あらすじ
東京・下落合、戦火を逃れた邸宅に集められた4人の女性。
GHQの一声で、彼女たちの人生を変えるハチャメチャな同居生活が始まった。
1946年11月、日本民主化政策の成果を焦るGHQがはじめた “民主主義のレッスン”。いやいや教師役を引き受けた日系2世のリュウ、地位と邸宅を守るためこの実験に協力した仁藤子爵夫人、生徒として選ばれた個性豊かな4人の女性――それぞれの思惑が交錯する中、風変わりな授業が幕を開ける。希望と不安、そして企み……。波乱の展開が感情を揺さぶる、今年一番の超大作!
【電子版おまけ】
手書きメッセージ
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
物語の序盤・中盤とはサクラギ先生視点でレッスンの様子が語られており、このまま生徒の一人ひとりのバックボーンとそれにまつわるトラブルが解決されていって終わりかと思いきや、終盤になってレッスンの裏で計画があったことが種明かされすごく驚きました。
日本にルーツを持ちながら生まれも育ちもアメリカでどちらにも属しきれないとい複雑な立場・心境を抱える日系アメリカ人二世を主人公に据えることで、読者に当時の日本を客観的に捉えさせてくれる物語でした。そのため、物語の登場人物が所々で鋭いセリフを放っているところが印象深かったです。
「与えられた物語を信じてはいけない」
「たしかにアメリカ人は自由と平等がお好きなようですけど、それは白人社会に限定された話ではございませんこと?」
「くれと言われたわけではない自国のイデオロギーを、絶対いいから、みたいな感じで他国の国民に強要している」
「この日本に、理想の民主国家を築きあげたい」
「自由と権利のみを振りかざし、ものを考えずに自己利益を追求すればー」
私はこの本をきっかけに先の戦争についてこれまで自分が抱いていた印象に初めて疑問を持つようになりました。アメリカと日本の関係や歴史について改めて捉え直すべく他の書籍も読んでみるつもりです。
個人的にはなぜこの本が本屋大賞等にノミネートされてないのか疑問です。
Posted by ブクログ
民主主義とは何なのか。
とても広い言葉で、自分の言葉で説明することは難しい。
最後に、4人それぞれの言葉で答えを出しているページでジーンと来た。
戦後生まれの私たちの世代にとっては、当たり前のものという感覚があったが、
日本の歴史においては、敗戦後である80年前に、アメリカによって与えられたものに過ぎなかったのだ。
(大正デモクラシーも存在はしていたがこの物語では触れられていない、たぶん)
映像の世紀バタフライエフェクトで、第二次世界大戦時の日系アメリカ人の差別の様子を見たことがあり、サクラギの日本に対する複雑な感情も推しはかられて感情移入してしまった。
印象的だったのは、日光で出会った小学校の教員、和田が本性を表したシーン。
民主主義を熱く語る姿との二面性にショックを覚えた。
思えば、女性が働くのが当たり前になった現在においても、こういった男尊女卑の片鱗に出くわすことは多いし、それに甘んじてしまう自分もいる。
それに対して、美央子はとてもしたたかだった。
ずっと、サクラギの目線で語られているが、後半で、美央子の日記が記されており、全然違う世界が見えてきて、解像度があがるどんでん返しが面白い。
東北出身の身としては、ヤエとクニのコンビも応援したくなるし、
何よりも、「言葉をお守りにしたい」という孝子の言葉にも心を撃たれる。
ここ最近、人が生きる上での「物語」について考えていた。
「与えられた物語を信じちゃいけない」
「人間は心が弱いと、自分に都合のいい物語をこしらえちゃんですよね。」
「もっと愉しい、新しい物語を生きない?」
これからは、自分が見ている物語を客観的な視点で見つめなおし、自分本位の解釈の物語になっていないか見極める必要がありそうだ。
生きるとは、死ぬまで自分の物語を推敲し続けることなのかもしれない。