あらすじ
「あなたが今思ったよりも、全然すごいよ」 円城 塔(作家)
新時代の才能、発掘! 円城塔賞受賞作「レモネードに彗星」を含む 少し不思議でハイパーポップな傑作短編集!
美しい叔母とは大きな窓ごしにしか対面できない。もう15年も。私が死んでからの15年。「レモネードに彗星」/世界への軽蔑を共有することで結ばれた二人の、数奇な運命。「純粋個性批判」/触れることのできない、破滅的に美しい彼女との予測不能な愛の物語。「新しい孤独の様式」など7篇収録
「安心して。私だって千年も生きるわけじゃない」
感情タグBEST3
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円城塔が帯を書いていたことから読んでみた。
これは好み!こういうなんか起こってるけどなんも起こってなさそうな?青春甘酸っぺえな?みたいなノリは好きかも!(ただし万人にはおすすめできない)
表題作が1番理解できなかった。誰かの解説読みます。
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文体が軽やかでシティポップを聴いているような感覚になる。けれど物語は純文学みもあって、SFなのに村上春樹を読んだような不思議な読後感。会話とか地の文に出てくる例えがめっちゃ面白い。
一番好きだったのは『純粋個性批判』。
主人公・私は高校時代を回想する。ひねくれていたせいで友達がいなかった。誰かの親友になりたいくせに、周囲の全ての人間を軽蔑していた。尊敬すべき人物はネットや芸能や文学やアートの世界にしか存在せず、皮肉と冷笑を繰り返しながら塞ぎ込んで過ごしていた。唯一の友達、ユカリと過ごす時間以外は。
ユカリとあらゆるものの悪口を言い合った。二人はありとあらゆる嫌いなものが似ていた。あれもクソ、これもクソ。
そんな二人が「純粋個性批判」という自分達の小説や評論を集めた同人誌を制作することになる。世界に2冊しかない同人誌。自分の中の殺傷能力をフルに高めた文章をお互い書き合った。
しかし私は自分の中にある批判の才能がないことに気が付く。ユカリの文章を読むのがだんだん怖くなっていく。
そして、気が合う二人の関係についにヒビがはいってしまう……。
同じ感性で殺傷能力の高い悪口を言い合える私とユカリの関係は格好良さがあるけれど……悪口を言い合うことをコネクションにした友人関係はの維持はむずいよね。いつ刃がこちらに向くかわからないし。同人誌『純粋個性批判』に出てくるペンネームめちゃくちゃ面白い。柄田サライ(ガラタサライ)は笑うわ。
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「序文、あるいは未来都市の火災」俺同じ夢を何回も見るとかないなあ
「かいぶつ が あらわれた」文体軽いな。これ筋の通ったストーリーからすげえ引き算したらできんのかな
「純粋個性批判」あ、面白い!俺も色々おもちゃにして批判していきたいものだ
「宇宙人がいる!」いいね!握手して思うことそれなんだ。謎に昔を思い出して答え合わせしたくなる気持ちはわかる
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軽くSF。ふわふわ浮揚していってり、1000万当たったり、スナイパーに狙撃されて死んだ人が生活していたりする短編集。
私は「新しい孤独の様式」が好き。自分の価値観をないものとして振る舞う相手と生活してると、傷ついちゃうよ?と言ってあげたい。切ない。
Posted by ブクログ
この本が好きだ。文章に惹かれてぐんぐん読んだ。
ライトでポップな(どこかのYoutuber のセリフかも)SF短編集だった。
「新しい孤独の様式」は寂しさがじわじわと伝わった。
「スカートの揺れ方」はとにかく楽しかった。
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めちゃくちゃよかった!
SFっていってもそんなに難しい感じでもなくスッと読めました
あと話の順番も良かった。読後感が爽やかだった
どの話も良さがあって素晴らしかった
読んでよかった!楽しかったです
Posted by ブクログ
分かり合えなさが愛おしいのはなんでなんだろう。と考える。理解しようともがくみじめさが、断絶に打ちひしがれる後ろ姿が美しいと感じるからだろうか。
どうだろう、もっと切実なものなんじゃないか。
私たちは互いを全て理解することは決してできない。だって自分自身の欲求すら理解できていないのに、相手に真に寄り添うことなんてどうしたら可能なんだろう。
だから、ひとりでぼんやりとしているよりも、誰かと一緒にいる時の方が寂しい気持ちになる。
それでも、あなたとこうして向き合っていたい。
そんな孤独を、あまりにも瑞々しい文章で、あらゆる角度で書き出しているのがこの短編集だ。
痛みも苦しさも後悔も、その鮮烈さを保ったままで洗われるような瑞々しさがある。つけられた傷すらたまらなく愛おしくなる。
かいぶつ が あらわれた
終末はゆるやかに、隣人のようにやってくる。きっといろんなことを忘れている私が、世界の終わりよりもずっと受け入れられない彼女とのさようならを再会という祈りに変換しているのが苦しい。きっと他の人から見たら怪物も彼女も同じような存在なのだ。
純粋個性批判
ああよかったな、と思った。手紙を破り捨てたこと。きっと今度は素敵な小説が書ける。他ならぬまりえちゃん自身にとって。
宇宙人がいる!
笹井のことを馬鹿がつくくらいの真面目人間のままだと思っていることと、なんで山田に振られたのか全然見当もつかないことはきっと同じことで、でもそれでいいんだよな、そういうもんだよなって思うことができる。人間は下等だから何にも分からないけど、別にわかんなくたっていいんだよな。
火星と飴玉
どうして失言って言った瞬間にそうだと気づくことができるのに、口から出ていくことを止められないんだろうな。っていう時の気持ちが生々しくてこわくなる。自分と全然違う、どうやって距離を縮めたらいいかなんて皆目見当もつかない相手との会話って、こんな感じだ。
ああこの人は自分とはどう頑張ったって人生が交わることはないんだって突きつけられる絶望と、それでもきっと大切な宝物になるだろう会話のかけらを抱きしめる。確かな幸せの輪郭がある。
新しい孤独の様式
これは愛だ、としか言いようがない。戸川ハルオはこれから先もずっと傷つき続ける。一瞬たりとも本当に望むものが手に入らないことに苦しみ続ける。だけど、それを全部ねじ曲げることができるかもしれない解決法を自分でぶち壊して壁のこちら側に止まることを選んだ。律動に従って生きることを望むような人間が!側にいることで鮮明に、深まっていく孤独を前にそれを呑む決意ができることが、愛じゃないわけがないんだよな。
レモネードに彗星
「後悔」の表現がすごい。後悔の感情、可視化された情景、それでも抑えることのできない衝動。早く全てを置き去りにしてしまいたいのに、それもできずに亡霊に囚われ続けている。のに、亡霊は、その全てを美しいと思う。甘さよりも苦味が主張する、炭酸入りのレモネード。自身を燃やしながら飛ぶ彗星を孕んだ液体は、それでも忘れたくない感情の塊なのかもしれないと思った。
スカートの揺れ方
たった一言だってそんなことは言っていないけれど、それでもわかる。これは恋ですね。600ユーロのスカートが青い炎とともに跡形もなく消えた後も続く関係。その距離感。煌めくようで、ほんのちょっぴり寂しくて。
恋の話だ、致命的なほどに。
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マジのガチで傑作。青春の煌めきと童貞と断絶とシスターフッドとSFと…。ちょっと凄すぎる。文体が良すぎる。
今すぐ読んで!!私は読めて良かった。
Posted by ブクログ
超超超良かった……。全部良かった。全部!!!「かいぶつ が あらわれた」「宇宙人がいる!」表題作の「レモネードに彗星」、いちばん長かった「新しい孤独の様式」も最高だった。ほんとに全部良かった……。知らない理論が当たり前みたいに日常で繋がるのもいい
会話の流れが軽くて読みやすいのもいいし、物語として特に好きなのは「新しい孤独の様式」、終わり方がとても好きなのは「かいぶつ が あらわれた」「レモネードに彗星」で、「火星と飴玉」はじれったさと名前の羅列がワクワクして良かった。このSFHPとかいうハイパーポップ、読めて良かったです。
Posted by ブクログ
かいぶつ が あらわれた
純粋個性批判
新しい孤独の様式
がかなり好きだった〜〜〜
どこか寂しさがあるけどなんかポップ!
新しい孤独の様式、触ってはいけない人の薬指に触れて指の正確な直径を体に刻み込もうとする描写が素敵だった。もう二度と触れることはできないから。
やましい気持ちを隠し通してそばにいることを選んだこと。相手が自分を選んでくれたことが優ったってことだ。
Posted by ブクログ
新しい孤独の様式がとても好きでした。現代的でそれでいて芸術的で、なのにするっと入ってくる文体で期待を軽く越える良さでした。好きな作家さんになりました。
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短編集7篇「新しい孤独の様式」はすこし長く中篇かな。
どんどん浮かび上がる紀世子、壊していくかいぶつ、何にでもなれる宇宙人を捕まえて好きだった人になってもらったり、触れられない結婚やバグで現れたAIやスカートと一体化した少女など異常さに溢れている。そしてその中に漂っている寂しさ、切なさがとても愛しい。
Posted by ブクログ
25/09/08どの短編も、文体と会話とキャラクターの造形が好き。発想力を楽しむ不思議な短編集。
イタイ学生時代を思わせる純粋個性批判、2人とも愛おしくなってしまった新しい孤独の様式が特に好きかな…宇宙人もおもしろかったなー。
Posted by ブクログ
せつない、ずっと夢を見てるみたい
「新しい孤独の様式」が好きでした
すごいいい話なんだけど、モヤモヤが残って悲しくなった笑
他の作品も読んでみたいな
Posted by ブクログ
ネットでみかけた
純粋個性批判が
めちゃくちゃ好みだったので
嬉しがって買った本
終わり2つの短編がなかったら
星は5つ
その2つが他の短編に比べると
フツーだったので
これが間にはさまってて
他のが終わりにきてたら
星は5つだった
それでもとにかく
純粋個性批判が
己のティーンだった頃を
鮮明に思い出させる傑作だった
宇宙人も飴玉も孤独の様式も
みんな好き
長編書いたらどんな感じなんだろう?
今後が気になる作家さんだ
星はギリギリ5つに届かない4つ
Posted by ブクログ
帯文の「あなたが今思ったよりも、全然すごいよ」という円城塔さんの言葉通りの作品。
少し不思議でハイパーポップな短編集とありますが、読み心地としては韓国SFに近いものを感じました。(なので私の好み)
どの作品も良かったですが、『純粋個性批判』と『新しい孤独の様式』が特に好き。
灰谷さんの言葉のチョイスと表現方法はやや独特なものがありますが、やり過ぎ感がなく、ストーリーにもマッチしているように感じました。
心に残るほどの重たさがないため(いい意味で)読み返したくなるような作品だと思います。
Posted by ブクログ
p119.占われた方へ自ら進んでしまう節が人間にある
p129.レバーと言うのに、レバニラ炒めという
p132.豆腐の角に頭をぶつけて死ね
p144.「アキネイターか」
p148,スミとチロル、過去のデータが参照されない、というところが似ている
p149. 金と引き換えの行為では本質的な空洞を埋めることができない=風俗などに行かない理由
p168.律動
p177.劣情=卑しい感情、また性的な欲望や好奇心をいやしむこと
p209.新しい孤独の様式、とてもよかった。現代でのSNSだけでのつながりを表現している?(会わなくてもカップル。性的な関係を持たない夫婦)
Posted by ブクログ
ジャケット綺麗で良いですよね(笑)。ジャンルは何になるのでしょうか。超常現象や宇宙人、バーチャルAI、夢の中の世界などの非現実と現実世界をかきまぜたような、とこかつかみどころのない話。上手く咀嚼ができないけれど、表現や描写、テンポは心地よく、読んでいて面白かったです。
Posted by ブクログ
面白いので一気に読んじゃいました。おそらく読者によって極端に好みが分かれる感じがします。ラノベ的な言葉遣いと古い文体がミックスされた絶妙なバランス感覚。
作品によっては詩に近い感じもするほど言葉の並べ方がユニークです。
書き下ろしの『新しい孤独の様式』が心に残りました。
Posted by ブクログ
内容といい、表現といい、新感覚の短編集。
殆ど全編に寂しさが漂うインキャが登場する。理解しずらい話もあったけれど、「新しい孤独の様式」はキャラ設定もストーリーも秀逸。どんどんその世界に引き込ませてくれる。
Posted by ブクログ
カクヨム発の短編集。最新のポップカルチャーみたいな話が7作納められている。短編の長さはまちまちで、10Pくらいしかないほんとに短いのもあれば、中編小説くらいのもある。
印象に残ったのは「宇宙人がいる!」と「新しい孤独の様式」
「宇宙人がいる!」は主人公の男性がまさに同世代だったので、気持ちがわかるところが多くて感情移入することができた。儚くノスタルジックな話。
「新しい孤独の様式」はちょっと村田沙耶香っぽい世界観を感じる話。男女の関係性の描かれ方の最前線みたいな印象。若い世代には、ハルオとスミのような関係を望む人が多いのかもなぁ。
Posted by ブクログ
SF要素はライトでそれよりマイノリティやモラトリアムを扱っていて、とはいえ語り口が深刻すぎないので気軽に読めた。
新しい孤独の様式、宇宙人がいる!、純粋個性批判は若い頃に読んだらもんどり打っていたと思う。