あらすじ
十年近く専業主婦だった八重樫靖羽は40路を前にして、尊敬する年上のキャリア女性から公益財団法人で働かないかと誘われ、新たな環境に思い切って飛び込むことに。しかし慣れない仕事で失敗の連続。これまで自分を中心に回っていた家庭や、その周囲にも思いがけないトラブルが巻き起こる。だが、小学校6年生の次女が「チョコレート」を自由研究のテーマにしたことから、チョコの歴史や製造工程を知って仕事や人間関係のアイデアを得たり、美味しいチョコを一緒に食べて励まされたりして、前に進もうと奮闘していく。海外のさまざまな子育て事情にも興味を持ち、合理的でフラットな考え方をもつ靖羽の目を通じて、仕事をすることで女性が抱える悩みを描きつつ、多様な価値観を描く勇気をもらえる物語。
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Posted by ブクログ
自分の価値観が、一度洗濯されて太陽の匂いを吸収しながら乾いていく、そんな一冊だと感じた。
人間誰しも、私も、周りの人々にレッテルを貼って見ていた。誰々の友達、この会社の人、こんな病気をもっている人…
これは、その人自身を見ているとは言えない。“個”を尊重するとはどういうことなのかを改めて考えさせられた。それに、「仕事は苦痛をもたらすものではなくその人の人生を豊かにするものであるべきだ」という考え、なんて優しくて救われるような言葉なんだろう。
この一冊から私はたくさんのことを考えて、感じることができた。チョコも元々好きだが、大好きになった。私もホットチョコレート、淹れてみたい。
Posted by ブクログ
よくある「ちょっとした困り事」に向かう主人公一家の立ち位置がニュートラルで心地よい。
自分事となると沸点が低めの人間なので、靖羽さんの物事の捉え方を真似したい。
困っている人達の僅かな力になれば、という思いを繋ぐ登場人物達の姿勢が、温かい気持ちにさせてくれた。
そして案の定帰りがけにチョコを買ってしまった。
影響されやす過ぎ。
次女が良い味。我道感が大好き。 自由研究をフルで読みたい。
Posted by ブクログ
「そうきたか」
その言葉に惹かれる。
話の中にある
ひとつひとつの小さな言葉に
誰かを想う言葉が詰まっている
ふっと疲れた時に
甘いチョコを口に含む
ごほうびだったり
甘えだったり
辛さを忘れるためだったり
涙味だったり
その味は深くてホッとさせてくれる
この本を読み終わる頃
自分にも行きつけのショコラなお店が
あるといいなと思えた一冊でした。
Posted by ブクログ
主人公の、仕事や家庭、ご近所付き合いへの向き合い方は参考になることも多かったし、チョコレートの歴史なども少し学べたりして、良いお話でした。
偶然なことに自分はこの物語の舞台となる小金井市に勤めています。素敵な、でもカジュアルめなショコラトリー、無いかなぁ…。
Posted by ブクログ
40歳を機に仕事復帰を希望していた八重樫靖羽は、小金井にある《ショコラティエ・プティ・ポワン》で、堤マチ子から仕事に誘われる。
靖羽の再就職先は、公益財団法人千代子・レイド財団。
昭和中期に建てられた美しい洋館で働き始めた靖羽は、家庭で母としての役割も果たしながら、ひとつずつ前向きに仕事をこなしていきます。
幼い頃から靖羽の傍らには大好きなチョコレートがあって、何かにつまずいた時にはいつもチョコレートに励まされていました。
困っている人にそっと手をさしのべて心を開かせてくれる。
そのような財団を立ち上げた千代子さんの信念と、大昔は"薬"だったというチョコレートの歴史がうまく組み合わされた、人の心に寄り添うようなとても温かい物語です。
Posted by ブクログ
チョコレートが大好きな靖羽の人生には、いつだって色んな形のチョコレートが寄り添っている。人生の転機にも日々の困りごとにも傍らにはチョコレートがある。
うまくいかないときのラングドシャ。辛い心をほどくホットチョコレート。ご褒美のつややかなチョコレート。姿を変えて目を、舌を楽しませてくれる。
長い時間をかけて、たくさんの人による様々な試行錯誤があったがゆえに、今のおいしいチョコレートができている。チョコレートのことを知っていく中でもっともっとチョコレートの魅力に気づいていくのだ。
この物語を読み終えて、早速チョコレートを一つ口に運んだ。甘く溶ける素敵な茶色の宝石は私に幸せを運んでくれた。
Posted by ブクログ
前半から中盤まではあまりチョコレートの話というよりかは人々との出会いであったり、仕事のことであったり、環境であったりの話が多かったように思います。
そのため、あれチョコレート全然出てこないけど題名や帯として成立するのかな?と疑問に思いました。
ですが、後半は丸っきりチョコレートネタだったので、ちょっと後半にこじつけすぎ感はありましたが、本としては良かったと思います。
Posted by ブクログ
初めましての作家さん。
角川ごちそう文庫、新刊の1冊です。
とても読みやすい文章で、内容も身近なもので親しみやすかったです。
主人公、八重樫靖羽の仕事復帰の話の中に、支援がいる子の話、学校でハブられている話、親戚の介護や家の格の話、職場でのパワハラの話、等などが深刻になりすぎない感じに描かれています。
その時の靖羽さんの対応というか物の捉え方がとても良くて真似したいと思いました。私自身に何かあったら思い出して、乗り切れたら良いなと思っています。
また、靖羽さんの家族がとても自然体で家族の温かい繋がりが感じられて、柔らかい気持ちになりました。
内山純さんの他の作品も読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
一度専業主婦になってから仕事復帰する
むずかしさ、子供たちの学校に絡む色々な
問題、ご近所付き合い、夫の仕事の問題
などなど生きていると誰しもいずれかは
直面する問題とチョコレートがうまい具合に
話に出てきてすらすらと読めました。
そして、今まで財団法人の仕事って
どんなことをするんだろう?そもそも
組織としてどう成り立っているのなんて
思ってたこともありそういう面もしれて
興味深かった。そしてチョコレートが
より好きになれる本じゃないかな。
作中に出てくる夫の名言「愚痴は、
溜め込むのもまき散らすのも
よろしくない。ちょっとだけ時間をおいて、
さらっと聞いてくれる相手に笑い話と
してしゃべると、嫌な気持はどこかに
飛んでいってしまうよ」・・・これはほんとに
そう思う。人に面白おかしく話せる段階で
自分の中である程度消化できてるし
まわりにも被害が及ばない・・・
これはちょっと覚えておこう。
Posted by ブクログ
この本を通して、チョコレートの歴史、そして意外にも「財団」というものがどうしてできたのかまで、知れたのが興味深かったです。
ココアとホットチョコレートは同じものだと思っていたので、その違いを知れたのも面白かったです。
ただそんなに長編でも無いのに、あまりにも登場人物たちに次々と災難が降りかかりすぎるので、そこがちょっと詰め込みすぎだなぁ…と思ってしまいました。
Posted by ブクログ
おいしそうなチョコレートが、物語を彩る。みなが抱える問題も、円満に解決されていく。ただ、なんとなく、わざとらしさを感じる。
なお、「米澤穂信」、「小鳩くん」が会話の中に出てきて、おっと思った。