あらすじ
その日は峰ヶ原高校の体育祭。咲太はいつも通り、かえでに起こされ学校に向かう。理央や佑真と同じ青組で応援を決め込むも、憂鬱な相談が舞い込んで……。
「玉入れのメンバーに欠員が出たから、咲太が出てくれ」
任されたのは、急に姿を消した同級生にしてビーチバレーのジュニア選手でもある大津美凪の代役。朋絵と玉入れをしたり、のどかと借り物競争に出たりして、ようやく訪れた麻衣とのお弁当タイム。
ところが、その途中立ち寄ったあるところで美凪の姿を発見し――!?
書き下ろし『トロピカルサマー』も収録する『青ブタ』初の短編集をお届け!
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Posted by ブクログ
もっともっと色んなシチュエーションの番外編が読みたくなる。翔子さんのifストーリーや翔子さんに焦点を当てた話を追加で5巻くらい読みたい。これで青ブタ小説版が終わると思うと寂しいかな。
鴨志田先生は区切りを付けるべきだと仰っていたが、区切りまでの中身はいくらでも肉付けしてほしい。もっと青ブタの世界に没頭したい。
Posted by ブクログ
シリーズ本編終了後の最後の短編集。
三つの話が入っている。
最初のビーチクイーンは百ページ越えの中編で、本編で語られなかったもう一つの思春期症候群のお話。
そのシチュエーションがちょっとエロイです^^
二つ目は「ハツコイ少女」の過去に戻ってやり直した後の例のクリスマスイブのお話でシリーズを読み続けてきたものにはグッとくる。
本編でできなかった咲太と麻依のえのすいデートの様子や例の交通事故の場面で咲太に去来する様々な激情が本編を思い出して泣きそうになる。
大丈夫。麻依さんの卒業式の日、咲太はちゃんと思い出すから。そう言ってあげたい。
そしてラストは大学生になった咲太たちの夏休みのキラキラとした青春模様。思春期症候群の関係しないお話は、本編終了後には咲太たちが再びこんな日常を取り戻したんだろうなと思えて嬉しくなる。
これがシリーズの本当に最後と思うと寂しいけれど、素敵なお話をありがとうございました。
Posted by ブクログ
3つの作品からなる青ブタシリーズ最初で最後(?)の短編集。DVD特典『ビーチクイーン』は"かえで"のブラコンっぷりはやっぱり可愛いな〜としんみりし、映画の来場者特典だった『ホワイトクリスマス』は『ゆめみる少女』の後日談なので、映画のあのシーンやこのシーンが浮かんできて思わず涙がで得そうにになりました。書き下ろしの『トロピカルサマー』は、これが青ブタ『最終話』であるなら、あえて大学生編の前日譚とした鴨志田氏に感謝したい。何故なら大学生編を振り返りたくなったからですね。シリーズ完結を心よりお祝い申し上げます。
Posted by ブクログ
短編集という形式がもたらす軽やかさと、シリーズ特有の空気感とが見事に調和した一冊だった。大きな事件や劇的な展開に依存せず、あくまで日常の延長線上にある物語として描かれている点が印象的である。体育祭をはじめとした身近な舞台設定は、読者にとっても手触りのある現実感を伴い、その中で交わされる何気ない会話や感情の揺らぎが、静かに胸に沁み込んでくる。
短編ならではの簡潔さは、本作において大きな魅力となっている。一つひとつの物語が過不足なくまとまり、読後には小さな余韻が確かに残る。その積み重ねが、結果として一冊全体に穏やかな満足感をもたらしている点は見事と言うほかない。長編のような重厚なドラマではなくとも、日常の断片を丁寧に掬い上げることで、ここまで豊かな読書体験が成立するのだと改めて感じさせられる。
また、日常寄りのエピソードであるがゆえに、登場人物たちの関係性や距離感がより自然に、そして繊細に描かれているのも印象深い。何気ないやり取りの中にこそ、彼らの歩んできた時間や積み重ねられた信頼が滲み出ており、それが物語に確かな厚みを与えている。派手さを抑えた構成だからこそ、キャラクターの魅力が一層際立っていると言えるだろう。
本作は、シリーズの新たな転機を示すものではない。しかしだからこそ、これまで築かれてきた世界を静かに味わい直すことができる。短編という形式と日常性の重なりが生み出す、穏やかで確かな充足感――それこそが、本書の持つ最大の魅力であると感じた。