あらすじ
東大生の就職人気ランキング上位をいつのまにか独占するようになった「コンサル」。この状況の背景にある時代の流れとは? 「転職でキャリアアップ」「ポータブルスキルを身につけろ」そんな勇ましい言葉の裏側に見えてきたのは、「仕事で成長」を課せられて不安を募らせるビジネスパーソンたちの姿だった。時代の空気を鋭く切り取った『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』の著者が、我々が本当に向き合うべき成長とは何なのかを鮮やかに描き出す。圧倒的な努力や成長への強迫観念に追い立てられている人たちのための一冊。
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Posted by ブクログ
現在30歳で今の社会に成長を強要される側面を実感している自分にとって、とても味わい深い一冊であった。
ページ数は250ページとそこまで多くないのに、味わい深すぎていつもより読むのに時間がかかってしまった。
本書は、成長することは悪いことではないと位置づけていながらも、「成長=ポータブルスキルや年収と位置付けることや、労働者的な成長に重きが置かれすぎている現代」に対して警鐘を鳴らしている。
個人的に一番印象に残ったのは
「自分にとってできるようになると嬉しいものができるようになること。そういった達成の方が成長という言葉に対してしっくりくる状態ではないか。(中略)自分にしかできない仕事には自分だけの価値基準、もっといえば自分なりの美学が宿る。それを磨いていくことが独自性につながるし、むしろその独自性を作ることこそが成長という言葉の示す意味に近いのではないか。」
この部分。
これは、成長=ポータブルスキルや年収としての成長至上主義に対するアンチテーゼであり、何となく自分が感じていたことを言語化してくれた快感があった。
他にも、感想欄では語れないほどの魅力がたくさん詰まった本だったので悩める優秀なビジネスパーソンの方々にはぜひおすすめしたい。
Posted by ブクログ
【「成長=善」を疑う】
・現代のビジネスパーソンは、成長することを疑いようのない善と捉え、時間を無駄にせず市場価値やポータブルスキルを高めようとする。しかし、「何ができるようになりたいのか」を自分で定義できないまま、成長という言葉だけに追い立てられている人も多い。
【成長欲求の裏側】
・成長したいという気持ちの一部には、収入を増やしたい、取り残されたくない、終身雇用を信じられない社会で安定したいという不安がある。この指摘は自分にも一部当てはまる。一方で、知識がつながる面白さや、できることが増える喜びといった純粋な好奇心もあるため、成長欲求のすべてをお金や不安へ還元するのは違うとも感じた。
【資格が与える分かりやすさ】
・資格は、勉強して点数を取り、合格するという明確なゴールを与えてくれる。公認会計士を目指すことも、やりたい仕事に近づくための手段である一方、肩書きや市場価値を得たいという欲求も混ざっている。資格取得そのものを目的にせず、その先で何ができるようになりたいのかを問い続けたい。
【厳しい環境ほど成長できるのか】
・「成長スピード」や「裁量権」という言葉に惹かれ、安定した環境を捨てれば成長できるとは限らない。厳しい環境が合わず、元の場所にも戻れない可能性がある。ゆるい職場を成長できない場所と決めつける前に、時間や余力、研修制度など、ゆるさによって得ている恩恵も捉える必要がある。
【自分にとっての成長】
・スキルもお金も本来は手段にすぎない。「自分にとって、できるようになると嬉しいことができるようになる」という方が、成長という言葉にしっくりくる。画一的なポータブルスキルを追うのではなく、まずは自分の小さなモチベーションに目を向けたい。
【今後の実践】
・今の仕事のなかで、自分が面白いと感じる部分や興味との接点を探し、仕事のあり方を少し変えてみる。その過程で自然にスキルが身につき、結果として他者からも評価される流れをつくりたい。「成長しなければ」ではなく、「これは少し面白い」「これができたら嬉しい」という小さな動機から始める。
Posted by ブクログ
コンサルが目指される背景をレジーさん視点でまとめ上げられたもの。
●読書目的
自分自身の無意識な成長願望に対する不安の正体に気づくきっかけを得る
●結果
ある程度明確に。
キャリア選択における内省材料が不足している点と純粋な自己内省不足。
以下個人整理。
「コンサルで生き残れる即ちどこでも活躍できるスキルが獲得できると思い描かれた点」と「時代背景としての組織への依存への恐怖心(終身雇用の崩壊など)」が見事にマッチし、コンサルを目指すのが安心材料となる。
不安起点での仕事における成長への煽りが良くも悪くも若年層にマッチし過ぎている。
文中にもあるが、仕事が目的の方もいるとは思うが、私は仕事は手段として扱いたい。
自分にとっての幸せは何かがすぐには見つからずとも、歳と経験を積み上げてくる中で自分が求めるものを考え続けることが大切。
その結果、仕事文脈で盲目的な成長は必要ないかもしれないし、逆にコンサルのようなハードワークを求めるという結論になるかもしれない。
確かに市場ではコンサルでのサバイブ経験は評価されるし、年収も得られるだろうが、自分の人生における仕事文脈での成長はどの角度で必要かはよく見極めたい。
●結論
成長に囚われないためには、自分をいかに理解できるかが肝要。
自分を知り、自分を取り巻く環境を知り、自分にとって最適なものを選び取っていくことが最重要。
その材料が足りなければ新しい経験をする必要があるし、その経験を通してまた自分を知るループを回し続けるしないんだなぁと。
Posted by ブクログ
幾つかの書籍や、有名人の発現などを取り上げて、成長についての近年の社会の言説を論じられていました。これが批評とうものか、と読み終えてふと気づく。
東大卒、というか、今はコンサルでの仕事が需給ともに高まっている中で、
供給側・就職者としては、
とくに将来にわたってお金を確保するために必要となると重視されているビジネス上のスキルとそれを反映した年収、肩書ということで、これらを兼ね備えたコンサルはとても魅力的。
スキルや年収をあげていくこと、成長続けられることが、何より安定なのだ、という考えは、
2000年代からのキャリア教育や、自立・自己責任論の浸透を通して、不安や恐怖とともに身につけられたもの。
たしかに何したらいいか分からないということでコンサル、というのは若いときはありかもしれないけれど、
将来のために、といろいろと先送りして時期を逃したり健康を害したりしないようにしたいですね。