あらすじ
<デビュー25周年>渾身の書き下ろし長編ミステリー! 結婚直後の妊娠と夫の転勤。その頃から夫は別人のように冷たくなった。彼からの暴言にも耐え、息子を育ててきたが、ついに暴力をふるわれた。そして今、自宅マンションの浴室で夫が倒れている。夫は死んだ、死んでいる。私が殺したのだ。もうそろそろ息子の翔が幼稚園から帰ってくるというのに……。途方に暮れていたところ、2週間前に近所でばったり会った大学時代のサークルの後輩・桂凍朗が訪ねてきた。「量子さん、問題が起きていますよね? 中に入れてください」と。
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Posted by ブクログ
最初は淡々と進んでいき、説明が多い印象でした。しかし、中盤から終盤にかけては、ずっとハラハラしながら読んでいました。
伊坂幸太郎さんも言っている通り、伊坂幸太郎さんの作品の中でもミステリー色が強いと思います。
少し涙が……という次元じゃなく、号泣してしまいました……
Posted by ブクログ
スキマ時間にぶつ切りで読んだためか、伊坂幸太郎作品にしてはのめり込めないなぁと感じていたところ、ラスト怒涛の伏線回収でスッキリ。何となく伏線ぽいなと感じていた所がすべて繋がっていく爽快感は、やはり伊坂作品だと納得できました。ミステリ要素だけでなく、人間の善悪や意識の在処などに言及されているのも、昨今の社会課題を踏まえる読書会の大きなトレンドを汲んでいて、新しい伊坂幸太郎を見れた気がします。
Posted by ブクログ
読みたかった伊坂さんの新作!本屋大賞ノミネートされてるらしい。
夫を殺してしまった量子が大学の友人桂と共に遺体を山に棄てに行く。その途中で意識を失ってしまう。そこから様々な人物と共に行動し、「ジャバウォック」の真相と桂の思惑を探っていく。
ラスト100ページほど。今まで両氏が抱えていた違和感の正体が明かされる。途中で出会った人たちがだんだんとつながっていく。やっぱりこの伏線回収のラッシュは伊坂さんを読むときの醍醐味の一つだよね。
量子の章と交互に描かれていた斗真の章が、だんだんと量子のいる時間に追いついていく。最後二つの章が重なり合って謎が解けるのが気持ちよかった。
全体的にはふわふわした印象で面白かったけど、どハマりはしなかった。ジャバウォックに憑かれていた影響で記憶があいまいで、世界に違和感を感じているという設定だからうまくそれを文章であらわしているといえばそうなんだけど、これは好みの問題かもしれない。
あと「天狗」は何者だったんだ?ジャバウォックに憑かれてたわけでもなさそうだし、素で強すぎないか。
Posted by ブクログ
夫からの暴力に対抗し
結果的に殺害してしまった妻。
現実を受け入れられず、働かない頭を
無理やり動かし今後を思案していたとき
突如部屋を訪問してくる大学時代の後輩…
こんな導入からは想像もつかない
展開と結末だった。
「人間が抱える暴力と親切の二面性」
「変えられない過去と他人、変えられる未来と自分」
この二つがこの本の主題だと感じた。
SNSの発展により仲間か敵かを識別する線を
引く行為自体が容易になったことで
不必要なはずなのに、敵(輪の外)と認識しては
その冷酷な暴力性を発揮する。
量子が眠っていた20年の間に起きた
技術革新によりその側面は加速し、結果として
凍朗は世界を諦めてしまったのだと思った。
他人を変えられないことに絶望し諦めた凍朗と
未来と自分を変えられることに目を向けて
希望を持って前を向く破魔矢。
そんな2人の対比も印象的だった。
量子を通して得られる情報や
描写される情景はどれも断片的で
考えがまとまらないまま展開が
進んでいってしまう読書体験は、作中にある表現の
「ひっくり返したスノードーム」そのものだった。
ただそれは恐らく意図して作られており
そのこと自体が全体の読み味を悪くすることはないのが、作者の凄いところだと感じた。
節々に哲学的要素が含まれており
咀嚼し理解するのが難しいが
それもまた「味」と感じる作品。
Posted by ブクログ
1ページ目の「ひっくり返したスノードームの中身のように混乱している」というフレーズに痺れた。
わかりやすくて、ぴったりな表現に感動すら覚えた。
なぜ量子さんはずっと帰してもらえないのだろうと思っていた。もう少しもう少しと言われながらずっときてしまったが、まさかそういうことだったとは!
2つのストーリーがバスケのワールドカップ会場でやっと1つにつながったと思ったら20年?
ジャバウォックに憑かれた夫を死なせてしまったのだから想定できたはずなのに。
章や節の変更なく、流れるように破魔矢と絵馬のゾーンに入っていったので、私自身、量子と同じように継ぎ目のない感覚でずっといってしまった。すごい技巧。
読後の余韻とともに、少し読み返してしまった。
面白かった。
Posted by ブクログ
ずっと量子さんの頭の中の妄想?と思って
ぼんやり読んでしまって
なかなか入り込めず
読むのに苦労したが
最後のワールドカップ会場での怒涛の展開で
目が覚めた。
破魔矢と絵馬夫婦や
斗真と伊藤北斎のコンビは
伊坂幸太郎作品らしい登場人物で
事態は深刻なのに軽快なシーンが多く楽しめた。
「他人と過去は変えられないが
自分と未来は変えられる」
繰り返し出てくるこの言葉は
使い古されたフレーズではあるが印象的で
なんだか人生うまくいかないなって時に
この言葉を思い出したい。
しかし、なんだろう。
期待しすぎてしまったかも。
ジャバウォックの生態も
天狗も亀も
凍郎の目的も今ひとつ
ピントが合わない感じ。
でも破魔矢は良い子に育ってて良かったし、
お母さんも生きて会えてよかった。
Posted by ブクログ
初めて伊坂幸太郎のサイン本として購入できたので
思い入れはあったのですが色々と本が溜まっていて
読み始めるまでにかなり時間がかかってしまいました
読み始めればやはり面白くすぐ読み終わったのですが
物語の核心が見え始めたところあたりから
少しモヤモヤした感じがずっと取れずに最後まで
晴れやかな気持ちにはなれませんでした。
その原因を少し考えてみたのですがこのジャバウォック
という概念の恐ろしさというか底知れなさ
そしてあまりの理不尽さに参ってしまったというかそんな感じです。
ラストも伊坂作品特有の勧善懲悪によるカタルシスも無いですし
桂凍朗の抱える絶望を同じように感じて終わるような感じで
あまり救いはないです。
人間の残酷な一面に対して理由を求めたい
そしてそれがホルモンなどの脳内の分泌物質によるもので
人間の本質自体が悪いわけではないというところは
わからなくはないですし
合理的な考え方にも思えるのですが、あまりの合理性に
ちょっと唯物論過ぎるというかそういうものを感じて
私には少し合わなかったです。
人間は敵とした存在にはどこまでも残酷になれるという
現代の深刻な分断の問題を分析しているようなのですが
ジャバウォックの特異性についてはその部分ともあまり関係なく
(敵味方見境なく暴力的になるので)
ストーリーがあまり収束していないようにも感じました。
(桂凍朗の最後の狙いもイマイチピンとこず)
量子さんの感じている違和感の正体についてはさすがに
予想外でしたが、その意外性も上手いと思えるようなものではありませんでした。
マイナスなことばかり書いてしまいましたが最初に書いた通り
伊坂作品で初めて手にしたサイン本ということもあり
期待値が異常に上がってしまったこと、
物語の冒頭から夫を殺してしまうという衝撃的な展開がとても
面白かったが故にそこからの展開に期待し過ぎてしまったこと
が要因としてあったかなと思います。
とはいえ破魔矢と絵馬夫妻のやり取り、
引退した歌手である伊藤北斎とマネージャーの斗真のやり取り
など細かいところは伊坂作品特有の魅力に溢れているので
その部分はとても楽しめました。
そしておそらくこの話で一番言いたかったと思われる
自分と未来は変えられるというポジティブなメッセージは
繰り返し出てきて良かったかなと。