あらすじ
亀戸で複数の死傷者を出した無差別殺傷事件が発生。犯人の深瀬という男は逮捕後、「死刑になりたかった」と供述している。事件記者の安田賢太郎は週刊誌での連載のため、深瀬とかかわりのある人物にインタビューしていく。彼の人生を調べていくうちに、不思議と共感を覚えていく安田。しかし、安田の執筆した記事によって、深瀬の模倣犯が出現して…。社会との繋がりを失った人々の絶望と希望を紡ぎ出す、迫真のサスペンス。
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Posted by ブクログ
大量殺傷事件とそれを報道するマスメディア、家庭内暴力がテーマなので、大変重い内容である。
主人公の安田は仕事ひとすじのいわゆるダメ人間だけど、その仕事への情熱は凄まじく、ダメ人間である彼に魅力さえ感じてくる。
誰もが、正しさと犯罪の狭間で揺れている。そう、私もである。
その微妙な均衡を保つ命綱は、孤独ではないことではないか。
過去の自分を省みると、確かにそう思う。孤独より辛いものはこの世にない。
★心に残った文
どうか、この子の人生が明るいものになりますように。吹き抜けた3月の風は温かみを帯びていた。
この一文で、息子への愛情に懐疑的であった安田が、最高の愛情を示す言葉で私まで嬉しくなった。
海斗といつかまた会えるといいね!
安田だからこそ、海斗に教えてあげられることもたくさんあると思う!