【感想・ネタバレ】ラブカは静かに弓を持つのレビュー

あらすじ

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘樹は、ある日、勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り・・・・・・。第6回未来屋小説大賞、第25回大藪春彦賞受賞、第20回本屋大賞第2位。大反響を巻き起こした、心に響く“スパイ×音楽”長編。文庫版特典スピンオフ短編も収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著作権管理団体で働く青年が、チェロ教室に潜入調査に入る。人との繋がりを持たない孤独な青年が潜入先で出会う人との絆、葛藤の物語。
瑞々しく張り詰めた空気感と透明感、人との絆の暖かさを描いた作品、とても面白かったです…!
浅葉先生が人間味がありとても魅力的。展開の緊張感と最終的に主人公が選んだ結末、全て含めて読ませる展開でした。

学校、習い事含めて恩師という存在は自分にはいないですが、こんな人脈があったらな、と思わせるような活き活きとした人物像でした。
面白かった!
スパイがバレた後の、言い訳を挟まない関係再構築の展開が良い。彼が奏でる音楽同様、それは純粋なものだったのだろう。
出てくる人物、全て魅力的でした。

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2026年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シンプルにとても面白かった。そして久しぶりに気持ちよく泣けた。

私は楽器を何もやったことがない。文字通り音楽とは無縁の世界で生きてきたのだが、最近何かひとつくらい楽器を習ってみたいと思っていた矢先にこの本に出会った。結果としては、良いタイミングだった思う。

本著では演奏シーンも勿論だが、常に嘘を付き続けている自分と、純粋に音楽を、チェロを楽しむ自分との狭間で揺れ動く主人公の心理描写も見事である。

また、第一楽章があまりにハッピーな終わり方だったため、あと半分も残っているのにこんなに大団円な展開なのは胸騒ぎがする…と思いつつ、第二楽章に進んだところ、上記の板挟み状態がすごいスピードで加速したので、こちらの情緒もジェットコースターのようになった。

そのほか、この作家さんの本は今回初めて読んだのだが、比喩表現や言い回しが個人的にはすごく好みだったので、他の本も読んでみたいと思った。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2023年本屋大賞第2位。スパイ×音楽という異色の組み合わせの小説。
全日本音楽著作権連盟に勤める橘は、音楽教室の著作権法違反の証拠を掴むために潜入調査することを命じられる。
まず、斬新ながら有り得そうな設定に興味をそそられる。橘とチェロの関係についても不穏な雰囲気が漂うなか、スパイ業務が始まっていく。相手や自分の一挙手一投足が気になるスパイのドキドキハラハラを感じつつ、大きな起伏を感じさせない文体で物語は進んでいく。過去のトラウマにより橘は不眠症を患っていて、常時服薬していたり、食生活も良くなさそうな描写もあったが、そこに関してはあまり深く描かれていなかった。だからこそスパイのドキドキ感と音楽に集中できて読みやすい。落ち着いた文体ながらもスパイの葛藤や苦悩には心動かされた。
チェロは人の声の音域に近い楽器らしい。なぜこの物語の楽器がチェロなのか、このことがすごい意味を持っている気がする。小野瀬のコンサートに行って音楽を聴くことでなにかが変わるのかと思ったけど、そうではなく、そこでかすみと出会うことで物語が動いていく。音楽小説というと、音楽の力を感じさせるような展開になるような気がするけど、この小説で橘を救ってくれたのは音楽より人の言葉や思いだった。チェロを再開してチェロの音色に包まれることで、人の声が届きやすくなっていったんじゃないかなあと思う。

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2026年09月03日

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