あらすじ
大学卒業と同時にNPOに就職しウガンダに駐在した筆者は、深刻な飢えに苦しむ住民たちの命の危機に直面。絶望的な状況を前に、住民たちがこの荒野で農業を営めば、胃袋を満たすことができるのではないかと思い立つ。天候とのたたかいや政治家たちの妨害など、さまざまな困難に直面した筆者が、当時の手記を元に援助屋のリアルを綴った奮闘記。「不可能なんて言わせない」、飢餓援助の渦に飛び込んだ23歳が信じた道とは? 2024年第22回開高健ノンフィクション賞最終候補作!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者の田畑勇樹さん、お若いのに本当に尊敬!
政府の役人や軍から目をつけられるのはもちろん、そもそも強烈な村社会、属社会のアフリカという土地で新しいことをするだけでも危険を伴うのに、コレほどのプロジェクトをやり続ける根性と勇気と知性に心底痺れます。
根底には田畑さんの底知れぬ優しさが、罪のない人々が搾取され苦しんでいく姿を見過ごすことができないんだろうけど。それにしたって、普通はできることではない。そしてその想いに応えたカラモジャの人々のパワーと心意気。生きる力とは何か。環境や生まれによって、プラス後天的な理由も含めて、人は変化するものだけれども、自分は何をしたいのか、自分の為になすべき事は?
読んでいるわたしがもう一度考えなければと思わされた。
何度も読みながら泣きました。
Posted by ブクログ
支援を受け続けると支援依存になる、これは衝撃だった。支援してもらって当たり前、か、、、と。
自らを支援屋と言う作者の奮闘ぶり、綺麗事だけではない世界で、1年でここまでたどり着いたその成果にただただ拍手。
ぜひ子どもに読ませたいと思った1冊です。
Posted by ブクログ
遠い世界のリアルな絶望を教えてくれる。
「あなたがもう少し早く来てくれたら、どれだけの人が死なずに済んだだろうか」
貧しい国で困っている人を助ける。何度も逃げ出したくなる。胸糞わるい狡猾な役人達。我慢を重ねて花咲く瞬間までを描くノンフィクション。
無駄かもしれないに立ち向かう勇気、奮闘。
Posted by ブクログ
学生の頃から社会起業家やNPO/NGOスタッフの本はたくさん読んできたけど、ひさしぶりにあつい感覚を思い出す初期衝動に溢れた本だった。アフリカの開発支援のNGOに新卒就職した若者が、現地で農業指導のプロジェクトを立ち上げる一年の奮闘記。SNSやネットニュースのコメントなど、NGOや寄付に対しては酷い不信感と蔑みの論調も目立つ。その手のコメントをする人本人に読んでもらうのはなかなか難しいにしても、そういうコメントを読んでNGOや寄付に疑問や不安を感じて迷ってしまう人にはぜひ手に取って、読んで、考えてみてほしい。現場の複雑さや不条理と向き合いながらそれでも人や地域のために仕事をするとはどういうことなのか。簡単できれいな答えがあるわけではなく、もがきあがきながら進んでいく若者の姿に励まされました。それにしてもなかなか読ませる文章だ。開高健ノンフィクション賞最終候補も頷ける。
Posted by ブクログ
アフリカだけでなく、自分たちの近くにもある光景。自分達が自分達だけで考えて行動する事の大事さが伝わってくる。
作者は、「銃を握って戦場に出るよりも鍬を握って畑を耕すことが報われる社会になってほしい。」と述べている。私は、「金を動かすだけで富を得ている人よりも、自分でモノを産みだす事ができる人が尊敬される世の中になって欲しいと思う。」
Posted by ブクログ
学生時代にアフリカを旅し、大学の友人たちが安定した職を得ていく中、卒業と同時にNPOに就職してウガンダへ。飢餓の大地で、要支援者を巻き込んで、貯水池を掘り、荒地を開墾し、大量の果実を得るまでたったの1年間の話。
汚職や利権に塗れた国際援助の実態を目の当たりにした著者たちはそれらを批判しながら、理想を追う。国際援助によって自立することを奪われていた要支援者たちが、著者らと共に自立していく様は感動的。
国際援助による、援助される側の政治家、役人、事業者の腐敗の実態を明かし、それらの支配者と対峙しながら進めていくのだけど・・・・その困難は筆舌に尽くし難いものだったろうと想像する。本書にはわりとサラッと書かれているけど。
こんな青年がいる! 飢餓の大地に奇跡が起きた! その奇跡を詳らかにする感動の記録。