あらすじ
ある日、私は会社の書庫で「開封厳禁」と書かれた段ボール箱を発見しました。
その中にあったのは、会社に関する数々の資料。
これからまとめていく文章は、それらの資料を文字起こししたものです。
なお、重大な機密情報などは含みません。ただ――とても、異様なだけで。
どうか、弊社と私に対するご詮索はおやめください。
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Posted by ブクログ
本屋を目的もなくふらふらしていたら、偶然この本が目に入りました。
とてもキャッチーな書名。そして書名とは明らかにギャップのある、たくさんの笑顔が表紙と背表紙からこちらに向けられている。気になって購入しました。
普段はなるべく前情報を入れずに作品を楽しみたい主義なので、勝手に「ミステリーかな?」と推測しながらページを開きました。
「この会社は実在しません」
「アットホームな職場です」
最初の2ページを読んで、なぜかフフッと笑ったのを覚えています。「アットホームな会社は存在しません」という、風刺の効いた一節なのだと思いました。
しかし読み進めるうちに、「ルール怪談」という言葉が脳裏をよぎり、少し震えました。
恥ずかしながら、私はホラーが苦手で、普段からホラー映画を避けている人間です。
しかし、ミステリーや謎解きは大好物。事件ものならオカルト要素があっても食いつくし、探索要素があればクトゥルフ神話にも手を伸ばす。ルール怪談も、怪談ではあるけど、「ルール」という合理性の塊に謎解きと通じるものがあるため、少しは知っている…そういう性分です。
これはもしかして、私が初めて読むホラー小説になるかもしれない。ホラー小説にもジャンプスケアはあるのかな(大の苦手)…と、不安と興奮を同時に抱えながら読み進めました。
結果として、はじめて読むホラー小説は、好物がてんこ盛りしている一冊でした。
書店の本棚で偶然出会えたご縁に感謝です。
主人公を動かすあの大事件が起きたところで、ちょうど本の半分ほどページがめくったことが、個人的にはかなり気持ちの良い構成でした。
結末も、順当なところで終わらせたくないという気概が伝わってきました。かーらーの?が何度も続いた末に、ハッピーエンド?というところへ着地して、最後まで本当に楽しく読めました。
自分が新卒として就活をしていた頃、意気揚々と同級生たちに「私は就活を婚活だと思ってやっている!」と言っていたことを今になって思い出し、ゾッとしています(笑)。
もちろん当時も今も、自分の中では合理的に説明できる一言です。ただそれが裏目に出た場合の「極」の景色を、この小説を通して見たように感じました。
最後にひとつ。
途中まで読んでしばらく置いておいたとき、表紙の笑顔がとても不気味に感じてしまい、そのままテーブルに置いておくことができませんでした。わざわざ毎回、本棚の奥の列にしまっていました。
作中で主人公があの段ボールに抱いていた気持ちが、よく分かります。
普段はあまり読まないジャンルの作品でしたが、読んでよかったです。
素敵な時間をありがとうございました。
Posted by ブクログ
「アットホームな職場」という使い古された(というか今や敬遠される)謳い文句を、ここまでホラーに昇華するとは…と引き攣り笑いをしてしまう作品だった。
「大丈夫です」がこんな怖いワードになることある?
モキュメンタリーにおいて語り手側のストーリーが絡んでくることには賛否がありそうだが、家族が重要な要因であるこの作品では、瑞穂たちのバックボーンも欠かせなかったと思う。
Posted by ブクログ
側から見たらバッドエンドかもしれないけど、あの2人なりのハッピーエンドなんだろうと思えばこれで良かったのかもしれない。
モキュメンタリーでこんな気持ちになるとは思わなかった。
Posted by ブクログ
これはモキュメンタリーです。実際にはこの会社は実在しません、が読み終わったあと帯にあったQRコード読み込んだらスノウ製菓のTwitter垢出てきてひぇ〜ってなった。手が混んでて痺れますね。
最後は怪異に取り込まれあえなくバッドエンド、ですが、本人たちにとってはハッピーエンド(メリバってやつ?)で終わってまぁ〜〜〜いっか!って私は思いました。ぜんぶだいじょうぶになりました。
Posted by ブクログ
前半部分のアーカイブはとても不穏ですごく面白かった。スノウ製菓のXのアカウントもあって、力入ってるなあと感心した。作中で登場した張り紙や子供の日記などもXで見られたので合わせて見るとより作品が楽しめると思う。
後半は……、正直なところ自分の望んでいる展開じゃなかった……けれども、物語自体はすごく面白いから続きが気になるという何とも新鮮な体験をした。
総括としては、「メリーバッドエンドのお手本のような作品」という印象かな。
あと、怪異とは別に人間関係の描き方が魅力的だった。作者さんのX見たけど、恋愛も書く方らしい。どおりで魅力的なオフィスラブだったわけだ。
スノウ製菓とは別の会社で宮下くんと瑞穂ちゃんが出逢う世界線を個人的には希望したい。てか、普通のこの2人のオフィスラブ読みてえよ。
Posted by ブクログ
『あなたの元へ届くかもしれない報告の葉書』にハッピーエンドを感じた読者は私だけではないと思う
最後の地下シーンで宮下くん出てくるの熱い展開じゃないですか!?
そうして正気に一時戻るようになったきっかけが藤村さんの宮下くんを想う心、恋心だって言うのもまた…
瑞穂ちゃんも自分の生まれ育った環境から、宮下くんからの告白どうするか迷ってる節があったけど、あのエレベーターが答えだよなって
I love youの新しい訳を見てしまった
一緒におかしくなれるんだ
きっとこれも宮下くんのいった『ハッピーエンド』の形だよ
瑞穂ちゃんはちゃんと宮下くんの『ハッピーエンド』を守ったし、私の中ではこれが告白の回答なんだと思っています
この地下シーンあまりにも大好きすぎるので何度でも読み返してしまいそう
Posted by ブクログ
業績の良い会社の裏事情的なことを図らずしも暴いてしまった、結果その怪異に呑み込まれてしまった…というお話なんだと思う。
それは分かるし、決してつまらなかった訳ではないないんだけど…
どう言ったらいいのかな、読んでる最中のワクワク感というか、この先どうなるんやろ?っていうページをめくる手が止まらない感じ、逆に読み終えてしまうのがもったいない感じがしなくて、残念でした。
なんだろ、なんか読みづらかった。。
主人公以外の視点で進む章があるというつくりは他の本でも時々見かけるから、それが原因ではないと思うんだけど。。
ネガティブなことを先にあげちゃったけど、良かった点もいくつかありました。
ひとつは、主人公が今の親御さんに最後まで愛されていたのが分かるくだりが出てきたとこ。元々の親御さんとの関係性もあったり、自分を評する今の母の言動に傷ついてる場面が出てきたりで、当初は本人が愛されてることを実感できないままなのかなと思ってました。でも、今の親御さんがおかしくなった時に取った主人公のあの行動から、主人公もなんやかんや言いながらも親御さんを大切に思ってた、そのことを感じられたのが良かったです。
もう一つは、雪子さんが怪異の大元なのかと思ってたけど、元々の何かもいたという設定が意外で面白かったです。
雪子さんはスジの家系の方のようだから、普通の人よりも怪異と交わりやすかった、影響を受けやすかったのかな?
ただ、雪子さんが怪異となってしまった原因が思いのほかさらっと流れてしまってたように思え、そこをもう少し深めて欲しかったなとも思ってます。
Posted by ブクログ
主人公、同僚(小説家として退職するので元)、同僚の先輩・藤原(?)で大手製菓会社内で見つかった不気味な資料の謎を解いていく。
資料パートと主人公たちの動きが分かれていて区切りが多く読みやすかった。
ただ、途中主人公と良い感じの元同僚が亡くなって主人公と元同僚先輩がタッグを組んで頑張っていたが、最後で主人公も取り入れられてしまった。終盤は同僚先輩がモニュメンタリーとして世界に発信するために誤魔化し・乗っ取られそうになりながら話が終わる。
だいじょうぶ
かぞくになりましょう
Posted by ブクログ
【企業で何が起きているかは、社員しかわからない】
最後が怪奇系に終わるのか…という気持ち。
とはいえスルスル読めたし、家族とは、仕事とはという気持ちになった。
Posted by ブクログ
廃墟や廃トンネルなど、日常から離れた場所とは異なり、社会性を有した『会社』に巣食う怪異…。
しかし、そこに勤める人々はその状況に飲み込まれ、我知らず心身に変異を来たしてゆく。
怖いのは、社員各々がその環境を享受している事。
怪異に依って作られたホワイトカンパニー。
私たちの勤める会社、ひいては社会も実は…
なんて事は本当にないのだろうか?
だって、
世の中どんどん悪き道を辿ってないか?
そもそも、作中で怪異、退治されてないし…。
Posted by ブクログ
思っていたよりも面白かった!!
最初、流行りのモキュメンタリーかと思っていたら、ちゃんと物語だった。
この会社というのは、
スノウ製菓という会社。そのお話。
会社の書庫にあった箱。「開封厳禁」と書かれたA4の紙が沢山貼ってある。
でも整理しないといけないし、いらないのなら分別しないといけない。
って言う建前のもと、興味本位であけると、そこに入っていたのは奇妙な書類とUSBなどなど。
なんだこれは?
庶務の芦原瑞穂がそれらがなにかを調べていく。
同期だった宮下優吾にも相談。彼は就職したがすぐに辞めて、作家になった。
気持ち悪い書類たち。
USBにも気持ち悪い音声。
「だいしょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ」
「かぞくだから。かぞくの家族はかぞく。わたしたちはかぞくだから。みんなかぞく」
面接でこの会社の為ならと、ペンで目を突いた山本陽平。
トップセールスのインタビューをしていたのに、「その他」のカテゴリーで退職している芹山翔一。
派遣社員を「派遣ちゃん」と呼んで、実は嫌われていて、3階の張り紙をはがし(はがしてはだめっぽいやつ)いなくなる前にトイレの洗面に黒いものを吐いていた田崎美羽。彼女は退職ではなく、「休職中」となっている。
その後、芹山と美羽が結婚したような葉書が届くが、黒く塗りつぶされいている。
しかも、深夜にインターフォンを鳴らしてお菓子を売りつけに来ると苦情がきた。そのセールスマンも辞めた芦山。(子どもができたといっている?)
どうなっているんだ?
だが、誰も不思議に思っていない様子。
結構怖かった。
トイレで・・・ちょっと怖いことがあるんですが、それを読んですぐにトイレに行ったときマジで怖くて上はみない・・・って思いました。
あまり話題にはなっていないようですが、ホラー初心者ぐらいの方に、おすすめしたいですね。