【感想・ネタバレ】ラブカは静かに弓を持つのレビュー

あらすじ

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘樹は、ある日、勤務先の全日本音楽著作権連盟の上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉桜太郎のもとに通い始める。師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り・・・・・・。第6回未来屋小説大賞、第25回大藪春彦賞受賞、第20回本屋大賞第2位。大反響を巻き起こした、心に響く“スパイ×音楽”長編。文庫版特典スピンオフ短編も収録!

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Posted by ブクログ

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読み終わっちゃうのが寂しかった。
チェロを習いたくなる。ミカサ音楽教室の人たちがいい人達でスパイ行為辞めたくなっていくのが読んでて苦しかった。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とてもおもしろかった。美しい物語だった。ぜひとも映像化してほしい!!!観たい!!!

この物語を色で表すと真っ暗闇の漆黒ではなく、深海のような黒に近が深い群青色をベースにしたイメージがあった。 
主人公の橘樹は一言では表すのが難しい。会社とミカサ音楽教室、過去と現在を揺蕩っているような輪郭のない、触れそうで触れられない人間という印象。
しかし、物語後半の橘は自分のために自分の意思で会社に立ち向かう。ここで初めて橘という人間の輪郭が見えた。
私は深海で必死に静かにもがきながら、光に向かって手を伸ばす橘樹という主人公が好きだ。
浅葉先生やヴィヴァーチェの仲間たち、音楽を奏でる瞬間は深海に差す一筋の光のよう。
雨の演出や深海と塔、遠くの小さな小窓など。読者に想像力を掻き起こさせる仕掛けが散りばめられており、おもしろかった。

私の印象に残ったシーンは、普段自分の話をしない橘が今も続く子どもの頃のトラウマを話した場面だ。
それは深海からの決死の救難信号。
その話に対して講師の浅葉の言葉が印象に残った。
「橘くんは、もう大人だ。(略)自分のチェロを背負っても、ちゃんと家に帰れるよ」
橘にとって必要なもの。それは安心できる自分の居場所ではないかと思った。
浅葉は大丈夫だよとは言わないが、今の君はあの頃の小さかった頃の君じゃない。″自分のチェロを背負っても、ちゃんと家に帰れるよ″と優しく語りかけた。
とても優しい言葉で私は好きだ。

ーどうか消えてしまわないで。
ーどうか壊れてしまわないで。
私はそう願いながらページを捲り続けた。
今日も橘が自分のチェロを背負っても、家に帰れますように。

エピローグ、文庫版スペシャルストーリー「音色と素性」もとても面白かった。
斉藤壮馬さんの解説は、私が思っていた物語の印象や物語を通して感じたものが似ていてなんだか嬉しかった。
次はAudible版で斉藤壮馬さんと伊東健人さんの声で物語を聴こうと思う。

何度も読み返したい本に出会えた。
本と著者にありがとうを伝えたい。
そして私もチェロをしてみたいと思った。
ちなみにチェロを聴きながらこの本を読むと物語を2倍楽しめます!
この読み方はオススメです!

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2025年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とてもいい作品だった!チェロの曲ってあんまり聴いたことなかったけど聴いてみたくなった。「戦慄きのラブカ」架空の曲なのか…残念…

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

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《心に灯ったことば》
210ページ
その代わり、あの日から俺を貫いているのは、この世はまったく信用ならない場所なんだってことなんですよ。ちょっとでも気を抜いたら、暗いところに引摺り込まれる。
307ページ
「たとえ、経歴とかが嘘だったとしても」
人の本質ってもんは繕えないもんだろう、と囁かれて、橘は身を竦ませた。
318ページ
人の心を無条件に振るわせる力が、音楽にはある。


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《My book log》
♦天気で例えると?
嵐→時々、雨だったり曇りだったりする静かな時間もあるが、内側で繰り広げられる葛藤が嵐のように感じた。



人生で嘘をつく瞬間、嘘をつかれる瞬間ってどのくらいあるだろう。
その嘘も大きいものから小さいものまであるし、相手を騙すものや相手を守りたい気持ちから出たものなどがあるだろう。

嘘をついた時はジワジワと自分が蝕まれた感じがし、嘘をつかれた時は信頼が崩れた気がしてどん底の気分になる。

どちらも暗闇に飲み込まれる感覚だ。

嘘をつかなくて、嘘をつかれない人生なんて存在しないと思う。

だからこそ、自分を救ってくれるものが必要なんだろうな。
無理に元気に明るく、嘘なんて忘れろというわけじゃない。

暗闇に飲まれないための対応策。

私の場合は、読書だと思う。
小説に慰められたり元気付けられたり、寄り添ってもらったり。

読書ができなくなった時は、どうなるかと思ってけど、今読書ができるようになって改めてありがたみがわかった。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

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美しい...とにかく美しい。

橘の中に眠る深海というイメージを一貫させて、シックな雰囲気を崩さずに終わらせやがった!

展開もベタじゃない。大団円で終わらせずに1つ2つねじれを作って、複雑なドラマを構築させている。

キャラクターに対する造形も並大抵じゃない、最後に浅葉の焦点で終わる時にガラッと雰囲気が変わるあたり、相当登場人物に対して情報を加えて整理したんじゃないかな。

ひとつ違和感があったとしたら、全著連が必要であるという橘の考え方はどのぐらい強くて、どのようにして身についたかが分からない。
じゃないと浅葉に対して講釈を垂れる意味が分からない。

それでもこの小説は面白かったとしか言いようがないな。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

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スパイ×音楽の小説という前提知識のもと読んだが、007のような雰囲気では無く、ゆったりとまるで深海を泳ぐ魚ような雰囲気で物語が進んでいく。タイトルのラブカとは深海を泳ぐサメであるが、そのサメが人間の音域に最も近いチェロを弾くというのが面白いなと思った。ラブカはサメであり、獲物を狙うために虎視眈々と暗い海の底を泳ぐが、他のサメとは違いゆったりと泳ぐものである。その様が主人公の橘と重なった。そんな橘がチェロという楽器を通してより人間的なものを取り戻していくのがとても情緒的だった。もしかしたらラブカというのは講師の浅葉の方かも知れない。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もし映像化するならば橘くんを作間龍斗くんにするな!と思いながら読み進めていました。
今までチェロにも、クラシックにも興味は無く自ら調べて聴くことをしなかったけれどこの本に出てくる曲名を調べて聴きながら本を読み進めていました。
仕事の任務としてスパイする事になって、嘘を重ねて2年間過ごした橘くん。でも全部が嘘だった訳じゃなくて、チェロが好きという気持ちとかみんなで過ごす時間が宝物だったのは本当であって。彼の葛藤がすごく伝わった。私も同じように葛藤したと思う。私だったら、チェロから離れるためにコンサートにも行かないしアンサンブルにも行かなかっただろうなー。怖いから。橘くんは怖いと思いながらもアンサンブルに行ってさ、そんな選択をとれる彼が羨ましいなって思ったの。1度めちゃめちゃに信頼関係が崩れてさ、そしたら私は修復するの諦めちゃうもん、会社の犬になって他のところにも割り切って潜入調査しちゃいそうだもん。浅葉先生がちゃんと向き合ってれたりだとか他の登場人物が橘くんのことを思ってくれたりだとか、そういうのが橘くんをアンサンブルに引き寄せたんだろうなあって思った。いいなあそんな仲間とすごく羨ましい。

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2025年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

チェロの深い音色を思い浮かべながら読んだ。
スパイと言っても大袈裟なことはないなと思いつつ読んでたら、マジで007もどきの場面も出てきて(ちょっと大袈裟?)、ドキドキした。
人間関係がうまく築けない、壁を作ってしまうし不器用な主人公だけど、真面目なんだなとわかるし、チェロへの愛は本当に深い。
先生との関係や、チェロ仲間との関係など、一緒になって緊張したし楽しかったりいろいろあったり、距離を詰めていく様子も良かった。
チェロのアンサンブル、聴きたいなぁ…

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2025年10月11日

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