あらすじ
小さな頃から生き物が大好きで、様々な動物を飼っていた著者は、中学2年生の時、骨格見本に興味を持ち、死んでしまったペットのハムスターの墓あばきを思いつきました…。クジラ博士となった研究者の骨から始まったストーリー。
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Posted by ブクログ
研究するってこんなこと。
生き物好きの少年が鯨類学の研究者になる過程を丁寧に本人がまとめた自伝。少年の日の理科の授業、骨格標本作りの試行錯誤、アルゼンチンへの留学とクジラとの出会い、進学と研究の始まり。南氷洋での観測の日々と、博士課程での自分のテーマを追う生活について。波瀾万丈というほどでもないが、確実に個性的な人生が描かれている。
出会うべきときによい出会いがあった幸運。アルゼンチンに留学した時に出会ったクジラ。しかしその時他の留学生に尋ねられた日本の捕鯨について高校生の著者は答えを持っていなかった。研究者となって再度訪ねたアルゼンチンで著者は博物館でクジラの標本に感動し、その価値を噛み締める。今なら捕鯨についても自分の意見を伝えられるというが、その時適当に答えてしまうようだったらクジラを自分のテーマとはしなかったのではないか。答えられなかったから自分のテーマになるひっかかりとなったのではないか。
人の本質は小さい頃から変わらないのかもしれない。著者は生き物が大好きな少年だった。採集したり観察したりという現在の仕事の芽がその頃から芽生えている。自分も振り返ればきっと小さな頃からの何かが今まで続いているのだろう。進路を考えている人は未来に思いを馳せるのもいいが、振り返ってみるのもいいのかもしれない。すでに一生のテーマとの出会いがあるかもしれない。