あらすじ
アフリカ・ケニア北西に位置するエンザロ村では「ジコ」がどこの家でも見られます。そればかりではありません。「パティパティ」は、子どもたちにとても人気があります。「ジコ」とはかまど、「パティパティ」とはぞうりのこと。ふたつとも日本人の生活の知恵が生み出した伝統的なものです。日本から遠くはなれたアフリカの村に、なぜこんなものが見られるのでしょう? そこには、ひとりの日本人女性が深く関わっていました。
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Posted by ブクログ
日本人女性、岸田袈裟さんがケニアに「かまど」を普及させたお話。
当地は、それまで地面に石を組み火をおこして煮炊きしていた。
このため飲料水を煮沸すれば衛生的だとわかっていても、物理的に不可能だったらしい。
かまどは、熱効率が良く平行して煮炊きができることから、飲料水の煮沸が容易になり、乳幼児の死亡率が激減。
もちろん、労働時間の短縮と燃料の節約。燃料の節約は、森林保護という側面ももつ。
かまどの火を地面より高い位置に設置したことで、調理時の足腰への負担軽減と子供の火傷防止にもなっているらしい。
かまどは、ケニア各地、近隣諸国へ広がりを見せている。
岸田さんは、「本当に必要なものを」「自分たちの手で」「お金をかけず」に作る、をモットーに活動されていた。この言葉は、発展途上国への支援の在り方についてだけではない気がする。そして、本書でグッときたのは、かまどに住民自身の工夫で、その上に薪やトウモロコシを干したり、保温棚を作ったり、カスタマイズされていること。これこそが岸田さんが望んでいたことではないのだろうか。
岸田さんは、2010年2月23日、お亡くなりになられた。合掌。