【感想・ネタバレ】ラブカは静かに弓を持つのレビュー

あらすじ

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘樹は、ある日、勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り・・・・・・。第6回未来屋小説大賞、第25回大藪春彦賞受賞、第20回本屋大賞第2位。大反響を巻き起こした、心に響く“スパイ×音楽”長編。文庫版特典スピンオフ短編も収録!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最初はスパイというあらすじの言葉だけをみて、もっとミステリーっぽいお話なのかな?と思っていた(腹の探り合いとか、バレかけて一悶着…とか)。

実際はそんなことは一切なく、おだやかに、熱心にチェロの練習に励む主人公と先生とその仲間たちがいて。だからこそ主人公はスパイとして嘘をつき続けなくてはいけない罪悪感と、いつか終わるという恐怖に悩んで、でもチェロと向き合う日々や仲間たちとの逢瀬も楽しくて…

橘くんが思いがけず見つけた居場所、どうか少しでも少ないダメージでふんわり落ち着いて欲しい…と思っていて、そのときがくるのがこわかった。
結果、最悪な形でばれてしまうし、先生の気持ちも分かるけど…!!橘くん目線なだけに、橘くんの気持ちを考えると居た堪れなかった。

でもお話としてやっぱりこの嘘の清算は必要だったと思うから、一度だめになってしまったけど、またみんなの物語が続いていくんだろうな、と思えるラストで本当によかった。

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかった!
この本を読み始めてから、毎日チェロを聴いてます。
主人公がずっと触れずに生きてきた自分の外の世界。
自分の中の深く何も見えないくらい暗いところ(深海)に閉じこもっていた主人公が、徐々に外の世界の光に触れ、光を求めてもがきながら浮上し、やがて外の世界を知る。
うまく言葉にできないけれど、やっと空気をすえるようになった。生きてていいんだ、そう思えるようになった。そんなイメージを感じました。
最後、嫌な終わり方じゃなくてよかった。

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2026年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著作権侵害の証拠を集めるためのスパイに任命されて音楽教室に生徒として潜入する、著作権管理団体に所属する主人公の葛藤など。著作権云々というより、身分を騙り、人を騙すことへの苦悩が主なテーマか。過去の出来事や周辺の人間関係を巧みに混ぜてくることで主人公の心理に寄り添わざるを得なくなる。テーマ的に正体も後で絶対バレるんだろうなと思い、読む手が止まらなくなった。締め方も良く、読んでよかったと思える小説だった。(最初の方はクソつまんねえなって思っちゃったけど)

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2026年04月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★4.5です。おまけで★5
最初は「弓を持つ」なんていうタイトルから戦争もの?部族?なんて弓矢の方を思い浮かべてなかなか触手が伸びなかったのですが、読んで正解でした。
ラブカって誰?外国人?っていう想像も大外れ。
タイトルにかなり踊らされて随分めぐり逢いが遅れました。
新ジャンルのスパイ小説。
人も死なないし、拳銃も出てこないけど、いつバレるか分からない日常のドキドキが含まれていた小説。
そして、たまたまかもしれないですが、「ナイトフラワー」という映画をちょうど見てて、少女が引くバイオリンの凄さに感動し、この小説を見えていたので、音楽っていいな、クラシックっていいなという思いで読みました。
また、浅葉先生のセリフがいちいち響く。一般的な音楽家や価値観を否定してくれることの爽快さが非常に良かったです。
派手さ、大どんでん返し、驚きと納得などはちょっと弱めだったため★4.5です。
是非読んでみて下さい。

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2026年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『正しいことが正しいとは言えない』
正にこれだよね。
世の中って結構こういうことで溢れていると思う。
どっちも悪いことしてないのにね。
そりゃやりたい音楽、馴染みのあるものを教えようとするだろうし、習いたいし、見たいし聞きたいし。なんであかんねん。
でも『ルール』って言われたらねえ。
「私は悪いことをした?」
三船さんのこの言葉がこの不条理をよく表していると思う。
『正しい』ことのために心を許した人たちを騙して、傷つけて…。
誰が『何が』救われたんだろう?
この場合は著作権を持つ人たちのわけだけど。
その著作権を持つ人達は、登場人物、主人公達の『守りたい人』『大切な人』なんだろうか?
他者に対して心を固く閉ざしていた橘。
再びチェロと向き合い浅葉達と関わり心がほぐれ始めていく様子に、しかしその内には彼らを騙しているという罪悪感を抱きながら関わっていく姿に、読んでいるこちらも胸が痛かった。
カミングアウトして決別して。それでも橘を迎えてくれた仲間達。
そして再びチェロを手にして、浅葉に正面から対峙した橘。
この勇気と覚悟に、橘がこの仲間達からどれだけのものが与えられていたかが窺える。
嘘→裏切り→信頼の再構築。
乗り越えた先に、橘と浅葉二人には友人よりも家族よりも強い師弟の絆が築かれているだろうことを期待したい。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"スパイ×音楽"という新鮮な題材。深海に囚われるトラウマを抱えた主人公の救済と解放の物語。

さすが本屋大賞。
澄んだ筆致で描写される情景と音楽の透明感に心洗われる。スパイだとバレるシーンはどちらの立場の気持ちもよく理解できて胸が潰れそうだった。
ただその辛さがあったこそ、その先にある主人公の姿がより眩しく感じられる。
序盤から涙腺ゆるゆるになりながら読んでいた…

ぜひとも実写化してほしい。というか既に進んでそう…
上手く映像化してくれたら絶対号泣する自信あり。蜜蜂と遠雷みたいな綺麗な映像でやってほしいな〜

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2026年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スパイと音楽という異質な組み合わせ、主人公である橘の成長が最高に心に来る。楽器をやっている、音楽が好きな人は読む手が止まらないと思う。

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2026年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

静謐な水底に身を沈めるような読書体験だった。ラブカは静かに弓を持つは、「スパイ」と「音楽」という一見相容れない要素を交差させながら、人が他者と関わることの痛みと救いを、これ以上ないほど繊細に描き出している。

物語の核にあるのは、任務として人を欺くことを強いられる主人公の葛藤だ。信頼を得るほどに、その信頼を裏切る行為の重さが増していく。この構造は非常にシンプルでありながら、読み進めるほどに逃れがたい圧力として胸に積もっていく。派手な展開や劇的な事件に頼ることなく、内面の揺らぎだけでここまでの緊張感を持続させる筆致は見事というほかない。

特筆すべきは音楽描写の豊かさだ。チェロの音色は単なる情景の一部ではなく、登場人物たちの感情そのものとして鳴り響く。言葉にならない思いが弦を通じて伝わる瞬間、読者は“読む”という行為を超えて、確かに“聴いている”。この感覚こそが本作の最大の魅力であり、物語全体に深い奥行きを与えている。

また、本作が優れているのは、単なる裏切りの物語に終わらない点だ。人と関わることは時に傷を伴うが、それでもなお他者と繋がろうとする意志が、静かに、しかし確かな強度をもって描かれる。音楽という媒介を通じて、主人公がわずかに掬い上げる「救い」は決して大仰ではない。それゆえに現実的であり、読後に長く尾を引く余韻となる。

激しさではなく静けさで心を締め付ける稀有な作品だ。深海のような孤独と圧力の中で、それでもなお微かに差し込む光を見出そうとするその姿は、読む者の内側に静かな震えを残す。読み終えた後もなお、胸の奥でチェロの低音が鳴り続けるような、重く、美しい一冊である。

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2026年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結果としては仕方がないことなのに後悔が残るって悔しいよな、と最近の自分の近しい経験と重なる部分があって強く思った。

「戦慄きのラブカ」が実在しない曲であることが残念でならない。



☆3.9

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2026年05月04日

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