あらすじ
自ら命を絶った青年が残したという1冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は、かつての教え子から依頼を受け、俳句の解釈を進める。沖縄の情景を描いた句を読み解いていくうち、恐るべき秘密が浮かび上がってくる(「皐月闇」)。遊廓で蝶のような花魁たちと遊ぶ夢を見る男の末路、広い庭を埋め尽くす色とりどりのキノコがもたらす幻覚。静かに忍び寄る恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する3編を収録。著者真骨頂のホラーミステリ。
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Posted by ブクログ
おもしろかったーー!!
どの話も本当に面白かった。
ホラーミステリーとして最高の体験。
俳句の話は、真相が気になりすぎて遅読な私も物凄いスピードで読みました。
ミステリー感強めだけど、やっぱりそこは貴志先生。
最終的に怖っ!となれるところが痺れます。
黒い蝶の話もなんだなんだと読み進めて、えっ!?ああそういうこと!と
なんとなく想像できていた部分についても
文字で見るとやっぱり怖くて気持ち悪くて、すこし「天使の囀り」を思い出しました。
キノコの話は、びっくり。
まさか、貴志先生のホラーミステリーで泣きそうになるとは。
これも先が気になりすぎて、超スピードで読みました。
全然違うけど、アガサ・クリスティのアクロイド殺しが脳裏に浮かんだ。
この話、ドラマ化しても面白そうー!
とにかくホラーミステリー好きとして最高でした。
長編も良いけど、短編もこんなに面白いなんて、、、と。
貴志先生の未読本はまだたくさんあるので
ワクワクが止まりません!
年始から良い思いできたー(≧∇≦)
Posted by ブクログ
恐怖と謎解きを堪能できる3遍。
「皐月闇」
元教師で俳人である作田慮男の元に、かつての教え子である菜央が訪ねて来る。自死した兄が残した句集を読み解き、兄がなぜ死を選んだのか明らかにして欲しいと言う。作田は認知症なのを自覚しているが依頼を受け、俳句の解釈を進めながら、兄の心情、行動を探っていく。しかし明らかになったのは、驚くべき真実で‥。
一見、優秀な俳人で元教師でもある作田が、実は‥というのがまず驚きで、俳句を通して暴露される過程が面白い。でも俳句の解釈って、難しい!そして、非常に根気のいる方法で復讐しようとしている菜央。強い女性だけど、可哀想でもある。
「ぼくとう奇譚」
昭和初期の銀座。木下美武という男が、毎晩黒い蝶が出てくる夢を見る。賀茂日斎という行者に、このままでは死ぬと言われて対策するものの、日斎が不在の間に日晨と名乗る坊主が現れ、日斎の対策を否定して新たな策を弄する。しかし、それは罠だった。夢の中の楼閣で蝶の化身の花魁たちとまさに夢のようなひと時を過ごした後、魂を喰われて廃人となってしまう。木下は過去に少女を死なせたことがあり、少女の伯母が復讐のために日晨に呪いを依頼したのだ。
この話、花魁たちや様々な蝶が出てきて一見華やか。でも結末はなかなかエグい。木下は、まあ自業自得。でも、夢の中でのある判断によっては助かる道もあった。残念!
それはそうと、賀茂と日晨は、「さかさ星」で見た名前だ。賀茂禮子は日斎の子孫?
「くさびら」
工業デザイナーの杉平進也は、軽井沢に移住してリモートワークをしている。夫婦喧嘩の後に家出してしまった妻の寛子と息子の理久を、1人寂しく待っているところだ。ある日、庭にキノコの幻覚を見る。寛子はキノコが好きだった。寛子たちが戻らない中、幻覚のキノコは日に日に増えていく。これ、妻と娘はもう殺されていて、犯人はダンナの進也ではないか?という疑惑を誘いつつ、終盤で意外な事実が明らかになる。進也の従兄弟である鶴田が、寛子に会いに行って話を聞いてきたと進也を安心させるのだが、実は鶴田が、進也が留守の間に寛子と娘を殺害して、庭に埋めたのだった。遺産狙いの卑劣な犯行。
寛子の母親が雇った探偵末広、大学で知り合ったオカルト好きの、現在は山伏(!)の猪口花、そして!賀茂禮子登場!!それぞれの活躍で、鶴田の犯行は立証された。
キノコは、進也を守るための寛子からのメッセージだったのだ。進也が犯人じゃなくて良かったけど‥泣ける‥。死者のメッセージが何故わかりにくいのか、賀茂禮子の説明が腑に落ちた。
ラストシーン、寛子と理久は、親子キノコとなって進也に別れを告げる。前の2話と違って、泣かせにくるじゃん!油断した‥。
悪人が報いを受ける2話と、死者と遺された者の絆を描いた1話。どれも秀逸。面白かった。
Posted by ブクログ
後味の悪い話がほとんどであまり気分が良いわけではないにも関わらず、どの作品も強い印象を残す不思議な読後感です。昔話の教訓にも似たような部分があるからか、懐かしい感じもしました。
・皐月闇
中盤からの種明かしに、やはりという気持ちと哀しみが生まれました。人の執念は時として恐ろしいくらいの粘り強さをみせるものだということを体感する作品でした。
・ぼくとう奇譚
個人的に3作品の中で一番面白く感じました。人間の気持ち悪さと欲望を生々しく描かれていると思います。虫と照らし合わせたオチ含め、最後までどきどきしながら読み切りました。
・くさびら
最後にのせられたこともあり、3作品の中では比較的救いのある終わりのように思います。中盤でなんとなく展開に予想はつきましたが、丁寧に書かれていて引き込まれました。
Posted by ブクログ
三編それぞれ時代も扱う専門的な話も違って興味深かった。
俳句の話で詳しい解説が入ったなと思っていたら、次の話では(オチに関わるので詳しくは言えないけれど)どちらかというと理系の分野の話だし、最後の話に至ってはキノコのオンパレードに狂言も絡むという。
様々なジャンルに詳しくないと書けない話だなとしみじみ思った。
話も最初の二つは主役が自業自得でオチに至るホラー話だが、キノコだらけの話はミステリ色が強く、また最終的には泣ける話という異色話。
ホラー系と見せかけてのこの話、個人的にはすごく好みだった。
キノコを使って懸命に伝えてくれていたのかと思うと……真相はしんどいが、感動的だった。
Posted by ブクログ
俳句から昆虫やキノコの生態まで、三編とも貴志さんの博学な知識がホラーとがっちり絡んで怖さを盛り立てる。
俳句の読み解きから犯罪が明らかになる「皐月闇」はその手法と個室の二人だけの心理戦が独特の緊張感を持ってスリリング。
庭を埋め尽くすキノコの幻覚に怯える「くさびら」のラストのせつなさはたまらなかったな。
お気に入りホラーは「ぼくとう奇譚」。昭和初期のノスタルジーと異界の遊郭という夢幻と周到な呪いが蕩け合って口を開けたエグい末路が忘れられない。
巧みな伏線回収は各話絶品、溜飲下がる因果応報ホラーだった。
Posted by ブクログ
3つの作品が収録され、いずれもホラー小説である。最初と最後のものは、冒頭に謎が提示されて、話が進みにつれて、その謎が明かされるという構成となっているが、それと同時に、実は恐ろしいことが潜んでいたことが判明していく。ホラーに加えてミステリー要素も含まれている。2つ目の話は、著者の過去作『クリムゾンの迷宮』、『ダークゾーン』を彷彿させる内容であった。
Posted by ブクログ
皐月闇
俳句は基本的によくわからないけど、解説というか作田の話を聞きながらへぇそうなんだー
とか思ってた。(某TV番組の解説の女性の先生がふんわり浮かんでいた)
と、言うか認知症の作田の所に訪れた元教え子の菜央さん
お兄さんの真相を知りたいのかと思ってたら、とんだ胸糞案件だった訳で
なんだろうなぁ…何十回繰り返してもその時は作田は思い出して苦悩するけど、結局忘れてしまう
なんで浜辺で会おうとしたかで、別に友達と抜け出したかったからじゃ駄目だったかな…駄目か
なんかなぁ…という気持ちになった
ぼくとう奇譚
よく木の樹液に集まる虫達でここまで想像で来たなぁと、作家さん達はやっぱり凄いなと思った
なんとなく美武がなんか悪い事やったなぁとは思ったので、一体どういう酷い目に合うんだろう?みたいな気持ちで読んでました
日晨がまさかの悪い方だとは思いませんでしたが、わざと行っちゃ駄目だとか、そう言って逆に近づかせるようにしてたのか、もしや日斎の憑き物も日晨がわざと憑かせてそちらに向かわせたのか?とか
にしても妖は基本眉目秀麗で、騙されやすいものなのかな
くさびら
短編2本が本人が悪い事してた、みたいな話だったから、3本目もそうかと先入観で読んでしまった
駄目ですね、全然ほんとそういう読み方良くないと反省
杉平さん記憶ないとか言うから
にしても、結果凄く哀しいお話でした…
一生懸命奥さんと息子さんがメッセージを伝えてて、愛に溢れていた
だから義母の道子さんにもキノコが見えていた、娘だからかな
最後のメッセージも切ない
そうか、忘れてしまうのは死者の方なのか…