あらすじ
夏日が通う大学で教授が突如失踪し、「事情を探る」と言う同級生も大学に来なくなった。部屋を訪ねると本が山積みになっており、「あさとほ」という無名の古典を執拗に調べていたらしい。そして風呂場には彼女の遺体が……。同じように失踪した人が他にもいると知った夏日は、幼いころ双子の妹が失踪した日の思い出を重ねてしまい、恐る恐る調査に乗り出す。はたして単なる”お話”に、生き死にを左右する力があるだろうか? 人間と物語の本質に迫る、精緻を極めたホラーミステリ。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あさとほ
「ア・サ・ト・ホ」
「ア・サ・ト・ー」
どう発音するか。
分岐。
人生は物語。
物語は嘘。
人生は嘘?
分岐。
個人的に
朝井リョウ著:何者
の読み味はホラーなんだけれど、
それと同じような体験ができた作品。
指針、よすがが消えてなくなるような。
立っている地平が偽物だったような。
Posted by ブクログ
メタミステリー系の上位レトリックが含まれます。
そのため、「なんかパンチがない」と物語を読んでいると思うのですが、途中まで読んで気付くことが出てくるでしょう。
まったく、先が読めん。
それもそのはず。この作品は、地味にずらしが連続する上に、節と節の間にトリックの開示が差し込まれるため、先入観が生まれます。そして、この先入観を生かさないずらしが効くことで、先が読めなくなるのです。
ですが、冷静になってください。読者の方たちは、作品の主人公やヴィランの思考や結末が読めて当たり前ですが、読者同士、つまり、生身の人間の思考や顛末なんて、読めませんよね。行動の前後があったとしても、結果論から繋いで、無理に連続した話にしがちですけれど、経緯まで自分で宣言して、人の人生のオチを付けることができますか?
「あさとほ」は、そういうメタ認知に介入してくる恐ろしい作品でした。あなたが、あなた自身の結末を締めくくるとき、望み通りの結末になる前に、望み通りの幸せがそもそも得られないなら、どれほど救いようのない物語だったのかってことになるわけで。
これほどまでに、読後が辛くなる本は中々ありません。お腹いっぱいに炭酸を飲んだ気分。ものは詰まってないのに、お腹パンパンです。
Posted by ブクログ
あ、よかったかも
また主人公が謎にモテてるのが気になったけど(今回は女の子だけど、身に覚えのない僻みみたいなのがあったり)結局、気が弱めとか意思弱めなのがわたしとは違うから、映画と違って文章だとそこが目についちゃうんだろうな。なんか今回で納得した
物語をどう捉えるか、人生や日々の選択の連なりをどう捉えるか、が軸になってて、その辺かなり共感した