がまた会えて本当に良かった。
20年ぶりに社会復帰して、色々大変なこともあるだろうけど、モラハラ夫はもう初めからいなかったものとして幸せに生きていけるといいな。
結局事件そのものは防げなかったけど、収めることはできたし、ハッピーエンドなのかな。
あんな騒ぎを起こして、何も悪くない人達まで犠牲にして、こごろうよ、それはお前の主義に反してるんじゃないのか?とは思うけど、面白かったからよし。
Posted by ブクログ
いや〜改めて…伊坂幸太郎という作家の頭の中はどうなってるんだろうと思った
ゼロからイチの設定を生み出す創造力
実際に無いものを有るものとして成立させ続けるストーリー
これはある意味最強の校閲泣かせだろうなぁ〜
ネタバレしようにもどこからどうすれば?しょうがない
でもすごく人間の本質もついていて、読み応えもあった
まさに渾身のデビュー25年記念作品
もう一回最初から読み直したい
Posted by ブクログ
人は必ずしも善人ではなく誰しも悪意を持っていて善悪のコントロールをしながら生きている。ブレーキが効くか効かなくなるか、みたいな話って伊坂作品にずっと共通するような。
うまく噛み合わない描写が少しずつずっとあってそれが最後にかけて綺麗につながっていく瞬間が気持ちいい。騙された!とかではなくてそうだったのか!と思える清々しさ。量子が犯した罪のことを償ったことにしてもいいって思わせる力がある。重力ピエロの春みたいに。やっぱり最後に信じるのは愛や善だって伊坂幸太郎を読むと思う。思える。
他人と過去は変えられない。
自分と未来は変えられる。
翔のことを一番に考えていた量子にとって破魔矢の正体はとてもサプライズ的で読んでて嬉しくなった。
Posted by ブクログ
他人と過去は変えられないが、
自分と未来は変えられる。
かぁ。
人間の残忍さを、
テストステロンやジャバウォックのせいにしたい気持ちはよくわかる気がする。
そのヒトが悪いのではなく、
性質の問題だと分かれば、気が楽になるから。
人間が持つ攻撃性とスポーツの本質を説いていたのがおもしろかった。
でも、人間の本質は必ずしも悪だ。
なんてことはなかったよ。
と、桂さんに教えてあげたい。
子供は宝だもんね。
ミステリーかと思ったらファンタジーでもあり、?
現代の闇(ネット上での誹謗中傷)を交え、
人間の黒い部分や美しい部分をうまく描くなぁと思った。
サクサク進むけど、どこか掴みどころがなく、
ずっとフワフワとしていた。
デカルトの、我思うゆえに我ありの例えがよく出てくるけど、まさにそれで、これが現実なのか?夢なのか?もしくはバーチャルリアリティなのか?分からなくなり、一種の怖さが終始あった。
朝読むのがちょうどいいね。
いつもは伊坂ワールドに引き込まれるけど、今回はちょっと違って、人間というものについて書いてあった気がする。桂さんは伊坂さんなんじゃ?