あらすじ
私、小澤雄也は本書の編集を手掛けた人間だ。
収録されているテキストは、様々な媒体から抜粋したものであり、
その全てが「近畿地方のある場所」に関連している。
なぜこのようなものを発表するに至ったのか。
その背景には、私の極私的な事情が絡んでいる。
それをどうかあなたに語らせてほしい。
私はある人物を探している。
その人物についての情報をお持ちの方はご連絡をいただけないだろうか。
※単行本とは内容が異なります。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
最初はホラー小説の短編を詰め込んであるのかと思った。一つ一つがとてもリアルで夜に読んだのを後悔した。しかし最後まで読んでみるとこの話は、ある一家の悲しい物語だったことが明かされる。夫がなくなって孤独になった妻がおかしくなってしまい、そこから始まる呪いの連鎖のようなものが怪談となり続いていた。
人が死ぬから幽霊が生まれる。幽霊は怖いものだけれど、人が死んでいることに悲しさを覚える。
恐怖を感じながらも、人の脆さを感じられるような小説だった。
とにかく怖かった。過去一のホラー小説。
袋とじの画像が怖すぎた。
伏線回収は完璧ですごく気持ちのいい作品だった。
Posted by ブクログ
単行本とは内容が異なると知って、映画にもなったし、さらに擦るのかなと思ってしまった自分の卑しさが恥ずかしい。
単行本版を読んで内容を知っている人ほど文庫の差異に感銘を受けると思う。自分はそうだった。
単行本版より物語の真相がわかりやすくなっている。そして恐怖よりも悲しみに胸を打たれる。加筆された最後の一文が素晴らしい。
人は幽霊を怖がる。あそこの心霊スポットには血まみれの女の幽霊が出るなんて言っては盛り上がる。しかしその女はかつては生き、もっと生きたかったのにそうできなかった人かもしれず、もしかしたらそれは自分やあなたであったかもしれない。その女には家族もいただろう。家族は自分の身内が心霊スポットの幽霊という見せ物にされてしまったことに心を痛めているかもしれない。誰が自分の娘を、母を、姉や妹を、成仏できずに世の中を恨み続ける血まみれの存在にしたいと望むだろう。
「そうやって人の不幸で楽しむのやめろよ」という台詞が出てくる。
ホラーとはまさに人の不幸を娯楽として消費するものだからこそ、ホラーブームと言われる今、上記の視点を提示してくれたことに蒙を啓かれる思いがした。昨今、因習村ものは差別的だという指摘がある。あんまりコンプラを先鋭化させてしまうと娯楽を娯楽として楽しめなくなってしまうけれど、こういった見方もあると意識的になることは大切だと思う。幽霊と人間のあいだに分断を作らないために。
Posted by ブクログ
単行本と文庫本で内容が違うというのもいいもんだなと。
一瞬、幽霊なんかいないという方向にまとまるのかと思ったらやっぱいることはいるのね…。
単行本の脅かされるような雰囲気からは一転、切ない閉めかただった。
本来なら面白がるべきではないんだよね、死んだ人がいるから幽霊がいるんだもんね…
とは言え怖いものが見たくて読んでるんだけどね
私の感想はこれでおしまいです。
Posted by ブクログ
文庫版。通常盤より悲しい。わかりにくかったところが少しわかるように。
こんなことして馬鹿みたいですよね。幽霊を見てしまうのは死んだ人がいるから。
Posted by ブクログ
途中までは読んでて怖さがジワジワ来ていたけど、限界ぎりぎりで読み進めた。いろいろ種明かしされた後は、ホラーというよりファンタジーだった。「リング」を超える見た人が呪われる系の物語はなかなか出てこない。読み終わってほんとに怖かったのは未だにリングだけ。
図書カードをいただいたので久しぶりに買った本。
Posted by ブクログ
最後の〈了〉で見、見えたwwwwwwwと吹き出してしまった。笑
映画を観たあと読んだが、全然違うストーリーで驚いた。映画よりも文庫版の方が好き。複数の怪異の繋がりが(映画よりもわかりやすく)示されたことで、ミステリーの謎解きパートのようなスッキリ感があった。また怪異が生まれた経緯もクローズアップされていて、これによって断片的な文章の集合が1つの物語としてまとまりを持っていた。
Posted by ブクログ
初めてのホラー作品!
写真やネット掲示板、記事を利用したストーリー進行が特徴敵で面白かった。
内容もしっかり不気味なのだが、ラストは少し考えさせられる内容なので思ったより怖くは無かった。
単行本と内容が違うらしいので読み比べたいな。
Posted by ブクログ
ブラウザ版、単行本版とも既読。文庫版は初読。
ホラー雑誌の記事の抜粋、インターネット掲示板のまとめサイト、児童向け書籍の抜粋、インタビューのテープ起こしなどを切り貼りし、間に語り手の独白を挟み込むという、モキュメンタリーの手法を用いたホラー小説。
今回の文庫版ではその内の「語り手の独白」部分が大きく変更されている。
今回のバージョンが一番真相に近づいたものになるかと思うけれど、真相に近づけば近づくほど怖さは薄れて、代わりに登場人物の葛藤や愚かさや悲しみが強く浮かび上がってくる。
ブラウザ版や単行本版で味わえた「怪談」的なものを求めて、文庫版も読んでみたけれど、本書は思っていたより「小説」として綺麗にまとめられていて、肩透かしを食らった印象だった。