あらすじ
1985年8月12日、長野県でスイミング・キャンプの最中、西の空を見上げてたたずむ少女の無邪気な言葉、その意味に気づいたコーチが深く戦慄する「西の空」。特に冴えたところのない中年男性の営業担当だが、彼が家を訪問すると、なぜか新聞購読の契約が100%取れる――だが、新人の配達員が気づいてしまった事実が恐ろしい「タサキさん」。孤独死した老人の遺体の搬送に付き添った公務員が体験した不思議なできごと「遺体搬送」など、実話怪談の先駆者が放つ、選りすぐりの恐怖。
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Posted by ブクログ
『怪談狩り』シリーズは毎回楽しみに読んでおり、今回も興味深く読みました。
表題作「逆さ煙突」は、雄別の逆さ煙突の話。「今度、Мさんから俺の怪談、聞いてください」の言葉が怖くてよかったです。
肝試しに行く友人に警告しつつ付いてきてくれる友人の話である「友人の警告」、訳アリ物件に住んでいる本人がおもしろ怖い「訳アリ物件」、空き家で奇妙な葬式に遭遇する「アッちゃんのお葬式」、近所の社長宅の異変を語る「庭の祠」、不思議な店員のいる「納得のいかないラーメン屋」、お盆に会社の指示である島に出張し奇妙な風習を目にする「島の奇習」などが印象に残っています。
その他あわせて55話くらいあるので、好みの話がいくつか見つかると思います。
Posted by ブクログ
「カワタロウ」「タザキさん」「友人の警告」「子守歌」「新耳袋」「逆さ煙突」「無線」「矮鶏」「湖畔の女」「おばあちゃん」「島の奇習」。怖さが残った11編。
「カワタロウ」は、増水した川に近づくなと言う警鐘の口伝だとは思うけど、それだけでは説明できない怪異があるという要素が怖いです。ちょっと前にSNSで話題になっていたんだよね。ひだる神はハンガーノックで云々だけど、それでも説明できない事例が怪異なんだろうな、という。理解・解明できれば科学、そうでなければオカルトだとは思っているけど、どこまで科学が進歩しても解明しきれない部分はあるし、増えてゆくと思うので、どちらの界隈も盛り上がって欲しいです。相反するものではないと思うんだよね、共存というか並立できると思います。その方が楽しいじゃない。似非科学として搾取する手段に使うのは、論外です。
「新耳袋」は、読んでいる最中から13巻?というのが引っかかっていました。11巻以降の話は知らないよ、再編集?増補?案の定、10巻完結ということなので未読のものがなくて一安心なのと、見たという存在しない3巻分は何者?という怖さ。
続刊がないから「怪談狩り」を読んでいるわけだし。
「おばあちゃん」の語られていない、どうしようもない理由というのが、悲しみと怖さをいや増します。本当のところ何があったのか。因習的なものなのかなぁ。
因習の怖さは「島の奇習」。読み出しから、これは何かが来るやつで、通り過ぎるというかやり過ごすしかないやつ、だと思いました。大袈裟な言い方だと神さま的な何かのやつ。個人の霊とかじゃなくて。
因習というと、進歩・改革を無視するという否定的な意味合いにありますが、この島のやつは抵抗や無視をしてはいけないやつなんだろうな、と思います。
これ、特定できちゃうんじゃないかなぁ。自分は怖いのでしませんが。知りたいとも思わないです、怖いので。
「初恋」はほっこり話になっているけど、場合によっては怖い話だよなぁ。多分、会話とかのコンタクトをとっていたら、違う怪談になっていたと思います。ちょうど良い距離感。
「アイドルのグッズ」「これも付喪神?」もほっこり話。故人に好意的であるからこそのほっこりだと思います。「無断欠勤」もか。
「無断欠勤」と「呪い」は対称的だなぁ、と思いました。「呪い」は、なんとも難しい怪異。ハラスメントなのか、モンスタークレーマーなのか、の線引きの難しさ。読んでいる限りは逆恨みだと思うけど、実際何が起こっていたかわからないので、どう判断したものでしょうかね。