あらすじ
富生が故郷の館山を離れ上京してから20年以上が経った。母が亡くなってからほとんど帰省することがなくなった実家には、78歳の父が一人で暮らしている。その父の様子が最近おかしい。久しぶりに実家を訪ねた富生が目の当たりにしたのは、父の「老い」だった。不安に駆られた富生は父との同居を決めるが、東京には付き合って8年になる恋人がいて……。
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小野寺さんの最新刊。いつもセンスある会話が光っているけど、今回も環境に恵まれた青年(もしくは中年)の、父という家族と地元というつながりの中で、今だから出来ることを探していく。寂しい別れもあるけれど、穏やかな日常が進んでいく、そんな心が穏やかになる物語です。
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やっぱり小野寺史宜さん好きだな〜〜
こののんびり、ほんわかした感じ
心が温かくなる♡♡♡
特によく知っている館山が舞台で、
海が爽やかな風を運んでくる
嫌いだったお父さんと段々距離が近づいて、色々な話しが出来る様になって行く
梓美さんの件は残念だったけど
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現代の親子像を描いており、近い将来、周りにこういう親子が現れてもおかしくないなぁと思ったり。。。
昔は関係性が良くなかった親子が、時を経て親子らしくなっていく姿も微笑ましい。同世代の人たちに読んでほしい一冊。
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やっぱり小野寺先生の作品は、好きだな〜と。
決して物語の起伏が激しいわけではないが、この空気感とういか日常感。老いとはなにか、そして家族とはなにか、考えさせられる。
とりあえず、何年も連絡をとってない友達に連絡するか。
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千葉の館山でひとり暮らしをする78歳の父が、最近少しおかしい。
東京の大手求人広告会社で働く那須野富生は、久しぶりに会う父の様子に戸惑いを隠せなかった。
それまで意識しなかった父の「老い」。生活の見直しを迫られる富生。勤務形態、恋人との関係。不惑を迎えた富生の困惑と決断を描くヒューマンドラマ。
◇
「あれっ。車、へこんでるじゃん。どうしたの?」
久しぶりに館山に帰省し、父の車で買い物に行こうとしてリアバンパーがかなりへこんでいるのに気がついた。驚いて理由を尋ねるが、父の返答はひどく頼りない。
「ああ。ぶつけたんだな。確か」
などと言い、ぶつけた時期もかなり前としか覚えていないようだ。父の曖昧な記憶によると、ぶつけたのは車庫入れするときらしい。
僕が休みを利用して久しぶりに実家に帰ったのは、78歳になる父の様子を見るためだ。6年前に母に先立たれてから父はいっきに老けた。元気がなくなり外出もあまりしなくなった。
気になってはいたが、帰省の決定打になったのは、父から久しぶりにかかってきた電話だった。
先日の夜、急に電話をかけてきた父が、
「家にあるお前のTシャツ着てもいいか?」
と聞くので、高校の頃のTシャツがタンスにあったのを思い出し、かまわないと言った。
「じゃあ着させてもらうよ。今さら服を買ったりするのはどうもめんどくさくてな」
父はそう言って電話を切った。
まあ40歳の僕でもめんどうなんだから、父ならなおさらだろうなと思っていたところ、2時間もしないうちに父がまた電話をかけてきた。そして、
「お前の部屋のタンスにTシャツが入ってるよな。あれ、着ていいか?」
と先程と同じようなことを言うので……。
( 第1章「現在 1月 40歳」) ※全5章
* * * * *
誰でも必ず、親の老いと向き合わなければならない日がくる。そして、種々の決断に迫られることになる。そのときどうするか。
そんなことが小野寺史宜さんらしい淡々とした文章で描かれていました。
主人公は、那須野富生という男性で、東京の大手求人広告会社勤務の40歳。
富生の出身は千葉県館山市。大学進学で上京し、卒業後そのまま東京で就職して現在に至る。
未だ独身ながら恋人はいるし、仕事も順調で、楽しく充実した日々を送っている。
という、地方から都会に出てきて、まずまず幸せな人生を歩んでいる人の話としては、小説だけでなく現実でもよくある設定です。
そんな富生にも、ある日、決断のときが訪れます。きっかけは、父親の言動に不審を感じたことでした。
不安を覚え、急遽帰省した富生が見たのは急激に老けた父親の姿。それは外見以外に、
・同じことを何度も言うなど、最近の記憶がひどく曖昧。
・自己身体認知機能が低下しており、物との接触や衝突を起こしがち。
・台所仕事の際の、火の始末や刃物の扱いがはなはだ危なっかしい。
などのように、言動にも顕著に見られるようになっていたのです。
父親は、ひとり暮らしになってからの6年間で、明らかな認知症の兆候が出てきたのでした。
そんな現状を目の当たりにした富生が迫られた選択と決断。それは……。
いちばん大きなものは父親の処遇です。
・同居すべきか施設に入所させるべきか。
・同居するのなら、父親を東京に呼ぶのか、富生が館山に帰るのか。
最も現実的なのは、富生が館山に帰ることです。
東京で同居するには、現在の1Kのマンションを引き払い、少なくとも2LDK の部屋を探す必要があります。また、施設に入所させるためには、父親を説得し、施設を探す必要があります。
どちらにしても時間がかかるため、すぐに手を打てないということになります。
一方、富生の職種はリモートワーク中心の勤務形態が可能なので、居住地は自由です。 ( 出社は月イチで OKなのでクリエイターなのでしょうか?)
ともあれ、富生の仕事や手間を考えても、父親のストレス軽減を考えても、富生が館山に帰るということが最も合理的であるようです。
ただ、ここで問題が。それは恋人の存在でした。
富生には付き合って8年になる高島梓美という恋人がいます。
彼女は食品会社に勤める、(恐らく) 総合職の女性で、仕事にやりがいを感じています。また、現在35歳という、結婚を意識する年齢でもあります。
東京での恋人生活は順調で、2人はとてもいい関係でした。それは、互いのライフスタイルを尊重しあっていることが大きいほか、富生の勤務がフレキシブルであることも無関係ではないようです。
でも、富生が館山に引っ込むということになれば、2人の付き合い方も変えざるを得ません。
彼女はリモートで済む仕事ではないし、キャリアを考えれば、退職して館山に来てもらうことなどできないでしょう。
さて、富生がどのような選択をするのかですが、小野寺さんは、さらにもうひとつの問題を絡めてきています。
実は、富生は中学時代から (ある事情で) 父親を疎ましく感じ出し、必要以上はことばを交わさないほど距離を置くようになっていたのでした。
富生が実家を嫌って東京の大学に進学したのも、上京後は正月くらいしか帰省しなくなったのも、父親との関係の悪さが一因だったのです。
父との心の交流が皆無の青春時代を送った富生がいま目にしているのは、妻を亡くして危うい独居生活を送る老父です。
もし自分が富生の立場だったら……。
つい考えずにはいられませんでした。
こんな胃が痛くなるような状況で、苦しい選択をしていく富生の姿を、小野寺さんはいつもの淡々とした筆致で描いていらっしゃいます。物足りなくもあるのですが、押しが強くないぶん、自分ならどうするかなどと、かなり考えさせられもしたので、いい作品だと思います。
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那須野富生(40)はJR館山駅徒歩15分に実家あり、母は6年前に72歳で亡くなった。一流企業で東京勤務中。しかし、正月の帰省などで父の様子がちょっとおかしいことに気付き帰省を増やし、リモート勤務が許されているので、ついにUターンを決意する。昔のことで、わだかまりのある父との生活やUターン生活、リモート生活、東京に住む彼女とのことなどが、小野寺ワールドでたんたんと語られるお話です。
表紙、地味!そして、お話もけっこう地味系です(まあ、いつもだけど)。でも、決して読み心地は悪くなく、語られる内容はどこかその辺でよく起こるようなこと。だから、なんとなくするするっと読めてしまいます。地名がやたら具体的なのでとても想像しやすいです(土地勘ある場合に限る)。
地味語りなのに、彼女の家に泊まったりとか、エロじゃないけどそんなシーンあるので中学校以上。個人的なら小学生でもいいけど、ふつうの小学生にこの本の面白さは、わからないと思います。
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いい面も悪い面もどっちも見せる書き方でありながらも、嫌いになりきれないキャラクター性と、少しずつ変化していく心情が丁寧に描写されているのが印象的だった。
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⭐️あなたが僕の父
淡々と、ただ淡々父親を描いている。何気ない日常の中で、父親の衰えの兆しが色濃くなっていく。運転免許返納、うどん、転倒、認知のあやふやさなどのエピソードが刺さる!父親を大切に思う気持ち、やはり親子なんだという気づきが、じわじわと感じられる。良き!やはり小野寺ワールドは良き!
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とてもリアルな会話や描写が続き、知らない人の日常をこっそり側で見ている感覚に落ち入ります。創作にありがちなドラマチックな出来事はない。影もなく日向もない。淡々としたお話。
主人公の介護への知識のなさ(40代ならこんなものだけど)にいらいらしてしまう、介護どっぷり世代の私でした。そして、恋は若いうちにしようよ!好きな人と結婚しなよ!といらいらしながら読みました。この作者は今の若い人のことがきっと私よりよくわかっているのでしょう。幸せは人それぞれですが、今の日本人はほんとにこんなに寂しさに慣れていて良いのでしょうか。そういう意味では若い人たちのことを考えられてよかったです。
Posted by ブクログ
認知症になりつつある父親のために故郷に戻って一緒に暮らし、毎日の生活の中で、父との関係も取り戻していく。そして、自分も父と同じところがあるということに気づいて、そこに喜びが感じられるところ、読んでいて心が温かくなった。
ここには何も書かれていないが、きっとこの数年後には、梓美との関係もまた変わるのではないかと思わせられるような気がした。
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2日で読み終えた。面白かったからスイスイ読めた。
いつもの小野寺さん節。会話劇というか、本当に小野寺さん独特の文章。それに最近飽きてきていたのだが、この小説は面白かった。前向きだけじゃなくて、お父さんとのわだかまりとか、自分の恋の色々とかあって。ただ過去のエピソードを間に章立てして挟むほど、過去のエピソードは大事なのかな?とは思った。まあ、自分も、両親も若い頃はただ親の心配などいらなかった、あの頃、という点では対比でひかったかな。
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あったかい、小野寺さんのお話しはそれに尽きます。
梓美さんとのお別れは辛かったけど、館山でテレワークをしながらお父さんを見守って行く富生さんのこれからに幸あれと思います。
ほんの少しだけど蜜葉市が出てきたのも嬉しかったです。
Posted by ブクログ
まずこの表紙を見てください
ちょっと切ない(ノ_<)
父・敏男78歳 息子・富生40歳
母が亡くなって舘山で一人で住む父がちょっとおかしい…ほんのちょっとの違和感。
母がいなくなった実家には足が遠のく。
この親子の距離感が何ともリアルです。
特別好きでもない
かといって嫌いと言うわけでもない
でも心配ではあるのだ。
富生が父の老いを感じ、一つ一つ確認するように
一緒に暮らしていく物語は小野寺さんらしい文章でゆっくりゆっくり進みます
会話文が多いのも小野寺さんらしい
慣れない人にはちょっともどかしいかも…
色々な方のレビューを見たときに、何故8年付き合った彼女と別れて父と暮らすのか?と感じる方が多くいました。
わたしは富生と彼女の関係なら二人が別れたことは良い選択だったのだと思う
作中ちょっと泣きそうになった文
「まかせるよ、富生に」
その言葉はちょっと響く
何だかうれしくもあり、悲しくもある
僕にまかせてくれる父と
もう僕にまかせてしまう父
うれしくて悲しい
わたしは三姉妹で母親も今のところ元気ですが
88歳になる父は心臓が悪いし最近よく熱を出す。
そのたびにオロオロした母から電話があるけど色々な判断が母はできない(*´-`)
この先どんな状況になるのかはわからないけど
この富生のようにちょっとだけ先のことを考えていこうと思う。
切なくて優しい物語でした♪