あらすじ
東京・下落合、戦火を逃れた邸宅に集められた4人の女性。
GHQの一声で、彼女たちの人生を変えるハチャメチャな同居生活が始まった。
1946年11月、日本民主化政策の成果を焦るGHQがはじめた “民主主義のレッスン”。いやいや教師役を引き受けた日系2世のリュウ、地位と邸宅を守るためこの実験に協力した仁藤子爵夫人、生徒として選ばれた個性豊かな4人の女性――それぞれの思惑が交錯する中、風変わりな授業が幕を開ける。希望と不安、そして企み……。波乱の展開が感情を揺さぶる、今年一番の超大作!
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Posted by ブクログ
戦後の日本において、これまで軍国主義と家父長制とで自分を抑圧してきた女性たちに民主主義を教えることで、それぞれが自分の人生を生きるようになる。
彼女たちは民主主義を知らなかったら知らなかったで、さほど人生に不満もなく人生を生きていたのではないかと思うと、わざわざ民主主義を教えるのは壮大なお節介なんじゃないかとも思う。ただ、彼女たちは民主主義を知ったことで、別の物語を生きられることを知り、その中から自分の生き方を選択した訳だから、この壮大なお節介にも意義があったのだろう。それに、(ヤエのセリフでも出てくるが)何が正しいかは時代の変遷とともに変わるわけで、それがお節介だったりありがた迷惑だったとしても、今自分が信じていることを伝えたり、実施するしかできることはない。
価値観は人ぞれぞれで他人との距離を詰めにくい風潮も昨今あるが、意図のあるお節介の必要性のようなものを感じた。
話としても、後半に驚きの展開があるが最後は丸く収まって、読後感もよかった。
Posted by ブクログ
GHQは、日本に民主主義を広めるため、ある実験を始めた。
その実験とは、東京の屋敷に集められた四人の女性に「民主主義のレッスン」を施すことである。日本に新たな価値観が浸透し得るのか見極めるため、日系二世の青年・サクラギが奮闘する。
堅苦しくなく、よみやすいエンタメ小説。
お固そうなテーマでこのボリューム。歯応えのある読書になりそう、と身構えて取りかかったが、かなり読みやすい。美央子、吉乃、孝子、ヤエ、クニと、いずれも個性豊かで、かなり良いキャラクターが揃っている。とても一筋縄ではいかない彼女たちを御しきれず、右往左往するサクラギ先生の当惑顔も癖になる。物語に散見される笑いどころは、まさに朝ドラのそれで、どこか品のあるコミカルさだ。
小難しい所に切り込みたくないのだが。
デモクラシーを根付かせるってすごく難しい。作中でもサクラギ先生が何度か取り上げていたが、目に見える成果が出るものではない。「基本的人権の尊重」だとか「思想の自由」だとか、色々な角度から掘り下げることが可能であるが、「多様性の受容」という面から鑑みるに、仁藤夫人をとっちめるエンドで良かったのかなあ、というわだかまりは残る。小説としては、デモクラシーを真の意味で解さない分かりやすい敵役がいて…というのは盛り上がるし、実際に面白かったのだが、多様性の受容という観点からすると、仁藤夫人の考えだって、まああってしかるべきなのだ。しかし、物語としては非常に面白かったので、重箱の隅をつつくようなつまんない指摘は無粋というものだ。
卒業旅行が良かった。
教室でデモクラシーについて学び、東京の町に出て考え、進駐軍から本場の風を感じた生徒たちは、日光の小学校に社会科の授業参観に赴く。放課後、校長宅で女性蔑視の発言を受け、戦後デモクラシーの現実を知るというシーン。
デモクラシーを知っていても、受容する土台が全くなっていない。舞台が東京であったからうまくいっていたことなのだと突き付けられた。サクラギ先生の悔しさを思うと、胸が痛んだ。
旧態依然とした教員たちの価値観を変えるのは難しいと思ったが、その価値観をデモクラシーに染めるということも、なんとなくデモクラシーに反する気がする。デモクラシーって難しいな。新しい価値観を教えるというのは少し違って、知識として吸収して、自分の価値観と違うものだったら、反発せずにそっと置いておくというのが多様性の受容なのかな、と思った。やー、、難しい。
Posted by ブクログ
とても良かった!
戦時中、戦後の女性の地位について描かれている場面(男性教師は懇親会という名の議論する場に参加できて、女性教師は参加せずに料理をふるまう裏方役に徹する)が印象的で。女性の地位が低いことが当たり前だと、男性のみならず女性側も疑わないということが衝撃だった。
戦後80年、日本に女性総理大臣が誕生したこと、この当時を思うととても感慨深く感じる。
あと終盤、恋愛要素が入っていたのもドキドキしちゃって良かった♡
実写化してほしいなぁ。
Posted by ブクログ
ずっしり読み応えあり。様々な思惑の中で民主主義を学ぶ女性たち。自由研究の和太鼓はふざけてるんじゃなくちゃんと意味があったとはいえ、相当うるさかったはず。面白すぎ。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった。胸アツな台詞がちりばめられつつ思わず吹き出してしまう台詞も挟まれてて、脱帽。構成も本当にうまいと思う。映画鑑賞の受け止めの二面性とか、ほんと面白い。
最後まで読んで最初からまた読んだ。2回目読む時に美央子の日記と並行しながら読む方法を思いついた自分を褒めてあげたい。
映像化してくれないかな。NHKあたりが頑張ってのんさんみたいな逸材を5人見つけてくれるのでは。仁藤夫人は広瀬アリス、ミスターデモクラシーは仲野太賀くんあたりでどうか。
「この小説はある種のファンタジー」、「せめてこの小説の中では彼女たちを幸せにしてあげたかったし、ある種の仕返しをさせてあげたかった」という筆者さんの言葉も胸に響く。半世紀経っても教師の会合の場面から大して変われてないんじゃないかと思ってしまうところもあるけれども、そんなことはないはずで、私も前に進められる人になりたい。